K-POPグループが、もはやアーティストというラベルだけで定義されることはできない時代だ。歌って踊るアーティストを超え、一つのブランドとして認識される。グループの名前やロゴ、アルバムごとのコンセプトやデザインといった視覚的象徴を通じて、大衆やファンダムの心の中に総体的なイメージをつくり、そこから枝分かれしたオフラインでの体験と価値を提供する。
NCTという文字を目にすると、自然と思い浮かぶ要素がある。黄緑のネオンカラー、少し難解でありながら耳に残る音楽。彼らがどんな音楽をし、どんな姿で登場しても、「ネオだ」という言葉で言い表される。そして、受け入れられる。その力は、成功裏に構築されたブランディングから生まれる。差別化されたブランディングは、「拡張」という主要キーワードから始まった。「グループを拡張する」というコンセプトの大筋は、実現可能な音楽を拡張し、実現可能な姿を拡張することで、NCTを形づくる。
2025年は、NCTというブランドから感覚できる体験のバリエーションが大きく広がった一年だった。弾けるような音楽とカラーで固有のブランドを築き上げたNCT WISH、成長型ストーリーテリングによって固有のアイデンティティを確立したNCT DREAM、完成型パフォーマンスでファンの前に立ったNCT 127、冬のスペシャルアルバムで時間を新しく感覚させたWayVまで。これらのグループ活動に加え、メンバーそれぞれのソロ活動もまた活発に展開された点は、特に注目に値する。NCTというブランドに対する体験の幅を、メンバー一人ひとりが持つ固有の色と深みで立体化したからだ。韓国でリリースされたアルバムを中心に、それぞれの魅力でNCTのブランディングを拡張した5つのソロ活動を振り返る。

TENの動き:TENの2ndミニアルバム『STUNNER』
2017年にリリースされた「Dream In A Dream」は、TENが1人でステージを満たしたときの姿をあらかじめ垣間見せてくれた。高尚でありながら優雅で、流麗だった。TENは芸術的美学で群を抜いた領域を築き上げるアーティストだ。彼の2ndミニアルバム『STUNNER』は、その美学がどこまで拡張できるのかを証明する。TENの動きは単なる振付を超えて、楽曲のメッセージを全身で投影する芸術的行為として捉えられる。
このアルバムの最大の特徴は、収録曲それぞれが持つ雰囲気の鮮やかなコントラストと、それによって生まれる視覚的刺激だ。アルバムの中には、耳を打つ強烈なビートと爆発的なエネルギーを放つ曲がある一方、力を抜いてまどろむ、チルな感性をくすぐる曲も共存している。ジャンルの統一性より優先されたこの多彩な音楽の幅は、リスナーの頭の中にそれぞれ異なるTENの軌跡を描かせる。アップテンポな曲では空気を切り裂くような鋭く直線的な動きを、ゆったりとした曲では波のように流れる曲線的な動きを想像するようになるといった感じだ。このように『STUNNER』は、出来上がった1つの絵を一方的に提示するのではなく、音を通じてTENの新たな動きを絶えず設計し、想像させる。最終的には、TENというアーティストが持つ無限の柔軟さを証明する。

MARKの果実:MARKの1stアルバム『The Firstfruit』
1冊の自叙伝。MARKの1stソロフルアルバム『The Firstfruit』を定義する言葉を選ぶとしたら、間違いなくこう述べるだろう。徹底的にチャプターを分け、その中に自身が育ってきた生い立ちを植え込んだ。その上に考え方や哲学をまいておく。そうしてMARKというアーティスト、MARKという一人の人間の姿までをも確かめさせる。チャプターは、MARKが通ってきた都市の名前から取ってきた。最初のチャプター「トロント」では、彼が受け継いだ土壌となる両親の話で始まり、誕生を祝福するかのような壮大なオーケストラサウンドが広大な大地を描く(「1999」)。続きの話は、彼が移り住んだ都市の順に展開されていく。彼の最初の移住先だった「ニューヨーク」チャプターでは、混乱を表すかのような強烈なヒップホップ曲が続き、彼の価値観を形成したと思われる都市「バンクーバー」では、感性豊かなサウンドで過ぎ去った時間を回想させる。最後の「ソウル」チャプターでは、「+82 Pressin’ (Feat. HAECHAN)」のようなダイナミックな曲から、ピアノの旋律で始まってエレクトロニックサウンドを加え、立体的に構成された「Too Much」まで、現在のMARKという人が持つさまざまな一面を音楽を通して実感させる。
印象的なのは、インタールード(「Mom’s Interlude」)が後半に配置された点だ。これは、表面的には最後のトラック「Too Much」とのつながりを確保するための仕掛けだ。しかし究極的には、アーティストの音楽が現在完了したのではなく、これからも続いていくと仄めかすメッセージとして読み取られる。肥えた土壌の上で育ったリンゴの木は、どんな形をしているだろうか。はっきりと言い切ることはできないが、私たちはぼんやりと思い描くことができる。

DOYOUNGの時間:DOYOUNGの2ndアルバム『Soar』
1人で満たす音楽の中のDOYOUNGの姿には、爽やかさを通り越して心を奮い立たせるものがある。彼が表現する音楽のジャンルが、楽器のサウンドを丁寧に重ね合わせたバンドサウンドの形を取っており、奏でられるメロディーがそのような形のサウンドを表現しているからかもしれない。単純に考えれば、それが正解に近いのかもしれない。ただ、DOYOUNGの音楽には、特に今年リリースされた『Soar』には、彼が積み重ねてきた時間がある。
DOYOUNGが自らの時間を広げて見せる方法は、小さい頃から聴いてきた音楽とのつながりにある。NELLのKIM JONG WAN、JaurimのKim Yuna、YBのYoon Do Hyunなど、彼が小さい頃から聴いてきたと思われる音楽の主役たちが加わってDOYOUNGの過去を後押しし、DOYOUNGはその過去の時間を足がかりに、自らの声を翼に、未来へと飛翔する。強烈なギターリフが印象的なロックサウンドの曲では、感情を爆発させるように吐き出し、ストリングスとピアノを基調としたミニマルな構成の曲では、声に意識を集中させる。アルバムのタイトル曲「Memory」から最後のトラック「Eternity」まで辿っていくと、彼が音楽と共に成長してきた過去と、音楽を言語としてファンとつながっている現在を連想するようになり、最後に至っては未来を期待するようになる。彼は「時間には絶対に勝てないことがある」と歌うが、皮肉にも、流れゆく時間に勝てないのは、彼が積み重ねてきた時間だ。

HAECHANの趣向:HAECHANの1stアルバム『TASTE』
HAECHANはこれまでのNCT 127とNCT DREAMの活動を通じて、さまざまなジャンルを歌いこなすボーカリストとして活躍してきた。特定のジャンルに秀でたボーカルではなく、幅広いジャンルをこなせるアーティストとしての多才さを証明したわけだ。しかし、1stソロアルバム『TASTE』は、それとは対照的だ。特定のジャンル、つまりR&Bとソウルを前面に押し出し、自身の音楽的趣向を積極的に共有する。彼の多才さは、R&Bというジャンルの中で幅広い時代を包容し、より深まる。モータウンサウンドを連想させる正統派R&Bのノスタルジアから、モダンな感覚を取り入れたサウンドまで、多彩に変奏される時間の中で、HAECHANは自由に歌う。
ファンキーなリズムの中に鋭く切り込むギターリフが印象的なタイトル曲「CRZY」ではマイケル・ジャクソンを思わせ、「ADRENALINE」では1990年代後半から2000年代初めのクラブシーンにブームを巻き起こしたクランク(Crunk)を現代的に再解釈して駆使する。「Roll With Me」では1970年代ソウルのノスタルジアが漂い、「Should Be」では1990年代のスロウジャムが、「Grey Rain」では落ち着いたオルタナティブR&Bが、HAECHANのボーカルを支える。1stソロアルバム『TASTE』を通じて、彼は特定のジャンルを深く探求し、自身の才能を「趣向の深み」で完成する。

JUNGWOOの魔法:JUNGWOO「SUGAR」
JUNGWOOの初めてのソロシングル「SUGAR」は、五感を刺激する。グルーヴィーで弾けるようなメロディーと、耳に残るサビ「Won’t you be my sugar」で聴覚を刺激するのはもちろん、パステルトーンの色彩と共にスパークリングを振りかけたかのようなきらめきで視覚的な楽しさまで与えてくれる。「SUGAR」という言葉は瞬時に甘さを想起させ、自然とわたあめの甘い香りが鼻先をくすぐるような錯覚を呼び起こす。さらに、ふんわりとした質感のわたあめが指先に触れるような触覚的想像力まで加わり、曲は1つの立体的な体験になる。
同曲のリリース日は11月下旬、冷たい風が吹き始める初冬だが、「SUGAR」は季節を追い越して届いた春風のような、やさしい温もりを感じさせる。冷えた季節感さえ忘れさせるこの甘い魔法は、JUNGWOOというアーティストが持つ固有の優しさが音楽として完璧に表現されたことを示している。
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