
『伝説のキッチン・ソルジャー』(TVING、Disney+)
チョン・ダナ:「銃の代わりに包丁、弾帯の代わりにエプロン!」。殺伐とした銃や剣と厳格な規律だけが軍隊を動かすすべてなのだろうか。TVINGオリジナルシリーズ『伝説のキッチン・ソルジャー』の主な舞台である大韓民国陸軍の調理室は、徹底した階級構造が支配する場所だ。しかし、このドラマはその厳粛な空間を茶化すかのように、銃や剣の代わりに行政補給官(ユン・ギョンホ)から与えられた「バラの包丁」を握り、部隊の問題を解決していく二等兵カン・ソンジェ(パク・ジフン)の世界へと視聴者を招待する。
胸に「スマイルバッジ」をつけているカン・ソンジェは、うつ症状にゲーム依存症まで重なり、先輩たちからいじめやからかいを一身に受ける、まさに「要観察兵士の集大成」のような青年だ。しかし、彼が炊事兵になった瞬間、物語はコメディへと180度転換する。カン・ソンジェは食材の名前や原産地、工場の所在地、賞味期限まで一つ一つチェックする非現実的なスキルで、3年経った古米の臭いをリンゴ酢で消し、原産地の誤表記や定量不足などの厨房や納入業者の不備を指摘し、「伝説の炊事兵になる道」を歩み始める。彼が作ったウニ入りワカメスープがあまりにおいしくて大隊長(チョン・ウンイン)が倒れたり、かつて「ソンジェ食堂」を営んでいた父との思い出をもとに、スケトウダラの骨抜き煮付けの生臭さをトマトパスタソースで消し、国会議員(パク・ミョンフン)の味覚を虜にする過程は、能力でシステムの限界を打ち破ることができるという古典的なファンタジー、あるいは少年漫画の成長物語のようにも見える。
そのやや古典的なファンタジーのおもしろさを最大限に引き出しているのは、ユーモアを効かせた演出だ。部隊の最高権力者である大隊長と中隊長が、カン・ソンジェが焼いたサムギョプサルを食べ、突然海辺を無邪気に駆け回るシーンは、視聴者の笑いを誘う。また、カン・ソンジェの料理を食べたキッチンカーの店主コ・テソク(ナ・テジュ)が、いきなり出現したサッカー場の真ん中で鍵盤を叩きながら華麗に踊るカン・ソンジェの狂気に押され、惨めに敗北を認める姿は、美食のカタルシスをまるでスラップスティック・コメディのように視覚化する。そのように荒唐無稽な演出がもたらす真の快感は、ただ一食の美味しい食事だけで、堅固な階級構造を揺るがすことができるというファンタジーにある。怖い先輩も、気難しい幹部たちも、二等兵カン・ソンジェが提供する料理の前では武装解除される。誰もが知っている古典的なファンタジーの味をわかっていながらも、再び味わいたくなるこの作品の前で、私たちはただ、途切れることなく沸き起こる純度100%の楽しさを、気楽に味わえばいいのだ。

sunwashere - 『Good Nothing』
キム・ドホン(ポピュラー音楽評論家):雲一つない晴れわたる日、降りそそぐ日差しの下、まるで止まったかのような時間と空間の中で、私は時折無力感に襲われる。永遠に終わらないかのような瞬間に囚われたまま、わけもなく憂鬱になる。自分だけがそう感じるのだと思っていたが、逆季節性感情障害(Reverse SAD)という概念が実際に存在するという。
「太陽はそこにあった」。sunwashereの1stアルバム『Good Nothing』の情緒はまさにその通りだ。晴れやかな青春の音を届けるPEPPERTONESの3rdフルアルバムにゲストボーカルとして参加し、その名を知らしめたLee Sunは、2019年に新たな名前を掲げ、光の中の影を探求し始めた。ギター1本と歌声で淡々と曲を作り、一人で、あるいはJeon YonghyeonやeAeonが穏やかなメロディをさまざまな角度に反射・屈折させ、いくつもの破片に砕ける虹色の音楽を完成させた。そうして歌うのは、繰り返される日常の中で見つけ出す空間や時間の過ごし方が何気なく繰り返される中、毎日立ち返る気持ちだ。すべてを知っていると思い込み、簡単に見過ごしてしまうものを改めて顧みる無力さ、後悔しながらも前に進もうとする微かな決意が、「何もなくてもいい」というアルバムを完成させる。「何もないふりをしていれば、ただそう信じてしまえばいい」という「Sometimes, Always」の崩れゆく独白のように。
「okay, hate me」、Samuiとコラボした「Overthinking (feat. Samui)」で深く沈み込むsunwashereは、今や一人ではない。「If Not You」で歌われる克服の物語、ギターと歌声だけだった曲を豊かなバンドアレンジで切なく描いた「Linger On」の新たな解釈が、夏の日の悲しみのただ中へと力強く歩み入っていくシンガーソングライターの姿を映し出している。Joe Wonsun、Lee Yoong Jin、Han Hee Jung、そしてsunwashere。
アン・デ・マルケン - 『永遠に続き、そして終わる』
キム・ボクスン(作家):アン・デ・マルケンの本『永遠に続き、そして終わる』(原題『It Lasts Forever and Then It’s Over』)は、終末後の世界を舞台にした、短いながらも背筋の凍る、そしてなぜか優しい小説だ。自分が誰だったのか記憶がないまま西の方角へと黙々と歩いていく主人公は、死んではいるが完全に死んではいない、いわゆる「アンデッド」の女性だ。かつて家と呼んでいた場所や、かつて愛だと信じていた人から徐々に遠ざかっていく彼女の姿は、消えていく記憶と同じくらいおぼろげで寂しい。一歩踏む出すたびに、名前や記憶、そして彼女を構成していた体の一部までもが、一つ、二つと崩れ落ちていき、二度と戻らないどこかへと散っていく。
一般的なホラー小説が読者を驚かせる場面や瞬時の衝撃で緊張感を生み出す一方、この本はまた別の方法でアプローチする。物語は音を抑えながら、奇妙に、まるで理解できそうでできないような、そんな夢のように静かに流れていく。私たちがよく言う「背筋が凍るほど美しい」という表現が、この本のために存在しているかのように感じられるほど、伝統的なホラー小説の文法から一歩引いて、存在そのものから生じる不安と恐怖を正面から見つめる。
(序盤は特に)混乱させられ、超現実的でありながら、時には露骨に嫌悪感を抱かせたかと思うと、ある瞬間詩のように美しく流れていく本だ。作家マルケンは、私たちにとって馴染み深く、もしかすると陳腐にもなり得る「ゾンビ」という素材を、決して満たされることのない郷愁と途方もない喪失感の前で人間が感じる渇望を象徴するメタファーとして再解釈した。超現実的でありながらも詩的で、同時に不快感さえも包容するような、そんなめったにない読書体験を求めているなら、まさにこの本がその答えとなるだろう。
- HUENINGKAIとDOHOONの出会い2026.05.22
- TOMORROW X TOGETHERの子育て挑戦記2026.05.15
- 「ヴァンパイア王子」たちの人間世界適応記2026.05.08