Credit
文. カン・ミョンソク
デザイン. MHTL
写真. SOURCE MUSIC

LE SSERAFIMのニューアルバム『EASY』は、苦しみとスワッグ(swag)の二重奏だ。同名のタイトル曲で「簡単じゃないなら 簡単にeasy」するという自信は、「怪我するとしても道を歩く」という我慢強さと覚悟から出てくるもので、「一を見れば十まで看破して突破」するという「Smart」のプライドは、その一つ前の曲「Swan Song」の「たくさんの日々 たくさんの夜 たくさんの涙」で露わになる内面の傷と対比される。最初のトラック「Good Bones」で「結局私たちはみんな死ぬわけだし 人生の半分は苦しみだろう/残りの半分は私たちにかかっている」というアルバム全体のアティチュードでもある。苦しみは避けられない。しかし、「それでも」。 

「この歌を歌うと yeah Blah, blah, blah また何だかんだ言うはず Shut up, watch me kill this」、「Swan Song」でLE SSERAFIMが彼女たちを非難する者に送るメッセージだ。ところが、この攻撃的な歌詞を歌うLE SSERAFIMの声は曲の中で最も落ち着いていて、編曲は他の音をすべて消し、メインリフである悲しいギターの音色だけを残す。彼女たちは、「歴史になるこの歌」を歌うまで、白鳥のように「いくらやっても大変な swim」をするように生きてきて、「たくさんの日々 たくさんの夜 たくさんの涙」を流した。「Swan Song」をはじめとする『EASY』の収録曲は、ステージを降りた彼女たちが経験する悲しみを隠さない。「どれだけもらっても もっと愛が欲しい 怖いの」という恐怖を抱いたまま「Shut up」せよと叫ぶ心には、スワッグしたい自信と、毎晩部屋で一人うずくまるような心情がある。『EASY』の幕を開ける「怪我するとしても道を歩く kiss me 簡単じゃないなら 私が簡単に easy」は、その複雑な情緒を音楽的に表現するアプローチを凝縮して見せてくれる。繰り返されるビートの上に“easy”を長く伸ばして発音する部分は、オールドスクール・ヒップホップの楽曲を連想させる。だが、その前の部分は“kiss me”がもたらす感覚のように囁くように続き、編曲はトラップビートの上にしっとりしたメロディーを乗せ、躍動的でありながらも叙情的なムードを生む。そこに、スワッグしようとする自信と、傷を抱えた哀愁が交差する。「EASY」の「照明が消えた後の私は wander in the night/Don't know what is right」で、HUH YUNJINは歌唱をラップのフロウに近く、またはラップのフロウを歌唱で表現する。「照明が消えた後」の自らの悲しみと混乱について率直に歌うものの、自己憐憫の代わりにスピード感のあるヒップホップビートに合わせて、そのすべてを簡単なことのように見せるスワッグで表現する。その過程で、強いビートと切ないメロディーが、オールドスクール・スタイルのラップと囁くように歌う歌唱が、境界なく入り乱れる。「EASY」-「Swan Song」-「Smart」は、「FEARLESS」-「ANTIFRAGILE」-「UNFORGIVEN」以降のLE SSERAFIMが見せてくれる新たなスタイルであり、今K-POPのガールズグループがヒップホップをどのように自分たちのアプローチで取り入れることができるかについての一つの答えでもある。繰り返されるビートを曲の中心に置き、感情的なクライマックスに近づくほど、より強く、より華やかに、いっそう高い音を置く代わりに、むしろビートを構成するサウンドの一部を消し、緩急を調節する。「EASY」のパフォーマンスは、ヒップホップ・ダンスでよく見られる動きを再配列する。動きそのものは複雑だとは言えない。しかし、それぞれ異なるスピードを持つ動きを、メンバーたちが同じように呼吸を合わせ続け、一つのパフォーマンスの中で2倍速での再生と0.5倍速での再生が同時に表現されているような瞬間の数々を残す。今回のアルバムでLE SSERAFIMは、彼女たちが持つ人生の複雑さを単純化させることはない。その代わり、その複雑さをトレーラー映像から曲やパフォーマンスに至るまで、過去3枚のアルバムとは異なるアプローチで具現化する方法を模索した。その一貫した姿勢の集大成が、LE SSERAFIMの新たなスタイルになる。「FEARLESS」-「ANTIFRAGILE」-「UNFORGIVEN」をリリースしたグループが「EASY」という単語一つを提示するというシンプルだが予想外の方向転換が、 アルバム全体にも貫通している。シンプルに聴こえ、楽しく見ることができる一方で、この感覚を生み出す過程は決して容易なものではなかっただろう。

 

『EASY』の始まりと終わりを担う「Good Bones」と「We got so much」は、「EASY」-「Swan Song」-「Smart」と相反するスタイルを取り入れている。「Good Bones」が強烈なロックサウンドをベースに“Despite it all、My ambition and aspirations are unstoppable(いかなるものも私の情熱と熱望を止めることはできない)”を攻撃的に表現しているとすれば、「We got so much」はサビの“We got so much love”部分にこのアルバムには珍しい高音を入れるなど、既存のK-POPにより近い構成を見せる。「EASY」-「Swan Song」-「Smart」が、彼女たちの内面と世界との衝突から生まれる複雑な態度を「EASY」に感じられるように解きほぐしたとすれば、「We got so much」は、「それでも」彼女たちが今受けている愛についての感情を表現する。「見つけて 私を 私も知らない私を」という「We got so much」の歌詞のように、彼女たちはアルバム全体を通して苦痛とスワッグの内側にある複雑な自分をありのままに表現しながら、自らを新たに規定する。「Good Bones」の「自分の野心と野望」についての率直な表現が「We got so much」の「人気者だろうと除け者だろうと そのすべての姿が私なの」という自己省察に至る過程。それゆえ『EASY』はアルバムのタイトルのように、単純に思えるものの、答えるには複雑な悩みを経なければならない問いの始まりでもある。それもまた、誰もがよく耳にするだろうやり方で。「私は誰?」