2022年、LE SSERAFIMのパフォーマンスを担当するパク・ソヨンディレクターは、「私でさえ彼女たちの限界がどこまでなのかわからない」と表現したことがある。そして3年後、LE SSERAFIMはK-POPガールズグループで初めて、アメリカのニューイヤーイベント『ニュー・イヤーズ・ロッキン・イブ(2026 Dick Clark’s New Year’s Rockin’ Eve)』のステージに立った。彼女たちは毎年、年末シーズンのステージでも多彩なジャンルと新鮮な演出が際立つパフォーマンスを次々と披露し、ステージの上で新たな限界に挑戦している。パク・ソヨンディレクターに2025年の年末ステージから今年の初めまでにLE SSERAFIMが見せた印象的なステージについて聞いた。

1. 『アメリカズ・ゴット・タレント(America’s Got Talent)』
パク・ソヨン(SOURCE MUSICパフォーマンスディレクティングチーム・チーム長):『アメリカズ・ゴット・タレント』は大変有名な番組ですよね。私たちが如何にすばらしいステージに招待されたかということを誇りに感じながら準備しました。特にYUNJINさんはアメリカ人なので、子どもの頃からこの番組を見て育っただけに、このステージをより光栄に感じていました。アメリカでもよく知られていて、パフォーマンス面でも強みのある曲を見せようと思い、「ANTIFRAGILE」を筆頭に「HOT (English ver.)」と合わせて構成しました。
アメリカの公演文化の特性上、観客の方たちが知っている曲であれ知らない曲であれ、ただその瞬間を楽しもうというマインドが強いので、積極的に表現されることが多いです。メンバーたちもアメリカで公演をする時は、いつも観客と一緒に楽しむという感じを多く受けると言っていました。ですので、私たちがステージをきちんとこなすことはもちろん、観客の皆さんとうまくコミュニケーションを取りながらステージを楽しむことも、同じくらい大切だと考えました。実際に会場でも、観客の皆さんがその瞬間を心から一緒に楽しんでくださっているという感じを強く受けました。おかげでメンバーたちも緊張しないで、ステージを充分に楽しむことができたように思います。

2. 「大衆文化交流委員会発足式」祝賀公演
パク・ソヨン:K-POPシーンをはじめ、大衆文化の分野全般にわたる意義深い場に私たちが代表として出席することになり、実は最初はプレッシャーが大きかったんです。国家行事だったので、これまでやってきたステージとは性格がちがいましたし。それでもこの公演がどれほど意義深い場なのか、メンバーたちも実感するにつれ、それだけの重みを持って準備しようと努力しました。ツアー中だったので準備の時間がとても足りなかったのですが、それまでのツアーで最も自信を持って楽しく披露してきた曲を中心に厳選して構成しました。重要な場なだけに、新たな面も見せようと韓国的な雰囲気のアレンジを加えたりもしました。特に「FEARLESS」というデビュー曲のパフォーマンスを合わせて構成することにより、その場を通してLE SSERAFIMというグループのアイデンティティを示そうという目標もありました。

3. 「2025アジアアーティストアワード(以下、「AAA」)」
パク・ソヨン:「EASY CRAZY HOT」コンサートの撮影関係者の方が、偶然今回の「AAA」のステージも担当されることになりました。コンサートで「Ash」と「HOT」のステージの演出が良かったので、「AAA」でも良い形で放映したいという意見をいただきました。ちょうど私たちが考えていたイメージと一致し、「Born Fire」、「Ash」、「HOT」でパフォーマンスを構成することになりました。その組み合わせはコンサートのセットリストでも公演の幕開けのパートなので、「AAA」のステージでどう差別化して見せられるかを重点的に考えました。今回は叙情的でエモーショナルな音楽の雰囲気を最大限に引き出しながらも、歌詞の表現に集中しようと努めました。特に「Born Fire」では、ナレーションを中心にメンバーごとにポジショニングをしたり、韓国的なイメージを少し加味しつつもタッティングを溶け込ませて現代的な感じも合わせて見せたいと思いました。デビュー当初はメンバーたちがタッティングのようなジャンル的な動きについて、「私たちにできるでしょうか」と心配したりもしていました。さまざまなステージをこなし経験を積むうちに、最近では新しいジャンルもすぐにこなせるようになりました。今ではどんな振り付けを提案しても、メンバーたちは「はい!」とすぐにこなします。みんな、振り付けを吸収する能力も非常に優れています。
4. 『2025 KBS歌謡祭Global Festival』
パク・ソヨン:「スパゲッティ」と言えば一般的にイタリアンレストランを思い浮かべるものですが、「SPAGHETTI (feat. j-hope of BTS)」のオフィシャルフォトのうち「Vol. 1 WEIRD GARLIC」をご覧になると、LE SSERAFIMが市場で魚のスパゲッティを持っています。そういったコンセプトを活かして、この曲が持つ弾けるような直観的な感じをパフォーマンスで表現したいと思いました。実は市場で撮影した「SPAGHETTI (Member ver.)」のパフォーマンスビデオを制作してくれたチームの名前が「SuSangMovement(怪しい動き)」だったんです。そこで「メンバーたちがみんな怪しい動きをする姿を見せよう!」というアイデアを得たのが、このステージの出発点になりました。
SAKURAさんのパートはアイソレーションの動作を中心に、軟体動物のようにおかしな動きをする人のように見せたいと思いました。アイソレーションは振り付けで最もベーシックな動作ですが、一般の人から見るとやや見慣れず、奇妙に見えるかもしれないと思ったんです。絡まったスパゲッティの麺も連想したりしますし。CHAEWONさんのパートは巨大なフォークで食材となったダンサーたちを刻んで突き刺すような動きを見せようと思いました。YUNJINさんのパートは巨大な箸を持って鍋を振る姿を表現したものです。スパゲッティを調理しようとしたら鍋をずっと回さなければならないので、同じように繰り返し手足を動かすハウスというジャンルを活用して具現化しました。手足は忙しく動いているのに、何ごともなかったかのように落ち着いた表情でスパゲッティをおいしく完成させるイメージを描いたんです。KAZUHAさんはポッピンの動作を活用してエネルギッシュな感じを活かしながら、普通のナイフではなくのこぎりを持って現れ、ダンサーたちをパッと切り刻みます。それと同時にLEDに出てくるトマトが刻まれるシーンにも注目してください。最後にEUNCHAEさんのパートは、ヒップホップ的なベーシックな要素を中心に、「SPAGHETTI (feat. j-hope of BTS)」の振り付けのポイントでもある吐き出すアクションを加え、遊び心を表現しようと思いました。そのような過程を経て調理された料理がきちんと並べられた巨大なテーブルの下から、メンバーたちがサプライズ登場するシナリオです。まさにこれがLE SSERAFIMが作るスパゲッティだというように(笑)。
5. 『2025 SBS 歌謡大典』
パク・ソヨン:「SPAGHETTI (feat. j-hope of BTS)」のミュージックビデオのヨガのシーンを見ると、ドラァグクイーンの方たちをはじめ、さまざまな性別や人種の人たちが登場しますよね。普通、大規模ステージを構成する時は、フィジカルやイメージが似たダンサーを起用して統一感を出そうとするのですが、今回はそれぞれキャラクターが濃いダンサーの方たちを多く起用して、あのシーンのように多様な姿の人たちを見せたいと思いました。どんな姿であれ、自分自身を愛し、自分を認めながら生きていくことが大切ですよね。「SPAGHETTI (feat. j-hope of BTS)」にも、結局本来の自分が一番大切だというメッセージが込められていると解釈したんです。今回のパフォーマンスを通して、他人がどう見ていようと、自分の姿のまま生きていくんだという自信にあふれた、堂々とした姿勢を示そうと思いました。それでドラァグクイーンの方たちと一緒にステージに立ちました。実際にLE SSERAFIMはKIM CHAEWON、SAKURA、HUH YUNJIN、KAZUHA、HONG EUNCHAEという人たちのありのままの率直な物語から始まったグループですよね。それぞれのアイデンティティ、性格、価値観を否定しないで、自分は自分らしく進んでいくという意味の「Born This Way」という今回のパフォーマンスのテーマが、このグループとも相通じていると思いました。
イントロパフォーマンスでは顔を隠したまま登場し、雑誌を閉じたり広げたりするたびに異なる顔写真が見えるように構成した演出で、外見と関係なく「ありのままの自分」を見てほしいというメッセージを込めました。イントロのパートは、一人でもミスするとポスターの中の顔が変わって全体の絵が崩れるため、ステージに立つ直前まで、「一人でも間違ったら、私たちは終わりだ!」と叫びながら気合いを入れました(笑)。大人数のパフォーマンスなので、息を合わせるのも容易くありませんでしたが、練習過程からとても楽しく準備したステージです。「SPAGHETTI (feat. j-hope of BTS)」のミュージックビデオの撮影現場で、ドラァグクイーンのキャムさんと久しぶりに会って挨拶を交わしました。当時、一緒に年末ステージを作ってみてもいいですねという話をしたんですが、今回のステージの提案を快く承諾してくださったおかげで、その会話が現実のものとなったんです。ダンサー20名、ドラァグクイーンのナナ・ヨンロン・キムさん、キャムさん、リンリンさん、そしてメンバーまで28人全員がベストを尽くしたからこそできたパフォーマンスだとお伝えしたいです。
6. 『2025 MBC歌謡大祭典』
パク・ソヨン:年末ステージではできる限り多様なパフォーマンスをファンの皆さんにお見せしようと努めているんです。「Come Over」は最初に音楽が発表された時から、ワッキングのダンサーの方たちとステージを作れたらおもしろいだろうと思っていた曲なので、今回の年末ステージでぜひお見せしたいと思いました。振り付けで意図したことは「MOVE TO PERFORMANCE」の映像を通してすでに充分表現されていたので、今回はダンサーたちと一緒にワッキングというジャンルを多彩で音楽性豊かに表現できたらと思いました。その程度の構想をもとに、ロケーションをまず決めた後、その場所のイメージに合ったパフォーマンスを作っていきました。ワッキングの基本テクニックからヒントを得て、ファンキーなディスコの雰囲気を活かし、一つの公演のように見えるよう努めました。

7. 『ニュー・イヤーズ・ロッキン・イブ(2026 Dick Clark’s New Year’s Rockin’ Eve)』
パク・ソヨン:メンバーたちも最初知らせを聞いて、「私たちがそのステージをですか」とすごく驚いていました。とにかくどんなステージに立つにしても、「充分楽しみながら普段やっていることをかっこよく見せよう」というのが私たちの基本方針です。同じようにミスなくちゃんと楽しみつつ、ニューヨークの街にいるすべての方たち、LE SSERAFIMを知らない方たちまで一緒に楽しめるステージを作ろうという気持ちで臨もうと話しました。あの日は本当に寒かったんですが、5人のメンバーがみんなステージを素敵に披露してくれましたし、制作陣側もリハーサルの時から「SPAGHETTI (feat. j-hope of BTS)」のカメラワークやアングルを細かくチェックしてくれたので、無事終えることができました。SAKURAさんがInstagramに、あのステージは自分の人生で想像もしていなかった未来だったという文章を残していました。おそらくみんな同じ気持ちじゃなかったかと思います。むしろ実感が湧かず、メンバーたちはあまり緊張をしていなかったようにも思います(笑)。想像もできなかったことが目の前で起きたら信じられないですよね。おそらく夢のようでしょう。「私たちが本当にこのステージに立っていたの?」って。
8. 「第40回ゴールデンディスクアワード」
パク・ソヨン:LE SSERAFIMの代名詞の一つであるランウェイコンセプトを活かしてセットを制作し、メンバーたちが配達員になったという設定の「SPAGHETTI (feat. j-hope of BTS)」のオフィシャルフォトのうち、「Vol. 2 KNOCKING BASIL」からインスピレーションを得てステージを構想しました。自転車であれ車であれバイクであれ、デリバリーをする配達手段はずっと転がり続けて動いているイメージがありますよね。そのような感じを表現するために、ハウスステップを活用し、足をたくさん使うパフォーマンスを作りました。一緒に踊るダンサーたちは皆黄色いウィッグを被って、スパゲッティの麺のように見えるようにしました。明るく楽しい雰囲気のリミックスバージョンの音源「HOT (HUH YUNJIN ver.)」を使用し、最後に全員で一緒に楽しむパーティーの雰囲気のパフォーマンスを作ってみました。

2025年を振り返って
パク・ソヨン:私はメンバーたちと長い間一緒にやってきた仲間として、みんながうまくやっているとしても、常に心配しながら見守るしかないんです。それでも今ではその心配をかなり減らしてもいいと思えるほど、2025年はメンバーたちが私の期待よりもはるかに大きな成長を遂げたことを実感した一年でした。ですので、2026年はみんなが自分自身をもっと信じて、健康で充実した一年を過ごしてほしいと思っています。LE SSERAFIMは特定のコンセプト、特定のジャンルだけを見せるグループではなく、メンバーたちが持っているありのままの姿を音楽とパフォーマンスで表現するグループだと思います。ただ変化は常に必要なので、メンバーたちもこれからどう成長したらいいかについて、自ら考えている時期だと思うんです。一緒に考えながら、次はどんな挑戦をするか、また探しに行こうと思っています。何よりも、これからも新しい試みを続けていくという気持ちだけは確かです。ですので、変化すると同時に、ありのままの姿を表現するLE SSERAFIMを見守っていただけたらと思います。私たちもこれからより新しい姿をお見せするために、もっと一生懸命、たくさん努力します。
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