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ペク・ソルヒ(作家、コラムニスト), ソン・フリョン, チョン・ソヒ(映画ジャーナリスト), キム・ボクスン(作家)
デザインMHTL
写真MBC Show! Music Core, BDNS YouTube

PLAVEの『Show! K-POPの中心』ライブ
ペク・ソルヒ(作家、コラムニスト):2ndミニアルバム『ASTERUM:134-1』の初動売上がハーフミリオン達成。そしてついに、地上波音楽番組での1位に輝いた。ザ・現代ソウルで開かれたポップアップストアには、計2万人が訪れた。これが、韓国初のバーチャル・ボーイズグループPLAVEが1年かけて積み重ねた記録だ。メンバー全員が作詞作曲やプロデュースはもちろん、コレオグラフィー制作まで手掛けるPLAVEは、それぞれポジションがありはするものの、はっきりと区分を設けていない。まさにそのポテンシャルによってPLAVEは、拒否感をもたらしうる「バーチャル技術」を跳び越え、大衆たちの新たな「好み」として位置づけられた。

このユニークなグループの強みは、何と言ってもライブ映像に最もよく表れている。様々な限界により、全ての音楽番組に出ることはできないが、その分、出演するたびにバーチャルアイドルという長所をうまく生かしている。例えば、ステージとバーチャル背景を自由自在に行き来したり、空中に浮かび上がったり、離れた場所にいたメンバーが一瞬にして集結したりするのだ。
現実では不可能だが、バーチャルアイドルだからこそ可能なこの素晴らしい演出が最大化された映像は、1位を獲得した2024年3月9日の『MBC SHOW! K-POPの中心』の「WAY 4 LUV」ライブ映像だ。彼らが暮らす中間系「アステルム」から「テラ(地球)」のステージへ飛び込む姿をはじめ、一人のメンバーを残して他のメンバーが煙になって消えたり、空から落下して一瞬で背景が転換するなど、PLAVEならではの多彩な演出で楽しませてくれる。そして、これら全ての演出は、曲が与えるムードと自然に調和し、彼らにしか生み出せない「感性」を極大化する効果をもたらす。K-POPのもう一つの可能性を拓いたPLAVE。しかし彼らは、まだ一歩踏み出したに過ぎない。技術の進歩に伴い、この5人は私たちをもっと広い場所に連れて行ってくれるだろう。今後、この5人が誘う新世界には何があるのか、この上ない期待と共に見守っている。

『Forever Waiting For You』(BDNS)
ソン・フリョン:「モッパン大洪水の時代に、食べないという果敢な選択。しかし、食べるまでの過程を実に熱心に準備してみせよう」。ムン・サンフンが語ったコンテンツの企画意図から分かるように、『Forever Waiting For You(原題:来ないあなたを待ちながら)』はタイトル通り「待つ」時間を真正面から収めることに集中する。デリバリーの注文から始まり、料理が届くまでの時間を使って語り合う。特に何も考えず過ごすことの多い、短くも長くもないこの時間で『Forever Waiting For You』はかなり多くのことをやり遂げているように見える。韓国地理のスター講師や軍人などのキャラクターが本人よりも先に多くの人々に知られることになったムン・サンフンは、『Forever Waiting For You』シーズン1をはじめ、自身の長年の好みを打ち明けたり、内に秘めた感情を共有することによって「人間ムン・サンフン」の姿を見せようと試みた。また、シーズン2から彼はインタビュアーになり、限られた時間の中で人と人がどれほど深い会話が可能かを見せている。それゆえ、詩人のイ・フォンによる「サンフンは、自分自身と他人に対して、これまで建ててきた家の一部を剥がして差し出してくれるインタビュアーだ」という推薦のことばは、このトークショーの魅力を一言で要約する。例えば、歌手IUがゲストとして出演したシーズン4のEP.2で、ムン・サンフンは「IUのパン哲学」といった具体的な好みから、「IU」と「イ・ジウン」をどのように分離しているかについての真面目な話まで引き出す。このような密度のある対話を可能にする原動力は、好きな気持ちは濾過なしに差し出しながらも、正確に尋ねようとするムン・サンフンの質問の仕方にあるだろう。彼は、作詞をする際に大衆受けをどのように考えているかという質問を、「『ジウン様の世界は深い。』でも、言葉や歌詞で表現するとき、それをそのまま差し出すと溺れる人が多いかもしれないから、底を少し上げてざぶざぶと楽しめるようにするのでしょうか」という言葉に変えて表現する。そうして続いた対話の末に、このコンテンツのコメント欄には珍しい光景が繰り広げられる。多くの人々がいわゆる「恥ずかしいから」という盾の下に隠していた正直な面を見せ、それだけ優しい言葉で応える光景が。

『キメラ(La chimera)』 
チョン・ソヒ(映画ジャーナリスト)彼にとって、この世は煉獄のようだ。アルトゥール(ジョシュ・オコナー)は、死んだ恋人のベニヤミーナ(イレ・ヴィアネッロ)に、「ここにいない女」に通じる道を探す。「キメラ状」のアルトゥーガ畑には、人々が生き、そして倒れた地面の下に遺物がある。水脈探査屋で盗掘屋の男は、寂しくて孤独だ。墓荒らし団は、金になるか金にも換えられない副葬品を感知するアルトゥールをリーダーという名の金づるにするが、彼は暑い季節に収監され、寒い季節に出所した着た切りの前科者、「僕の失われた女」がいる地下の扉を探すために流浪の日々を送り、「こそ泥の振り」を続ける、自らの目的に没頭する異邦人だ。ベニヤミーナの場所はベニヤミーナによってしか埋められない。アルトゥールはエウリュディケに会いに行こうとするオルフェウスになるが、神話のように高尚たろうという欲望はない。墓地を仕事場にし、タブーを気にしない彼は、愛に浮かされている。2000年もの間封印されていたエトルリアの神殿へ導くアルトゥーの霊感は、ついに彼を女神像の前に立たせ、悲嘆に暮れさせる。手軽な運搬のために躊躇なく石像の首を壊すアルトゥールの「仲間たち」、盗品商人の命令で警察になりすまして石像を奪い取る手先たち、身体のみの石像であるため「我々のうち誰にでもなれる」話術で破損まで格上げさせる競り人スパルタコ(アルバ・ロルヴァケル)に挟まれ、アルトゥールは女神像の顔を切ない表情で撫でる。アリーチェ・ロルヴァケル監督は、この激しい利権争いをイタリアの長きに渡る「古美術品マーケットと考古学的貴重品の不法取引」問題として扱う。自らを決定権のある捕食者と勘違いする墓荒らし達は、その実、「より広い芸術品マーケットの餌」に過ぎない。「巨大なシステムの駒、車輪の歯車一つに過ぎない」彼らは、「自分たちを排除する美術品マーケットの利益」に奉仕する。そうして非公開オークションが開かれる湖に浮かぶ黄金の船で「完成品」の女神像を手に入れようと各々が牙を剥く寸劇を見ていたアルトゥールが女神像の顔を手に入れる瞬間、彼は「文明のゆりかご」を害した悪弊の歴史に反旗を翻す例外的な存在になる。「人が見るために作られたものではない」。遺産は人によって価値が上下しないことを悟る唯一の存在アルトゥールは、キメラだ。人間ではない。激しい追跡の間、彼の鑑識眼は珍貴な女神像を感知するという理由で珍貴だったが、彼の目は、珍貴な女神像に値札をつける世界から離脱するよう助ける存在に生まれ変わる。哀悼に留まらない愛の持ち主は、世俗に背を向ける。今やアルトゥールには、これまで荒らした墓の亡者たち、所有の代わりに共有する女たちが見える。彼は冷たい女神像の顔を手に入れないという任務を終え、自らが立ち寄った全ての場所を巡り巡ってはじめて開く入口を発見する。最後に到着した坑道は永遠に閉じられ、「ベニヤミーナの糸」を辿ったアルトゥールは、熱をもったベニヤミーナと抱擁する。自責することなく不義を働き、顕示欲なしに清らかな彼は、異質さの入り混じる、中間に定着できない運命だ。超越したキメラは、「ここ」から抹消される。

『これほど些細なこと(原題:Small Things Like These)』 - クレア・キーガン
キム・ボクスン(作家):絵画のような冬の風景を収めた表紙とは異なり、アイルランド作家クレア・キーガンのデビュー長編『これほど些細なこと』は、表紙から想像される短くて暖かいクリスマスの物語とは距離がある。
小説とはいえ、物語は女性たちが奴隷のような暮らしに追い込まれて死を迎えた1980年代のアイルランドの村・ニューロスで実際にあったことを土台に書かれている。物語の主人公は、未亡人が連れてきたシングルマザーの息子であり誰かの夫、そして、5人の娘を持つ父親であるビル・ファーロングだ。このように、登場人物の大部分が女性であるこの物語において主人公が男性であるという点はかなり興味深いが、作者自身はその理由を、この物語の核心が決して男性主人公の選択ではないからだと言及している。結局この物語の核心は、目撃した不当さに対して声を上げるか、あるいは沈黙するかのうちどちらを選択したかではなく、他人の苦痛を防ぐために自分の安寧を喜んで手放す者は誰もいなかったという部分にあるのだから。
多少重さを除いた視線で読んでみると、自らがどれほど幸運だったかを知り、世の中に善行を施していく者の物語にピントを合わせ、この作品を世代のトラウマを解毒してくれる薬だと説明することもできる。ただしこの小説は、始まり、途中、終わりがはっきりしたナラティブというよりも、大きな絵を描いていく過程に近いため、明確なエンディングを期待して読むよりも、その絵のディテールをそのまま受け入れて読んでいくことをお勧めしたい。

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