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K-POPが国際的な人気を集めてきたこれまでの歳月は、韓国の芸能事務所がグローバル・ビジネスにチャレンジし、それに適応してきた時間だとも言える。より大きく、より多くのことができるようになり、そして成し遂げる。だが去る2日、HYBEが子会社Big Hit Americaを通じて、Ithaca Holdingsを買収したことは、また別のことだ。このニュースより先に、K-POPがアメリカのビジネスを買収し、拡張するということを考えた人は多くないだろう。それを、ただBTSなどのHYBEのアーティストが、ジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデと同じ事務所に所属するという風に理解することもできる。だが、より正確に見てみよう。はたしてどのような会社がHYBEの一部になったのか。

Ithaca Holdingsは持株会社だ。それを簡単に表現すると、スクーター・ブラウンの全ビジネスと同義語だ。スクーター・ブラウンは、PSY、CLのアメリカ進出時、マネジメントを担当するなど、K-POPとの接点により韓国でもその名を知られたマネージャーだ。もちろん彼の最も有名な経歴は、ジャスティン・ビーバーをYouTubeで発掘し、今までマネジメントしてきたことだ。その他にも、アリアナ・グランデ、J・バルヴィン、デミ・ロヴァートなど、有名アーティストのマネジメントを務めている。アメリカにおいてマネジメントは、アーティストの事業についての理解を代弁し、レコーディング、広報、パブリッシング、公演など、音楽産業に関するさまざまな契約を管理する存在となる。それは、アメリカの音楽産業の著作権と利益配分をめぐる契約関係が、とても複雑であることと無関係ではない。
一方韓国は、マネジメントとレコード・レーベルを事実上区分できない場合がほとんどだ。ジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデが、広く見ればユニバーサル・ミュージック・グループ、もう少し細分化されたレーベルとしてはデフ・ジャム・レコーディングスやリパブリック・レコード所属なので、それが別の会社ではないのかと問う理由だ。その通り。彼らはユニバーサル・ミュージック・グループとレコーディング契約関係にある。そしてスクーター・ブラウンのマネジメント会社、SBプロジェクトがその契約を管理している。当然SBプロジェクトはIthaca Holdingsの中で最も重要な会社だ。スクーター・ブラウン自身のレコーディング会社であるスクールボーイ・レコードもある。スクールボーイ・レコードは、アッシャー、デフ・ジャムと合同で、ジャスティン・ビーバーをデビューさせるための会社であるRBMGレコードを作った。スクールボーイとRBMGは、デフ・ジャムとともにジャスティン・ビーバーのレーベルだ。現実の契約はかなり複雑だ。またIthaca Holdingsのもう一つの軸にビッグ・マシーン・レーベル・グループがある。カントリーを主軸としたシェリル・クロウ、ティム・マグロウなどのアーティストと契約を結んでいる。スクーター・ブラウンの事業は音楽マネジメントを中心としているが、それに制限されるものではない。映画やTV番組製作、さらにはIT、ゲームなど、各種投資事業も含まれる。

それで結局私たちは、今何を見ているのか。HYBEには、韓国では世界で最も人気のあるボーイズ・グループのマネジメントを担っている所属会社を含め、多数のK-POPレーベル、そして音楽を基盤とした多様なビジネスを繰り広げる事業部門とプラットフォームまである。そこに、ジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデという、アメリカで最も広いファン・ベースを持つ二人のアーティストのマネジメントを行う会社が合併した。簡単にまとめると、全世界で最も大きく、強いファン・ベースを持つブランドの誕生だ。そこに何が期待でき、どんなことが繰り広げられるのかを生半可に予測するのはやめよう。ただどんなことが起きたのか言うことはできるだろう。
文. ソ・ソンドク(ポピュラー音楽評論家)
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