HONG EUNCHAEは今の自分を「クエスチョンマーク」だと言った。彼女は連日新たな課題が与えられる人生に、時にはコンマを、時にはエクスクラメーションマークを加えて、毎日を綴っている最中だ。人生のある段落で変化を体感し、片隅に息をつく場所を作り、再び進んでいく原動力を得ながら。 

  • チェックのロングワンピース、デニムのプリントシャツはAcne Studios、タンクトップはkollide、チェックのスカートはAndreas Kronthaler for Vivienne Westwood、リボンのシルバーネックレスはMOIRA X MEL、チェーンベルトはG.V.G.V.、アップサイクル・レースベルト、アップサイクル・チェックベルトはNewsian、ストッキング、ブーツはスタイリスト私物、ネックレス、ヘアクリップはTOMOYA NAKAGAWA製作。
昨年末「MAMA AWARDS」のオープニング・パフォーマンスでソロステージを披露しました。
HONG EUNCHAE:東京ドームというコンサート会場はものすごく大きくて、たくさんのアーティストの方たちが見守っていらっしゃったので、本当に上手くやりたいと思いました。初めは緊張していてもすぐにステージに没頭する方なんですが、あの時は技術的な部分が多かったのでひときわ緊張しました。火も使って、服も破って、机も乗り越えなければならなくて、後ろに倒れて、スカートは踏まれないように遠くに投げなければならなくて。考えることがすごくたくさんあって、頭で踊っているのかと思いました。そうこうするうちにあっという間に終わったので、ふう、今はよく覚えていません(笑)。生放送の時、スモークがすごくたくさん焚かれていて、湿って紙がよく燃えなかったんです。失敗したと落ち込みながらステージから降りてきたんですが、メンバーたちが駆け寄ってくるんです。心強いと言えばいいか、幸せだと言えばいいか、言葉で表現できないぐらい、初めて感じる不思議な感情が湧いてきました。

オープニング・パフォーマンスのテーマが「I AM SPECIAL」でしたよね。「特別なものがないと思っていた私は、実はとても特別な人だった」というナレーションのように、多くの人々が共感できるメッセージを込めたステージでした。
HONG EUNCHAE:ナレーションの通りに、私は特別ではないと思っていたんです。メンバーたちはみんなそれぞれの物語があるじゃないですか。バレエを15年やってK-POPを始めて、三度デビューして、二度デビューして、練習生をしてアメリカに行ったけどまた戻ってきて。私たちグループは自分のストーリーを語るグループなのに、私は平凡に学校に通って、オーディションを受けてデビューすることになったケースなので、曲をもらって歌詞を書くたびに、私は果たしてどんな話ができるのか、ずいぶん悩んだんです。あのステージを通して私が持っている悩みそのものをナレーションで、ダンスで表現できるチャンスが来たというのがありがたかったですし、開放感も感じました。

「Swan Song」の「数え切れない日々 数え切れない夜 数え切れない涙 時々私は焦る」という歌詞のように、悩みが続いていたようですね。
HONG EUNCHAE:LE SSERAFIMとしてデビューすることになった時、「あなたは運が本当に良い」ということを本当にたくさん言われました。自分でもなんで私がLE SSERAFIMになれたのかということについて確信がありませんでしたし。ですので、今おっしゃったそのパートがまさに私の姿のようでした。私は私に運が良いと言う人たちよりは、なんでこういうチャンスが与えられたのか、自分自身に証明したいという気持ちが一番強かったんです。

昨年3月TVINGドキュメンタリー『K-POP GENERATION』でEUNCHAEさんのデビューに関して、運が良いと言う見方についての話をした時、SAKURAさんがこう言いましたよね。「私たちみんな運が良いんだよ。運がなかったらここにいないから。運も実力だよ」と。
HONG EUNCHAE:以前は私自身もとにかく「私は運が本当に良いんだな。死ぬまで一生懸命頑張らなきゃ」とばかり思っていましたが、今はちがいます。「本当に一生懸命やれば、いつか私にチャンスが来るんだな。準備ができていたからこそチャンスが来たんだと思うし、そのチャンスを掴むことも結局実力じゃないかな」って。活動しているうちに、その時の私になんでそんなチャンスが来たのかがわかるようになって、前よりプレッシャーは減りましたが、その分また別の悩みが出てきました。
​どんな悩みがあるのですか。
HONG EUNCHAE:「私がどうすれば皆さんが喜ぶだろうか。私は何が得意で好きなんだろうか」という現実的なことでずいぶん悩んでいます。たぶん芸能人をしている間はずっと抱えていかなきゃならない悩みじゃないかと思います。それで時々「私は何のために一生懸命やっているんだろう。それで次は何がしたいんだろう」という考えが、一度にバッと押し寄せたりもします。正直言って本当につらい時もあって、この仕事をなんでしなければならないのかについての理由をその場では見つけられないこともあります。そういう時はただ「やらなきゃ。後になって全部自分の役に立つことだ」と乗り切ります。今進む方向が合っているのかということについての完璧な確信もありません。ありませんが、まずはただ進んでいます。進んでいけばそれが合っているのか、ちがうのかもわかりますから。

そうするうちにエネルギーが切れることもあると思いますが、どうやってまた充電するのですか。
HONG EUNCHAE:『KBS演芸大賞』でデジタルコンテンツ賞、ベストカップル賞を受賞したように、良い結果が出た時です。結果にこだわりたくはありませんが(笑)、どうしても良い結果が目の前に見えたらもっと一生懸命やりたくなって、やり甲斐も感じます。私がすごく好きな仕事をして賞をもらったのですから、「それでも一生懸命頑張ったんだな」と思って、報われたようで嬉しかったです。

達成感が原動力になるのですね。KBS『ミュージックバンク』のMCになってもう1年が経ちました。
HONG EUNCHAE:今でもまだインタビューをしていて、質問をした後自然にトークを続けていくのがぎこちなくて難しいです。それでも人は適応する動物だと(笑)。質問もたくさんしていろいろな答えをもらう過程でずいぶん上達したと思います。以前学校に通っていた時は、前に出て代表で話をするのが好きだったんですが、練習生を始めてからはそういう機会がなかったんです。MCをしていて、もともと好きだったことをまた見つけた感じです。アイドルだったら一度ぐらいは夢見るようなポジションでもあるので、ありがたいという思いで楽しくやっています。

「EUNCHAE’s StarDiary」に出演したRYUJINさんがEUNCHAEさんを見て、「スケジュールが多くて大変だろうに、いつも笑っていて本当に素敵な人」と感じたと話していました。
HONG EUNCHAE:普段は恥ずかしがり屋で静かで、笑顔もそんなに多くないと思います。以前は本当に活発だったんですが、練習生の時から友だちとの付き合いも少なめにするようになって、練習以外の時間はエネルギーを節約するようにしているうちに変わった性格が今でも続いていると思うんです。何だか不思議です。こういう風に見せようと私があくせく努力しているわけではないんですが、気持ちの良いエネルギーがあるとたくさんの方たちが言ってくださるので、それがそもそもの私の姿なのかと思ったりもしますし、仕事をする時はもちろんそういうエネルギーが出てくるとも思いますし。

仕事をしながら、状況に合った姿を見つけていく過程ではないでしょうか。SAKURAさんもWeverse LIVEで最近EUNCHAEさんが「現実的な方にちょっと変わった感じ」だと話していましたが。
HONG EUNCHAE:仕事がすごくよくできるんだけど性格があんまりという人と、すごくすごく性格が良くて一生懸命やっているんだけど仕事ができない人がいるとしたら、私は仕事ができる人を選ぶと思います。MBTIで言うと、人間関係では「F(感情型)」なんですが、仕事的には完全に「T(思考型)」になったと思います。私はもともとは回避型だったんです。大変なことは本当にやりたくなくて後回しにする性格だったんですが、最近はそのまま受け入れて、大変なこともまず先にやろうと思っています。その方が楽です。

「2024 SEASON’S GREETINGS Making Video」で、HONG EUNCHAEをひと言で表現するとしたら「クエスチョンマーク」だと答えていました。
HONG EUNCHAE:自分については365日ずっと悩んでいると思います。実際自分は自分のことってわからないじゃないですか。他の人たちが「あなたはこういう人だと思うし、あなたはこうで」と言ってくれますが、私は自分を見ることができませんから。自分はどんな性格で、どんなことをする時一番楽しくて幸せなのか、いつも知りたいと思っています。

昨年8月のソウル・コンサートで「ありのままの自分を受け入れて、すべての姿を愛するというのが難しい」と話していましたが、今考える「ありのままの自分」はどんな姿ですか。

HONG EUNCHAE:私は自分にすごく厳しい方なんです。意欲も旺盛で、自己満足ができない性格なので、振り返ってみると本当に上手くできたと思うステージもありませんし。ありのままの自分を愛するというのは本当に難しいことだというのがよくわかります。私もそうやって生きたいという思いですし。ですので、自分はただ意欲が旺盛で、自ら満足できなくて、自分に寛大になれない人だということを受け入れようと思っています。「私はただそういう人みたい。これからもそうやって生きなきゃ」って(笑)。


本当に上手くできたと思うステージが本当に一つもありませんか。

HONG EUNCHAE:どんなステージでも心残りな点がないことはありません。本当に満足するようなステージでも、ちょっとずつは残念な部分がいつもあると思います。みんながそうじゃないでしょうか(笑)。


「Perfect Night」のように目に見える成果がある時もありますが、すべての結果が努力に比例しなくても、どうやってさらに努力を続けられるのですか。

HONG EUNCHAE:「Perfect Night」がこんなにまで大衆的に愛されるとは想像もできなかったんです。コンサートをしながらも、練習も本当に一生懸命やって、英語の歌なのでレコーディングも気を遣ってしましたし、アルバムを一枚作るように同じようにやって得られた結果なので、頑張った甲斐もとてもありました。実はそういう良い結果が得られるたびに、その瞬間はとても嬉しいんですが、時間がちょっと経って、引き続き新しいものを準備していると、それがもっと大きなプレッシャーとして返ってくることもあります。毎回そうやって証明しなければならないということがです。


そういうプレッシャーにはどうやって耐えるのですか。

HONG EUNCHAE:アイドルという仕事は、すべてのことを一緒にするメンバーたちじゃなければ、その状況を完璧に理解するのは難しいじゃないですか。ですので、他の人たちに話さなくなります。あまり。ある人にとっては私の悩みが自慢のように感じられるかもしれないですし、ある人の立場からは理解が難しいかもしれませんから。そうやって一人で悩んでいるうちに忘れられることも多いです。時々メンバー同士であれこれ話をする時間を持った時に、さっと振り払うかのようにすべて忘れることもありますし。それでも音楽で私たちがどんな人なのか、どんな考えを持っているのか、正確に見せたいという気持ちははっきりとしているので大丈夫です。

​本当に簡単なことは一つもありませんね。
HONG EUNCHAE:まさしく私たちはHYBEから出たグループで、良い環境で、良いスタッフたちと仕事をしているので、本当に上手くいかなければならないと思って、時にはそれがきつくもあります。人は完成されたものだけを見るので、結果が良くなければ罪悪感を感じて、ついていくのが大変な時もありますし。ですので、今回の「EASY」に込められたメッセージは、確信も持てて、一番たくさん愛情が湧きます。いつかは伝えたかった話なので。私たちグループは、一生懸命やった割に結果がついてこないこともたくさんあったと思うんです。そういう時は悲しくもなって、心が折れたりもするんですが、最近は「後になって本当に上手くいったらもっとかっこいいな。最初から上手くいったらおもしろくないから!」と、自分を洗脳しています(笑)。

そういうクールさが「EASY」という曲が持つアティチュードじゃないかと思います。
HONG EUNCHAE:体力的につらい状況ですごく余裕を持って、本当に遊んでいるような感じを出すのは難しかったです。ボーカル面で特に悩みが多かったんですが、音域が高くもなく、叫ぶわけでもなく、初めてちょっとラップをするように歌ってみたんです。今回氷のプリンセスのように冷たく歌ってほしいというディレクションをずいぶん受けました(笑)。普段の私の性格とはすごくちがう感じなので、レコーディングしながらもとてもぎこちないんです。できる限り無心で歌おうとずいぶん努力したんですが、これまでと変わったダンスとボーカルのスタイルが上手く伝わったら嬉しいです。

パフォーマンス・スタイルはどう変わったのでしょうか。
HONG EUNCHAE:動きが激しいパフォーマンスは、その流れのままに、大変だったら大変さを表に出しても良いんですが、今回はそうできませんでした。私たち同士で息を合わせればいいとか、力を入れなければならない部分がはっきりとしているダンスではないので。練習生の時ヒップホップの授業を一番たくさん受けていたので、ジャンル自体にアプローチするのは大丈夫だったんですが、余裕のある表情を浮かべて力を少し抜かなければならないというのは、いざやってみたら本当に難しかったです。練習生の時から私のダンスについていつも言われていた言葉が、すっきりしているということなんですが、それが強みだけど時には弱みになったりもするんです。

「頭取(『ミュージックバンク』のMC)」としてダンスチャレンジに参加していますが、その時はすっきりとしたスタイルが強みになっていると思います。『The Seasons: Long Day, Long Night with AKMU』で披露した「Smoke(Prod. Dynamicduo, Padi)」は特に印象的でしたし。
HONG EUNCHAE:「Smoke(Prod. Dynamicduo, Padi)」を選んだ瞬間からすごく怖かったです。チャレンジをやりながら怖かったのは初めてだったんです。本当に上手く踊ってこそかっこいいダンスなのに、時間が取れなくて前日になって練習して行ったのでとても心配だったんですが、その割に反応が悪くなかったので良かったです(笑)。振り付けはチャレンジのために選んだり、「EUNCHAE’s StarDiary」のゲストの方たちが出ていらしたら敢えて探したりもしますが、各音楽番組ごとに異なるおもしろさがあるので、普段から関心を持って観ていると、ポイントの振り付けぐらいは自然に覚えてしまいます。
  • ニットはsnowdon、チェックのロングワンピースはAcne Studios、中に着ているグレーのトップはHYEIN SEO、チェックのスカートはAndreas Kronthaler for Vivienne Westwood、アップサイクル・チェックベルトはNewsian、ストーンネックレスはISHI、ストッキング、ルーズソックス、ブーツはスタイリスト私物、ネックレス、ヘアクリップはTOMOYA NAKAGAWA製作。
​去る1月1日にWeverseに残した文章で、「新たなスタートにワクワクするのも良いですが、私は責任感を持って」努力すると書いていたのを思い出します。
HONG EUNCHAE:アイドルというのは見られる職業じゃないですか。今年私を新たに知る方たちもたくさんいると思うので、「ちゃんとやらなきゃ。良い人でいなくちゃ」という気持ちでした。自然と責任感が湧くこともありますが、私は責任感を持たなければならないと考える方なんです。自分で自分に「責任感、持って!」という意識を注入します(笑)。

「We got so much」の歌詞が思い浮かびますね。「当たり前のように受け取らない」という。
HONG EUNCHAE:以前は本当に一人でも私に関心がないように見えたら、傷ついたりしていたんですが(笑)、活動しているうちにみんなが私を好きになるわけではないということがわかりました。メンバーたちもファンの方たちも、つまりは他人じゃないですか。それでもこうやってお互い愛し合いながら仕事ができるというのは、本当に簡単なことではないと思うんです。ですので、何としてもこの愛をお返ししなきゃという思いがいつも心の片隅にあります。みんなに愛されなければならないというプレッシャーはちょっと軽くなったように思いますし。

昨年のホリデー記念のWeverse LIVEで2024年に望むことについて尋ねると、「想像できない。私はただ流れるままにすべて受け入れて、そうやって楽しみたい」と話していたのを思い出します。
HONG EUNCHAE:私がそうすることになる運命であれば何でもしますし、できない運命であればできないこともあるだろうと思うので、流れるままに受け入れようという気持ちでそう言いました。なぜかというと、私は小さくて些細なことにはすべて運命があると信じているんです。例えばチョコレートケーキが食べたくてカフェに行ったんだけど、それが売り切れだったとしたら、「ああ、私は今日それを食べる運命じゃなかったみたい」と思います(笑)。でも大きいことは運命ではないと思っているんです!デビューして、選ばれて、切に願っていたことが叶って、そういうことは本当にすべて努力だと信じています。

努力で叶えたすべてのことが運命だったとしたらちょっと悔しいですよね。
HONG EUNCHAE:ですので、私は信じません(笑)。

 


Credit
文. ソン・フリョン
インタビュー. ソン・フリョン
ビジュアルディレクター. チョン・ユリム
コーディネイター. イェ・シヨン
ビジュアルクリエイティブチーム. キム・ソンヒョン、チョ・ユンギョン、イ・ス(SOURCE MUSIC)
写真. ニコライ・アン/Assist. チョ・スンハン、ケイスケ・ヤマダ
ヘア. オ・ユミ、ハ・ミン(BIT&BOOT)
メイク. キム・イナ、キム・イスル(WOOSUN)
スタイリスト. 渡辺俊輔/Assist. 谷本聖菜、ノ・ユジン
ネイル. 中川知也/Assist.キム・ソウル
セット・デザイン. キム・サオン(@leeroykim)、キム・ソンテ(@kim_so_young91)
アーティストマネージメント室. キム・ヒョンウン、キム・アリ、キム・ヒョンホ、パク・シヒョン、パク・ハンウル、シン・グァンジェ、アン・ウンビ、ファン・ジフン