FEATURE
オリジナル・コンテンツで作った世界
BTSとSEVENTEENのオリジナル・コンテンツ
2021.01.25
V LIVEとWeverseで公開されているBTSのウェブ・バラエティ『Run BTS!』は、この5年余りで125回のエピソードを放映し、多くが再生回数1000万回を突破した。昨年は、世界的なプロゲーマーFakerが所属するeスポーツ・プロチームT1がゲストとして出演したり、著作権の管理に厳しいディズニーの許諾を得て、数本のディズニー・アニメを吹き替えるエピソードを放映したりもした。『Run BTS!』の一部エピソードが、2018年から3年続けてMnet、JTBCなどの放送局で特集を組まれているのは象徴的である。ひとつのグループがファンを対象に作ったオリジナル・コンテンツが、レガシーメディアにまで進出するほど、K-POP産業においてオリジナル・コンテンツのステータスと影響力は速い速度で成長している。
SEVENTEENがYouTube、V LIVE、Weverseに公開しているウェブ・バラエティ『GOING SEVENTEEN』は、公開初日の再生回数だけで平均75万回を上回る。8月以降にあった3回の放映休止の度に、『GOING SEVENTEEN』が韓国の検索サイトNAVERで10代のリアルタイム検索キーワード上位にランキングされたほど、10代の若者たちに『GOING SEVENTEEN』は広範囲の関心を得ている。その結果、昨年12月23日に『GOING SEVENTEEN 2020』のYouTube累計再生回数は7450万回を突破し、チャンネル登録者数は600万人を突破した。その翌日にあった『GOING SEVENTEEN』の人気エピソード、12時間ライブ・ストリーミングの累計視聴者数は149万人だった。K-POP産業において「オリジナル・コンテンツ」は、一般的にアーティストがファンのために直接作るコンテンツを意味する。だが『Run BTS!』と『GOING SEVENTEEN』は、オリジナル・コンテンツの定義が急激に変化していることを示している。『GOING SEVENTEEN』の制作陣は、番組の目指すところを「大衆メディアを合わせても競争力のあるコンテンツ」だと明かしている。
SEVENTEENのYouTubeアカウント登録者数が400万人から500万人に増加するのには、327日かかった。一方、500万人から600万人を突破するのにかかったのは181日だった。SEVENTEENのYouTubeチャンネルには、『GOING SEVENTEEN』だけでなく、SEVENTEENのミュージック・ビデオ、ダンス動画、未公開シーン、メンバーが個人的に制作したものなどが、すべてまとめられている。YouTube登録者数の急成長と相まって、SEVENTEENのYouTubeチャンネルは、それ自体でSEVENTEENに関するすべてを伝える、大型プラットフォームの役割を担っていると見てもいいだろう。BTSは、彼らの歴史自体がオリジナル・コンテンツとして積み上げられた、巨大な城だと言っても過言ではない。BTSが2020年Twitterで「全世界で最も多く言及されたアカウント」、この10年間最も多く言及されたK-POPアーティストになるまでには、2011年から公開した全1万2400本以上のコンテンツがあった。2012年の開設以降登録者4340万人、累計再生回数81億回以上を確保したYouTubeチャンネル「BANGTANTV」には、1398本(1月15日付け)の映像がアーカイブされている。5年間で590本以上のコンテンツを掲載したV LIVEチャンネルは、昨年6月V LIVE史上初めてフォロワーが2000万人を突破した。アーティストの歴史、ファンに向けて伝える楽しさとメッセージがすべてオリジナル・コンテンツに詰まっており、そのオリジナル・コンテンツは、さらにフォロワーや登録者数に象徴される、より多くの人々に裾野を広げるきっかけとなり得る。
SEVENTEENのYouTubeアカウント登録者数が400万人から500万人に増加するのには、327日かかった。一方、500万人から600万人を突破するのにかかったのは181日だった。SEVENTEENのYouTubeチャンネルには、『GOING SEVENTEEN』だけでなく、SEVENTEENのミュージック・ビデオ、ダンス動画、未公開シーン、メンバーが個人的に制作したものなどが、すべてまとめられている。YouTube登録者数の急成長と相まって、SEVENTEENのYouTubeチャンネルは、それ自体でSEVENTEENに関するすべてを伝える、大型プラットフォームの役割を担っていると見てもいいだろう。BTSは、彼らの歴史自体がオリジナル・コンテンツとして積み上げられた、巨大な城だと言っても過言ではない。BTSが2020年Twitterで「全世界で最も多く言及されたアカウント」、この10年間最も多く言及されたK-POPアーティストになるまでには、2011年から公開した全1万2400本以上のコンテンツがあった。2012年の開設以降登録者4340万人、累計再生回数81億回以上を確保したYouTubeチャンネル「BANGTANTV」には、1398本(1月15日付け)の映像がアーカイブされている。5年間で590本以上のコンテンツを掲載したV LIVEチャンネルは、昨年6月V LIVE史上初めてフォロワーが2000万人を突破した。アーティストの歴史、ファンに向けて伝える楽しさとメッセージがすべてオリジナル・コンテンツに詰まっており、そのオリジナル・コンテンツは、さらにフォロワーや登録者数に象徴される、より多くの人々に裾野を広げるきっかけとなり得る。
「自分たちだけのチャンネルを作り、量と質、両方を満足させるコンテンツを提供しようと思った」。Big Hit Three Sixtyアーティスト・コンテンツ・スタジオのキム・スリンLPは、BTSのコンテンツ企画について、「見たい番組やコンテンツとして、大衆と出合うことが難しい状況に対する問題意識」であり、レガシーメディアの限界を克服するための選択だと語る。BTSが『Run BTS!』でディズニー・アニメの吹き替えをすると、アニメーション映画『ズートピア』の脚本を担当したジャレド・ブッシュ、メキシコの俳優兼声優カルロス・セグンドはSNSで関心を示した。BTSが全世界のスーパースターであるため起こり得る反応でもあるが、『Run BTS!』のようなオリジナル・コンテンツが、それほど世界的に容易く広まることができる時代だという事実もまた示している。もともと『Run BTS!』の企画段階から、V LIVEが、K-POPに高い関心を持つ海外ファンを含む、ファンダム文化にすでに慣れている利用者たちが集まったプラットフォームだという点を考慮した。『Run BTS!』はこれを利用、2015年8月からK-POPファンダム全般を対象に、メンバーたちの魅力と関係性を見せるコンテンツを、定期的に、毎回新たなテーマを通して連続性を持たせて制作した。Big Hit Three Sixtyクリエイティブ・スタジオのパン・ウジョンSPは、「旅番組は旅が終われば自然と終了するように、特定のテーマやコンセプトを決めてしまうと、コンテンツを持続できないだろうと判断し、『何でもできる』バラエティとして可能性を広げておいた」と言う。
何でもできるという自由さは、つまりアーティストがどんな魅力を持った人なのかを見せる過程でもある。パン・ウジョンSPは、「アーティストが本当に楽しんでこそ、見る人たちも楽しめ、反対に見る人たちが楽しいと思わなければ、アーティストも楽しく撮影できない」と言う。eスポーツ・プロチームT1をゲストに迎えて撮影した当時、制作陣はBTSとT1の共通の関心事であるゲームをテーマにしたが、実力の差に関係なく皆が一緒に楽しめる種目を選んだ。たちまち仲良くなった二つのチームは、普通の同年代の友だちのように気まずさやプレッシャーなしに、リラックスした雰囲気で撮影を終えることができた。アニメの吹き替えもまたメンバーたちのアイデアから始まった。パン・ウジョンSPは、「BTSのメンバーを長い間見守ってきた立場として、声の演技が上手だろうという確信を持っていたところに、メンバーたちの間で『吹き替えを一度やってみたい』という声が出たので、話を進め始めた。全般的にウェブ・バラエティに対する著作権は厳しい方であるにもかかわらず、BTSだったからこそディズニーと円滑な協議が成し遂げられた」と語る。『GOING SEVENTEEN』の制作陣もやはり、番組の企画と構成の過程で、「アーティストの没入度」が最も重要だと明かし、「メンバーたちがのめり込めばのめり込むほど、楽しめば楽しむほど、視聴者にもそれが伝わって、楽しさを感じるのだと思う」と強調する。SEVENTEENのオリジナル・コンテンツは、彼らがデビューする前からUstream、アフリカTVなどのリアルタイム・ストリーミング・プラットフォームを通じて直接番組を構成、企画したところから始まっている。PLEDISのマーケティング・チームはこれについて、「デビュー前から『自主制作アイドル』という修飾語を持つSEVENTEENというチームを準備してきたメンバーたちだからこそ、能力と感覚に対する信頼があった。番組もコンテンツも直接作っていくことが、SEVENTEENのアイデンティティにも合致することだった」と語る。SEVENTEEN固有のコンテンツのひとつである「パート・スイッチ」映像は、SEVENTEENのアクティブな自主性をもとに作られたものだ。
何でもできるという自由さは、つまりアーティストがどんな魅力を持った人なのかを見せる過程でもある。パン・ウジョンSPは、「アーティストが本当に楽しんでこそ、見る人たちも楽しめ、反対に見る人たちが楽しいと思わなければ、アーティストも楽しく撮影できない」と言う。eスポーツ・プロチームT1をゲストに迎えて撮影した当時、制作陣はBTSとT1の共通の関心事であるゲームをテーマにしたが、実力の差に関係なく皆が一緒に楽しめる種目を選んだ。たちまち仲良くなった二つのチームは、普通の同年代の友だちのように気まずさやプレッシャーなしに、リラックスした雰囲気で撮影を終えることができた。アニメの吹き替えもまたメンバーたちのアイデアから始まった。パン・ウジョンSPは、「BTSのメンバーを長い間見守ってきた立場として、声の演技が上手だろうという確信を持っていたところに、メンバーたちの間で『吹き替えを一度やってみたい』という声が出たので、話を進め始めた。全般的にウェブ・バラエティに対する著作権は厳しい方であるにもかかわらず、BTSだったからこそディズニーと円滑な協議が成し遂げられた」と語る。『GOING SEVENTEEN』の制作陣もやはり、番組の企画と構成の過程で、「アーティストの没入度」が最も重要だと明かし、「メンバーたちがのめり込めばのめり込むほど、楽しめば楽しむほど、視聴者にもそれが伝わって、楽しさを感じるのだと思う」と強調する。SEVENTEENのオリジナル・コンテンツは、彼らがデビューする前からUstream、アフリカTVなどのリアルタイム・ストリーミング・プラットフォームを通じて直接番組を構成、企画したところから始まっている。PLEDISのマーケティング・チームはこれについて、「デビュー前から『自主制作アイドル』という修飾語を持つSEVENTEENというチームを準備してきたメンバーたちだからこそ、能力と感覚に対する信頼があった。番組もコンテンツも直接作っていくことが、SEVENTEENのアイデンティティにも合致することだった」と語る。SEVENTEEN固有のコンテンツのひとつである「パート・スイッチ」映像は、SEVENTEENのアクティブな自主性をもとに作られたものだ。
それ故、オリジナル・コンテンツはアーティストの「本気」が核心的な役割を担っている。アーティストが楽しんで参加したオリジナル・コンテンツがファンの反応を引き起こし、その反応が再びアーティストを、より熱意を持ってオリジナル・コンテンツに参加させる。パン・ウジョンSPは、BTSが「メンバー同士でいたずらし合いながら撮影した映像を、ファンたちと共有したいと、制作陣に渡したほど」に、「彼らのファンに対する愛は本気」だと言う。去る11月25日に、メンバーたちが一緒にグラミー賞のノミネートを確認する姿が映った映像もやはり、「重要な瞬間をともに記録し、共有しよう」というRMの提案に、メンバーたちが同意し実現した。「ノミネート発表の時間がなにしろ明け方だったため、そう簡単に撮影要請をすることはできなかったのだが、メンバーたちから先に快く提案をしてくれ、スケジュールを終えて現場に集まったスタッフたちに、感謝の言葉を伝えた」とのこと。キム・スリンLPは、「メンバーたちのおかげで、重要な瞬間を記録することができた。コンテンツ制作においてもっとも重要なことは、アーティストがファンとともにあろうとする気持ち」だと話す。PLEDISのマーケティング・チームもまた、SEVENTEENのオリジナル・コンテンツの核心に「メンバーたちの意欲」を挙げる。「多くの方々の愛に、メンバーたちはもちろん、制作陣と会社すべてが、コンテンツに対するプライドと使命感を持っている」というのだ。オリジナル・コンテンツは、アーティストがプライベートの侵害に晒されかねない、受動的自己公開(Self-disclosure)ではなく、能動的自己表現(Self-presentation)の方法として活用されている。パン・ウジョンSPは、「将来アーティストのあらゆる資料が必要となる日が来るだろうと予想したため、すべての活動をフォローし、資料をアーカイブしている。メンバーたちがこのようなビジョンを共有し、ファンと積極的にコミュニケーションを取ろうとする意志があるからこそ、可能だったこと」だと説明した。そしてこのようなコンテンツは、それぞれのプラットフォームに適合した方法で供給、アーティストに対する関心を深化させる。Big Hit Entertainmentのデジタルコミュニケーション・チーム、ク・ミギョンチーム長は、これについて、「チャンネルの特性に合うさまざまなコンテンツをキュレーションしながら、利用者がある種の文法を身につけ、ニーズに合ったプラットフォームとコンテンツを見つけられるようにしてきた」と語る。
アーティストとファン双方が楽しく、不自由なく、おもしろさを感じられることは、オリジナル・コンテンツを通じて「入門する」要因にもなる。キム・スリンLPは、「みんなが一緒にコンテンツを楽しむ雰囲気自体が、『楽しそうに見える場所』の一員になりたいメディア利用者たちの要求を充足させることができる。より大衆的なプラットフォームで発生するファンダムへの流入は、アーティストとファンが作っていく『楽しい文化』の役割が大きいと考える」と言う。『Run BTS!』と『GOING SEVENTEEN』は、両方とも加虐的なシーンや過度な競争を推奨しない。ゲームで勝った者だけがおいしい料理を食べられるルールがあっても、勝敗とは関係なく、皆で一緒にご褒美を楽しめるようにするやり方だ。このような制作方針が、アーティストの保護はもちろん、倫理的な次元だけでなく、実質的な話題性及び人気拡散にも役立っているのだ。アーティストが楽しく、守られているオリジナル・コンテンツは、ファンダム自ら楽しく宣伝することができ、このような流れはファンダムの外部まで広がり、さまざまな派生コンテンツが作られるようにもなる。例えば、特定のアーティストのダンス動画がファンダムの間で話題を集めたら、他のチャンネルでこれを応用したコンテンツを作る。当該チャンネルに関心があった利用者に、アーティストのダンスとファンダムのリアクションが表示される確率が高くなり、アーティスト自体へのアクセスの上昇につながる。一連の過程で、カバー、リアクション、書き込みのまとめなど、外部の派生コンテンツは、本来意図した目的である個人の利益とは関係なく、「アーティストとファン」文化の広告として機能するようになる。オリジナル・コンテンツを中心とした「バイラル・ループ(Viral Loop)」が生成されるのだ。
もちろんオリジナル・コンテンツが、完全に自立したメディア生態系を持つとは言い難い。オリジナル・コンテンツのほとんどは、ニュー・メディア・プラットフォームに依存しており、ニュー・メディア・プラットフォームのアルゴリズムは利用者の既存の関心事を土台にしているため、「新たな関心」を誘発するには制約が伴う。その点でレガシーメディアは、ファンダム以外の大衆にアーティストを知ってもらうためには、依然として容易な窓口だ。去る10月31日、JTBC『知ってるお兄さん』で目隠しをしたまま「Apple」のパフォーマンスを披露したGFRIENDは、YouTubeチャンネルで目隠しバージョンの「MAGO」のダンス映像を追加で公開し、番組の話題性を維持した。TOMORROW X TOGETHERがEBS『生放送トーク!トーク!ボニハニ』に出演した去る11月19日、YouTubeでの「Blue Hour」のミュージック・ビデオの1日の再生回数は、放送前日の130%に増加し、翌日にはさらに40%増え、170%になった。このような上昇傾向は、レガシーメディアへの出演とアーティスト・チャンネル内の新たな視聴者の流入との相関関係を示している。しかし、アーティストだけが宣伝効果を享受したのではない。EBSは、放送直後にYouTubeチャンネル『生放送トーク!トーク!ボニハニ』にTOMORROW X TOGETHERの出演部分の編集映像を、その後12月に「リハーサル未公開映像」と「本放送未公開映像」を追加で公開し、40万回に達する累計再生回数を獲得した。このようにアーティストはレガシーメディアを通してファンダムの範囲を拡張し、レガシーメディアはアーティストの派生コンテンツを通してファンダムのエネルギーを自身のチャンネルに誘致し、相互に恩恵を受ける関係を築いている。
オリジナル・コンテンツは、外部から流入してきた軽い関心をコアなものにする既存の役割はもちろん、融合的なメディア体系内で大衆の新たな関心を誘発する機能まで遂行する方向に進んでいる。例えばJTBCのBTS『In the SOOP』は、このようなオリジナル・コンテンツの制約を克服するために、レガシーメディアと提携し、大衆への到達率を高める方式を使用した。メンバーたちが特定の目的やプレッシャーなしに休息をとる姿が、パンデミックの局面において、大衆にも癒しと共感を伝えることができるだろうという判断からだった。JTBCの本放送とWeverse独占拡張版VODをともに公開した結果、以前のコンテンツ『BON VOYAGE』シーズン4より、同期間で比較して20%高い収益を上げてもいる。Big Hit Three Sixtyコンテンツ事業室のソ・ゲウォン室長はこれに関連して、「社内制作チーム、外部プラットフォームとともに、企画段階からさまざまなニーズを確認し、調整、提携し、急変するメディア環境に柔軟に対処すること」が、Big Hitレーベルの戦略的差別性だと語る。「2021 NEW YEAR’S EVE LIVE」はこの延長線上で、アーティストたちを大衆に広く知ってもらうと同時に、ファンのニーズに応えようとした。Big Hit Three Sixtyメディア・コンテンツ事業チームのチャン・ヘソンチーム長は、「放送局との持続的なコンタクトと緊密な協議の末、ストリーミングを利用するファンにのみ4K解像度、マルチ・ビュー、2倍余りの映像時間など、テレビの本放送とは差別化したコンテンツを提供することができた」と話す。テレビ放送用には、新年直前のカウントダウンのように、大衆が共通して関心を持てるようなメッセージとともに、アーティストが直接選んだステージが含まれており、ストリーミング用には、初めて公開される編曲のステージ、アーティストの日常の姿を見ることができるミニ・ゲームなどが加えられた。チャン・ヘソンチーム長は、「アーティストごとにそれぞれ『番組を通じて大衆に見せたいステージ』と『ファンと分かち合いたいステージ』があるため、このような意見を最大限反映しようと思った」と説明する。
オリジナル・コンテンツは、全世界的なプラットフォームを通じて拡散し、ファンダム流入のポテンシャルを高める「大衆のファンダム化」と、徐々に領域を広げていく「ファン・コンテンツの大衆化」を同時に触発する。このような化学反応は、プラットフォームとコンテンツの有機的な総合体、すなわち新たなメディア生態系を構築する過程でもある。モバイル・コンテンツが急浮上し、デジタル・メディアの利用に慣れ親しんでいるMZ世代(1980年〜2004年生まれ)が主要消費層として浮上している状況で、K-POPはソーシャル・メディアを通して早々に全世界のMZ世代をファンダムにした、先導的な事例だった。そしてコロナによりオンライン・コンテンツの比重がさらに高まった今、アーティストの主体性を基盤にしたオリジナル・コンテンツは、誰かのファンであろうとなかろうと、オールド・メディアとニュー・メディアのどちらを利用しようと関係なく、メディア環境全般に広く深い根を下ろしているところだ。それは、メディアの「ニュー・ノーマル」のひとつの断面と見ることができるのではないだろうか。
オリジナル・コンテンツは、外部から流入してきた軽い関心をコアなものにする既存の役割はもちろん、融合的なメディア体系内で大衆の新たな関心を誘発する機能まで遂行する方向に進んでいる。例えばJTBCのBTS『In the SOOP』は、このようなオリジナル・コンテンツの制約を克服するために、レガシーメディアと提携し、大衆への到達率を高める方式を使用した。メンバーたちが特定の目的やプレッシャーなしに休息をとる姿が、パンデミックの局面において、大衆にも癒しと共感を伝えることができるだろうという判断からだった。JTBCの本放送とWeverse独占拡張版VODをともに公開した結果、以前のコンテンツ『BON VOYAGE』シーズン4より、同期間で比較して20%高い収益を上げてもいる。Big Hit Three Sixtyコンテンツ事業室のソ・ゲウォン室長はこれに関連して、「社内制作チーム、外部プラットフォームとともに、企画段階からさまざまなニーズを確認し、調整、提携し、急変するメディア環境に柔軟に対処すること」が、Big Hitレーベルの戦略的差別性だと語る。「2021 NEW YEAR’S EVE LIVE」はこの延長線上で、アーティストたちを大衆に広く知ってもらうと同時に、ファンのニーズに応えようとした。Big Hit Three Sixtyメディア・コンテンツ事業チームのチャン・ヘソンチーム長は、「放送局との持続的なコンタクトと緊密な協議の末、ストリーミングを利用するファンにのみ4K解像度、マルチ・ビュー、2倍余りの映像時間など、テレビの本放送とは差別化したコンテンツを提供することができた」と話す。テレビ放送用には、新年直前のカウントダウンのように、大衆が共通して関心を持てるようなメッセージとともに、アーティストが直接選んだステージが含まれており、ストリーミング用には、初めて公開される編曲のステージ、アーティストの日常の姿を見ることができるミニ・ゲームなどが加えられた。チャン・ヘソンチーム長は、「アーティストごとにそれぞれ『番組を通じて大衆に見せたいステージ』と『ファンと分かち合いたいステージ』があるため、このような意見を最大限反映しようと思った」と説明する。
オリジナル・コンテンツは、全世界的なプラットフォームを通じて拡散し、ファンダム流入のポテンシャルを高める「大衆のファンダム化」と、徐々に領域を広げていく「ファン・コンテンツの大衆化」を同時に触発する。このような化学反応は、プラットフォームとコンテンツの有機的な総合体、すなわち新たなメディア生態系を構築する過程でもある。モバイル・コンテンツが急浮上し、デジタル・メディアの利用に慣れ親しんでいるMZ世代(1980年〜2004年生まれ)が主要消費層として浮上している状況で、K-POPはソーシャル・メディアを通して早々に全世界のMZ世代をファンダムにした、先導的な事例だった。そしてコロナによりオンライン・コンテンツの比重がさらに高まった今、アーティストの主体性を基盤にしたオリジナル・コンテンツは、誰かのファンであろうとなかろうと、オールド・メディアとニュー・メディアのどちらを利用しようと関係なく、メディア環境全般に広く深い根を下ろしているところだ。それは、メディアの「ニュー・ノーマル」のひとつの断面と見ることができるのではないだろうか。
文. イム・ヒョンギョン
ビジュアルディレクター. Studio Blackout(BTS FESTIVAL), off-on Design Studio(SEVENTEEN PARK)
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