『最愛中の最愛』(Pixid)
ペ・ジアン:「僕はどんな分野でも、推し活をする人たちは健全ですてきな人だと思うんです」。MCであるTOMORROW X TOGETHERのSOOBINの言葉通り、「最愛中の最愛」、「推し活」、、「オタク」、「ファン」という単語を取り巻くネガティブなフレームを取り除き、その単語の純粋な価値を見つけ出して見せてくれる。「最愛」の存在は、SOOBINにとってのKARAのように夢を見させてくれる原動力になることも、YouTuberミミミヌにとってのG-DRAGONのように自分の人生を説明する一つの物語になることも、ATEEZのWOOYOUNGにとっての『ハリー・ポッター』のように大人になっても天真爛漫さを失わない方法であることも、ENHYPENのHEESEUNGにとってのラーメンのように仕事帰りに自分に与える最大のご褒美であることもある。誰もが自分の好きな分野について語る時は、夢中になって話さずにはいられない。「あの人があんなにまで好きなのには理由があるのでは?」自分の人生において「最愛」がどんな意味を持つのか、どのように好きになって今でもそんなに好きなのか、その年譜を説明し心躍らせるゲストの表情は、視聴者の心をも揺れ動かす。そして、そうやってゲストたちが喜びを感じている瞬間、MCのSOOBINは彼らの揺るがない「ファン心」をテストし、バラエティのおもしろさを逃さない。「ハリー・ポッター好き」のWOOYOUNGには寄宿舎のフルネームを知っているか、ミミミヌには恋人との記念日とG-DRAGONのコンサートだったらどちらを選ぶか、HEESEUNGにはHEESEUNGの大好きなラーメンをSOOBINが好きではない理由を明かして挑戦状を突きつける。この時、ゲストごとに自分の偽りのない「ファン心」を証明するやり方が異なるという点も、興味深いポイントだ。自分の「最愛」は、自分の気持ちと愛情をどれほど理解しているのだろうか。『最愛中の最愛』で、「最愛」と自分は互いをもう少し理解し合う。
『RUBY POP』 - アイナ・ジ・エンド
ファン・ソノプ(ポピュラー音楽評論家):アーティストの成長を見守るのはいつも楽しいことだ。特にアイドルグループ出身のメンバーが一人立ちし、再び独自性を構築していく姿ほど劇的なものはないと思う。最近そんな感動を大きくもたらしてくれたアーティストの一人と言えば、アイナ・ジ・エンドが思い浮かぶ。BiSHとして活動していた最中にも、ソロアルバムと映画を通してシンガーソングライターでありアーティストとしての存在感を常に発揮してきた彼女。いつの間にか3枚目のフルアルバムとなる新譜は、自身の名前を掲げたことに対する重みを背負うため、凄まじいまでに内面に没入してきた過去の作品とはまったく異なる姿を見せている。ひたすら自分だけの音楽世界を構築していた彼女が、少しずつ周りの人たちと手を取り合いながら、それを堅固なものにしていく姿が盛り込まれているおかげだ。
彼女が少し自己証明のプレッシャーから解放されたということは、実はプロモーショントラック「Poppin’ Run」を通して感じられる。爽やかな疾走感で、以前にはなかったカジュアルさを備えた状態で、ミュージックビデオの中の彼女は久しぶりに活気あふれる姿を披露している。歌詞もまた、ありのままの感情をぶちまけるような、時には聴く者さえつらく感じられる普段の作法と少し距離を置いた軽いメッセージで統一されている。孤立していた彼女が、周りの人々の信頼に支えられて、以前にはなかった「余裕」を新たに発見したのではないかと自分なりに予想してみる。
J-POPの定番と言われる槇原敬之の「クリスマスカード」が冬にふさわしい季節感を、凜として時雨のTKは特有のミクスチャーハードロックの質感を「Love Sick」に盛り込み、ポジティブな異質感に仕上げている。そのようなそうそうたるミュージシャンの参加もあるが、実際注目すべき点はまた別にあり、それがまさにサポートバンドのベーシストとして活躍中のなかむらしょーことのコラボ曲だ。序盤に集中している「Entropy」、「ハートにハート」、「煽り癖と泣き虫」などを中心に、自然にアイデアを出しながら楽しく作っていった記憶が、温かみのある赤で具現化され、ランニングタイムを彩る。スタイルに関係なくハスキーな歌声を自由自在に駆使し、溢れんばかりの感情を盛り込む彼女のボーカルの力量もまたぐんと成長し、17のトラック、71分余りの再生時間がまったく退屈ではなく感じられるほど。自分の作った堅固な基盤と、今までよりも強調された周囲のサポート。ようやくバランスを取れるようになった彼女のポテンシャルが存分に詰まったこの宝石箱、長いこと大切に聴きたい。
『大都市の愛し方』(パク・サンヨン)
キム・ボクスン(作家):最近映画化やドラマ化の話題で注目されている『大都市の愛し方』。その原点であるこの本には独特の魅力がある。現代の大都市ソウルで愛と複雑なアイデンティティを探究していくゲイの男性パク・ヨンの物語を扱ったパク・サンヨンの小説は、それぞれ独立していながらも、時々互いに繋がる4つの物語で構成されている。パートナーのギュホや親友ジェヒとの関係などが描かれているこの本は、ヨンの20代序盤から30代序盤にわたる人生と、その中の重要な瞬間を描いている。主人公ヨンは矛盾に満ちた人物で、特有のシニシズムと個人的な苦悩は、最初は受け入れにくいかもしれない。だが、この本の微妙な描写は、結局は多くの人々の共感と理解を引き出す。
作家パク・サンヨンは、深刻な病、社会的期待、互いに悪い影響を与える人間関係などの重いテーマを、生き生きとした会話と予期せぬユーモアで、バランスよく、ウィットと悲嘆の調和で描き出す。型からはみ出さない生き方を重視する社会で、ヨンが家と外の世界から感じる自己疑念、そしてそのプレッシャーに立ち向かう方法は、つらい過程ながらも、一方では自由に向かっている。この小説の非線形的な構造と、各話にわたって好奇心をかき立てるヨンのアイデンティティの曖昧さ。そのすべてが、まるで何度も読み返して個人的な省察をする機会を用意してくれているようだ。
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