TAEHYUNはいつの瞬間も回りくどく話さない。その明瞭な直観が伝えるロマン。
先日一人で漢江に行っていましたね。そういう時間はどのように過ごすのですか。
TAEHYUN:好きなキャラメルマキアートを買って、それをちびちび飲みながら、舌は甘さを感じて、目はのんびりした風景を見て、平和を感じます。インスピレーションを与えるようなものではないんですが、ちょっとリフレッシュするように思います。ただ気分が良いんです、そうしていると。
忙しいスケジュールの中で時間を割くわけですが、もし余裕ができたら何をしますか。
TAEHYUN:さっきお話しした平和な時間もあるでしょうし、運動もしますし。時間を割いてやっていることを、余裕を持ってするぐらいだと思います。今は運動を途中でちょっとと、仕事が早く終わって時間ができた時にしていますから。
運動はほぼ生活の一部のように見えます。
TAEHYUN:今はもう、一つの習慣のように定着しているので、僕もなぜ運動をするのかわかりません。ジム通いの人の目的のない運動です(笑)。背中の運動を長くやらないと曲がるので、姿勢を良くするのに役立ちますし、仕事だけをして家に帰ると、頑張って生きている感じがしないので(笑)。緊張感の維持にもなりますし、充実している感じがするので好きです。
ツアー中にも体力維持のためにランニングをしたり、「Tinnitus (Wanna be a rock)」のステージの腹筋のための運動も続けていましたよね。
TAEHYUN:公演が約30回だったんですが、すべて腹筋をお見せしたんです(笑)。ソウルツアーで一度やったんですが、他のところでやらなかったら皆さんは寂しいかもしれないと思いました。ある時期から食べるのが好きになって、だんだん腹筋がはっきりしなくなってきたので、なんとかキープしようと思って(笑)。簡単ではありませんでした。ツアーをする時はいつも息が切れるぐらいランニングをするんですが、公演をすると同じように大変なんです。やらなかった時のデータがないので役に立っているかどうかわかりませんが、そうだと信じています。
一方、TAEHYUNさんの長年の趣味であるボクシングは、健康管理というよりは趣味に近いように思えます。
TAEHYUN:ボクシングは自分がつらいからといってペースを落とせる種目ではないので、相手のペースが上がれば僕も上げなければなりません。その代わりに、相手にとってみれば僕が障害物ですし。記録戦ではなく、大会に出るわけじゃなければ、怪我をしない程度の強さなので、汗もたくさん出て、良い有酸素運動の一つです。そういう種目をよく体でするチェスと言うんです。自分のある部分が相手より足りていなくても、充分に勝てる余地があります。強さを追求して、そのために自分を削る努力をするというのが魅力です。
TAEHYUNさんが考える「強さ」とはどんな意味ですか。
TAEHYUN:いろいろな意味があると思いますが、同じ階級で力のある選手もいれば、相手のホームグラウンドに行って周りの反応を気にせず勝つ選手もいます。そういう精神的な部分も含まれると思います。計画を立てて、狙ったところに向かうんですが、それを妨げる障害物を上手く避ける人たち。崩れない人たち。
ある意味、TAEHYUNさんの仕事に対する姿勢と似ているように思います。
TAEHYUN:そうだと思います。その方々もプロの世界ではたくさんの人の前に立つ人たちですよね。僕たちはステージの上に上がるわけですが、一定の準備期間を経て大衆の皆さんにお見せするという点も似ていると思います。
そんな準備期間を経てステージに立つツアーはいかがですか。対面でツアーをするようになって約2年が経ちましたが。
TAEHYUN:最初は本当にどうしていいのかわからなかったんです。「何回やる」、「どこに行く」、そしてセットリストをもらった時は本当に…(笑)、もちろん楽しい瞬間もありますが、地下の動線に移動する時はどたばた走り回ったりもして、時には「やり遂げるんだ」、「生きて着替えに行くんだ」という気持ちの時があります。そうすると時間が一気に過ぎる区間があるんですが、初めてハンドマイクを握った時がそうです。「一緒に楽しもう、跳ね回ろう」という雰囲気なんですが、動き回りながら観客と息を合わせるのって即興じゃないですか。その時からは楽しくなります。
TAEHYUNさんがWeverse LIVEで非対面で行った初のファンライブ当時の経験を表現していたのが印象的でした。「カメラで撮っていない時の自分はどこでも見られない。それが致命的でした」という言葉。
TAEHYUN:あの時期はカメラが僕を撮っていなければ、僕が何をしてもわからないという、あり得ない状況が可能だったじゃないですか。でも対面の公演は、たくさんの人の中で誰かが僕だけを見ていることもありますから。そうすると僕はあらゆる瞬間に曲のムードを維持していなければなりませんし、服が落ちた時におおっぴらに直せなかったり、目に何かが入った時にこすれなかったり。もっと気を配ることはたくさんありますが、それは些細なことですから。見てくださるのはありがたいことです。
ボーカル的にもTAEHYUNさんがツアーに注ぐ努力はたくさんありますよね。ご自身だけの挑戦と試みをし続けているようでした。
TAEHYUN:はい、その通りです(笑)。毎回体の変化を感じながら、「どうしたらもっと簡単にできるだろう?」、「どうやったら成功率が上がるだろう?」、「どうしたら喉にダメージが少なくなるだろう?」と、微調整をしながらやっています。音響も僕が直接コミュニケーションをとって、リハーサルの時合わせてみますし。レコーディングは何度もやって一度上手く歌えればいいんですが、公演は観る方たちがいるので、10回やったら10回すべて安定してできるという心構えで歌わなければなりません。以前はSlow Rabbit PDに「これ、ライブがしんどいんですけど、キーを下げたらダメですか」と聞いたこともあるんですが(笑)、結局できたんです。練習すればできないことはありません。できないとしたら努力が足りないんだ。すべてできるようになるんです。
今回の『The Star Chapter: SANCTUARY』のうち、いくつかのアドリブで「TAEHYUNさんの声だな」と感じたんですが、レコーディングする時にもうご自身のスタイルができたと感じたりもしますか。
TAEHYUN:レコーディングはするのも楽になりましたし、PDともあうんの呼吸なので、ストレスがありません。でもこれはいつも悩みです。僕はすごくたくさんのジャンルが好きで、その歴史を知るのも、歌うのも聴くのも好きなんです。でも自分に合う服を選ぶのはとても大きな課題です。何を与えられても上手くこなす自信もあって、70、80はできるんですが、一つのことを100でできる自信がない感じです。まだ自分の色を持つという点で、上手くできているのかわかりません。それでも声を聞き分けてもらえるというのは、歌手にとっては嬉しいですし、ありがたいことです。とても良い兆候だと思います。
個人的に、「Forty One Winks」の導入部はTAEHYUNさんでなければできないパートだと思いました。
TAEHYUN:ツアー中に日本でレコーディングをしたんですが、パートが決まる前に歌を聴いてPDに言いました。最初のバース、僕にやらせてくれませんかって。僕がぶちかましますって(笑)。PDが「そうして」と言ってやることになったんですが、レコーディング初日にすぐOKになりました。その部分は確信がありました。こう歌えばいいって。
作詞も以前からずっと続けてきましたが、今回のアルバムはどうでしたか。
TAEHYUN:「TOMORROW X TOGETHERがこの言葉を言ったらすごくおもしろそうだ」と思った時に書く言葉が多いです。「Danger」はわかりきったことかもしれないテーマですが、かえってそういうことを僕たちはやったことがないのでおもしろかったです。今回変わったことは、僕は作業室でモニターにウィンドウをいくつも開いてスマホで書くのが好きなんですが、ずっと海外にいたのでそれができないんです。「Danger」は飛行機で、「Resist (Not Gonna Run Away)」は車の中で、どこかに落ち着いて書いたことがないのが新鮮でした。時々作業室ではだらだらする傾向もありますが、移動しながらだと到着する前に書かなきゃと思って、もっと早くできた気もします。到着予定時刻がデッドラインになってしまう、そんな感じなので(笑)。
タイトル曲「Over The Moon」のメッセージは以前より直観的ですが、TAEHYUNさんはどのように受け止めて表現しましたか。普段から歌に対する理解を必要とするタイプだと感じていたんですが。
TAEHYUN:すごく直観的ですね。でもMOAの皆さんのさまざまな解釈を聞きたいフレーズが一つあります。「長く続いた未来を作ろう」という歌詞があるんですが、聴く人にどう響くか気になるので、MOAの皆さんの助けが必要ですね(笑)。「Over The Moon」は「気分がいい」がまず最初に来ると思います。見た感じで余裕が重要で、誰が見ても安定していて上手いと感じてもらえたらいいなと思います。「あれ?あの人、よく目立つね。ずっと思い出すね」くらいに。ステージが終わった時、「あの気持ちいい人は誰だろう」くらいだったら大成功だと思います。そうするためには、歌も余裕を持って上手く歌わなきゃいけないですし、ダンスも引っかかるポイントなしにこなして、さりげない魅力を見せなければいけないと思います。
そういう魅力はもっと難しくありませんか。
TAEHYUN:すごく難しいですね(笑)。群舞を減らして、その分メンバーたちが踊るんですけど、それが課題でした。群舞は体力と練習時間でできるんですが、これはどうやったらかっこいいか研究して、自分が感じなければならないので。もうそういう年次になったと思います。30回の公演をする人たちだからできることですよね(笑)。
TAEHYUNさんはいつも準備過程でベストを尽くして、それを自信を持って言える人でもありますよね。今回のアルバムもそうですか。
TAEHYUN:はい。
すごくきっぱりとおっしゃいますね(笑)。
TAEHYUN:決められた時間で僕ができることはすべて入れましたし、そうすべきだったと思います。当たり前のことの一つだと思います。そうやって集中する方がずっと気が楽なので。ベストは熱意と誠意を尽くすこと、僕が何かに手を加えたとしても変化が起きない感じがしたら、それがベストだと思います。
本当にすべてやり切った人だけが言えることですよね。そのベストが向かうところには何がありますか。
TAEHYUN:僕はステージに立つのが好きで、歌が好きなので、この職業を選んでそれを成し遂げた人です。それでも時には目標が必要です。より高い目標を立てて、TOMORROW X TOGETHERという名前で、この5人とMOAの皆さんと作って成し遂げたいことがたくさんあります。ファンの皆さんとの交流や約束のように、もちろん指切りして約束したわけじゃありませんが(笑)、守らなければならないことがありますし。僕はこのグループを長く続けたいんです。そうするためには誰かが僕たちをずっと応援してくださらなければならないですし、それが安定感を与えてくれます。ある目標や結果は、その過程で「僕たちは上手くやっているし、上手く進んでいるな」と実感させてくれるんです。
その5人のメンバーたちと8年一緒にやってきました。それはTAEHYUNさんの人生の1/3以上の時間です。
TAEHYUN:そうなんです。YEONJUNさんとは9年になりますし。今は動線を整理する時も何文字かだけで話すんです。「2? 3?」と言えば、ステージにマークした2番に立つのか、3番に立つのかという意味です。名詞だけ言っても話が通じるようになりました。
そんな親密な感じを抱いたのが、「TO DO X TXT – EP.144廃虚スター」だったんです。怖がりな年上メンバーたちが、少なくともTAEHYUNさんはダメだと守る時(笑)。
TAEHYUN:人間愛を感じました(笑)。SOOBINさんが「あの子一人じゃダメだ」、YEONJUNさんが「一人で行っちゃダメ」って(笑)。僕たちはお互いよくわかっていて、隠し事が全然ないレベルです。一緒に仕事をする人たちがそうやって合っているというのはものすごく幸せなことです。費やす時間も家族よりもっと多い人たちなので、とても良いです。合わせていくのは簡単じゃありませんでした(笑)。冷静に考えてみると、仕事をするパートナーとして最初に会ったので、葛藤もあって、合わないことを合わせる過程がありました。前は一人の方がもっと楽だと思ったこともありましたが、今は一人だと大変です。
TAEHYUNさんがYEONJUNさんの「GGUM」の活動の時、事前録画にお弁当を持っていったりもしましたね。
TAEHYUN:これは確信があります。僕がメンバーたちに一番関心があって、モニタリングも一番一緒にする人だと思います。他のメンバーだったらちがう表現をしたと思いますが、YEONJUNさんだったら、僕が自ら行った方がずっと良いと思いました。そういうことに感動する人なので(笑)。食べるのが好きな人なのに、あまり食べられないみたいで、売店でファストフードでも食べるんじゃないかと思いました。ちょうど僕も休んでいたので、さっと行って渡して帰って寝ました(笑)。愛がなければできません。
周りの人たちに本当によく表現する人ですね。
TAEHYUN:実は僕の周りの人はそんなに多くありません。メンバー、愛情を持っていて、ずっと会っている人たちで、自分の時間と努力を注いでその人たちのために何かをしようとしたら、表現やコミュニケーションをたくさんしなければならないと思います。今の僕には、そういう人たちが僕の大切な人です。ですので、時にはメンバーたちと良いことしか言わない関係じゃない方が、もっと良い結果が出て、お互い信頼し合えるようになると思うんです。適当に維持したいなら、良いことしか言わないこともできますが、むしろ嫌なことを口にしたり、聞かなければならない時もあると思います。
それが実は負担になることもありますが、愛情をベースに受け入れるわけですよね。
TAEHYUN:僕の表現の仕方も大事ですが、メンバーたちが僕のことをどう思うかも大事です。テヒョンが自分たちに愛情を持っているから話しているという背景があれば、それをおかしいと思わないので。そうじゃなければ文句になりますから(笑)。その過程でお互いにずいぶん努力しました。
MOAの皆さんには無限の愛情だけを注いでいますよね。YEONJUNさんの事前録画の時に、MOAの皆さんの待ち時間を減らそうと言っていた逸話を偶然見ました。
TAEHYUN:僕はファンの皆さんに最高の「ファン活動」をしてほしいんです。1曲が終わって空いている時間に、もう少し早く出てきて話をしたりする方がいいなと思いました。身だしなみをちょっと整えたからってすごくきれいになるわけでもありませんから(笑)。「早く出ていかないといけませんね」とマネージャーチームに言ったんですが、誰かが聞いていたみたいですね(笑)。
「他人の幸せを願うことは自分が幸せになることでもある」という言葉をWeverseのコメントに残していましたね。それを実感した瞬間があったからでしょうか。
TAEHYUN:ファンの方たちに会った時、こんな話をする方がいらっしゃいます。「You saved my life」。僕はただ一生懸命歌って、アルバムを出して、ステージに立っただけなのに。その方たちがそうやって表現してくださるのは、TOMORROW X TOGETHERという存在に出会って、僕たちを見てポジティブな感情が生まれたからじゃないかと思うんです。僕にそんな幸せを感じさせてくれた人たちが「上手くいってほしい。幸せになってほしい」と願うことで、もう一度ポジティブな気持ちが生まれると思いました。まさにその時実感できました。
- SOOBIN 「僕は僕として輝けばいいんだと思います」2024.11.11
- BEOMGYU 「僕がステージをこんなに愛してたんだ」2024.11.12
- HUENINGKAI 「MOAのおかげで自分自身を愛すようになりました」2024.11.13