Credit
カン・ミョンソク
デザインMHTL
写真BIGHIT MUSIC

TOMORROW X TOGETHERのニューアルバム『minisode 3: TOMORROW』リリース前に公開されたティーザーの数々は、チームの足跡を振り返る。メンバーたちが王冠をかぶって登場した最初のティーザー、「TXT(TOMORROW X TOGETHER) minisode 3: TOMORROW Concept Trailer Teaser」がデビュー曲「CROWN」の王冠を連想させるなら、「Light」、「Ethereal」、「Romantic」で構成された3つのバージョンのティーザーイメージとコンセプトクリップは、デビューからこれまでのTOMORROW X TOGETHERの様々な瞬間と重なる。彼らだけが存在しているような自然の中で、星の王子さまさながらの姿をした「Light」は、爽やかで神秘的な少年の姿で登場したデビュー当初から「Blue Hour」までの時期を、堕天使がロッカーになったかのようなコンセプトの「Ethereal」は、彷徨いつづけた青春をロックで歌った「0X1=LOVESONG (I Know I Love You) feat. Seori」を連想させる。そして「Romantic」には、恋人と別れて手に負えない感情を表現した「Good Boy Gone Bad」のミュージックビデオに登場したバラが再び登場する。ただ、「Romantic」のバラは枯れきっている。『minisode 3: TOMORROW』のリード曲タイトルのような、「Deja Vu」。過去と似たようなことが繰り返されるものの、異なる現象だ。「Blue Hour」のミュージックビデオのように、彼らは「minisode 3: TOMORROW Concept Trailer」でも自然の中で踊る。しかし「Blue Hour」の美しい平原とは異なり、彼らが踊るのは高架道路が伸び、木々が廃墟のように横たわった森だ。過去と違って現在の事象は、惨めなねじれ方をしている。前作のアルバム『The Name Chapter: FREEFALL』でTOMORROW X TOGETHERが自ら飛び降りた場所、そこが現実だからだ。現実では、誰ひとり彼らが星の王子さまだったと信じない

「Deja Vu」の歌詞「何度も逃げ出していた」は、相手に「逃げようか」と尋ねた「Run Away」をはじめ、「CROWN」の「このまま逃げたい」、「LO$ER=LO♡ER」の「灰色の車に乗って逃げている」といった歌詞を一気に召喚する。「埃をかぶった僕たちの王冠の前で」は、「CROWN」から「Deep Down」の「A big crown on me/もう醜い角じゃない」など、TOMORROW X TOGETHERの角と王冠の関係を思い起こさせる。「Deja Vu」は、TOMORROW X TOGETHERの過去が堆積して生じた結果だ。そのすべての過去が積み重なり、今ここに現実のTOMORROW X TOGETHERを作った。「CROWN」のイントロで聞こえるモールス信号のように、「Deja Vu」より先に登場する2曲目の「- --- -- --- ·-· ·-· --- ·--」にもモールス信号が登場する。彼らの登場を知らせる信号は、現在も送られ続けている。しかし「Deja Vu」において、そのモールス信号は「廃墟の中の morse code」だ。過去から現在へ、幻想から現実へやっては来たものの、彼らの今ここは廃墟だ。まるで現在という波が過去という砂を消していくように、現在の激しい現実が過去のよき瞬間を無くしてしまう。過去のモールス信号が現在まで届くように、「Deja Vu」のビートとメロディーは流れ続ける。しかし「Deja Vu」で暗示されるTOMORROW X TOGETHERの過去さながらに、これまでの彼らの記憶に残った過去は、現実を受け入れがたくしてしまう。皆が信じなくても、自分だけは、自分が星の王子さまだったと信じたい夢。そして、ただちにその夢を激しく消し去ってしまう現実。ただの悲しみとも、怒りとも言えない感情が込み上げる過程。「Deja Vu」が、トラップのサブジャンルであるレイジとエモロックを混ぜているのは、ジャンル的融合以前に、この複雑な感情を表現した結果と言うほうが近い。ビートと共にゆっくりと押し寄せ、積もっていった感情が、Bメロの後半部に、ギターとドラムを前面に押し出したロックサウンドと共に爆発する。過去は幻想のように現在と断絶しているように思えるが、その過去が、現実に押さえつけられていた感情を起こす動力になることもある。「Deja Vu」の次のトラック「Miracle」のように、「明日という奇跡」を起こすことがある。「Deja Vu」で押さえつけられていた感情は、Bメロ後半の爆発的なクライマックスの後、「Miracle」で「両目を閉じないと見えない tomorrow」で、軽やかに爆ぜるロックサウンドに変貌する。「明日という奇跡」が本当にやって来るかは分からない。しかし、「Deja Vu」をアコースティック・ロックサウンドに編曲した「Deja Vu (Anemoia Remix)」を除いた実質ラストの曲「Quarter Life」のように、彼らは現実で、「9と4分の3」ではない「4分の1くらい歩いてきた長いトンネル」を歩んでいるかのごとく、暗い時代を通過しているところだ。本音の見えない大人たちは、「美しい青春は今だけ」だと言うが、当事者たちは「どこに行けばいいんだ」と叫びたい青春の一時期にいる。『minisode 3: TOMORROW』で集大成されたTOMORROW X TOGETHERの過去の旅路は今、少年たちの過去と現在、夢と現実の関係を覆す。現実の大人たちは、星の王子さまはいない、現実に忠実であれと言う。しかし『minisode 3: TOMORROW』は、そのすべての過去の夢と愛こそが現実を跳び越える「明日」に到達できる方法だと歌う。ヒップホップの時代に生まれた少年たちは、そうやってロックと出会い、明日へ向かって飛び越える。

それゆえ、『minisode 3: TOMORROW』の最初の曲「I'll See You There Tomorrow」については、アルバムを通しで聴いた後、再びこの曲に戻って聴くことをお勧めする。「Quarter Life」が「どこに行けばいいのか分からないけれど歩くんだ/今は少し暗くたって/彷徨うように乗り越えていく」と終わった後に繰り返される「I'll See You There Tomorrow」は「逃げたかった僕に『明日また会おう』と言ってくれた子供」に「僕は信じてる/we are meant to be/遅くなってもいい/僕はいつもここ/明日で待っているから」というメッセージを送る。この瞬間、「I'll See You There Tomorrow」は、TOMORROW X TOGETHERが真っ暗な現実を通り過ぎて「明日」は「一緒にあの向こう」に辿りつく瞬間になり、それと同時に、アルバムの最初の曲としてTOMORROW X TOGETHERの未来を浮かび上がらせる。現実は憂鬱で惨めでさえある。しかし、未来のTOMORROW X TOGETHERは、現実の彼ら、そして「明日また会おう」と言ってくれた子供に、一緒にあの向こうまで辿りつこうと言う。「Deja Vu」で感情を爆発させた声も、軽快な電子音と共に、肩の力を抜いて明日に近づく胸いっぱいの感情を表現する。

TOMORROW X TOGETHERの旅路は、夢のような過去と現実の今を経て出会う「あの向こう」の未来に行くことであり、『minisode 3: TOMORROW』は一枚のアルバムで過去、現在、未来を全て召喚し、彼らの青春に新たな転機が始まったことを示す。現実はもう4分の1程度まで来たようだが、遠くにある未来では、また別の姿で輝く自分たちがいるという、4番目のコンセプトトレイラーのタイトルさながらの「Promise」と共に、「一緒にあの向こう」に辿りつくまでの物語が、TOMORROW X TOGETHER世代の青春だということを。   

Copyright ⓒ Weverse Magazine. All rights reserved. 無断転載及び再配布禁止