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文. ユン・ヘイン
写真. ELLE KOREA Youtube
『2020東京オリンピック』が幕を下ろして2か月が過ぎたが、その中でもひときわ熱気が冷めない種目がある。それが「女子バレーボール」だ。韓国バレーボール特有の執念で勝ち取ったベスト4進出という快挙は、選手たちへの関心だけでなく、韓国国内バレーボールリーグへの関心にまでつながった。小学生の頃からバレーボールにはまり、テレビの前で戦略を分析していたSEVENTEENのSEUNGKWANは、デビューしてからも変わらぬ愛情と関心を見せており、2017年には長いことファンだった「KGC人参公社バレーボールチーム(以下、「人参公社」)」の始球式を努めたこともある。また最近では東京オリンピックの時、ファンたちとともにWeverseの書き込みを通してリアルタイムで女子バレーボールの試合を楽しみ、さらに話題を呼んだ。10月16日の「2021-2022 Vリーグ」開幕にあたり、SEUNGKWANにバレーボールの魅力と、彼が考える今シーズンの観戦ポイントについて聞いた。

『2020東京オリンピック』で復習する、女子バレーボールが特別な理由
SEUNGKWAN:韓国バレーボールは、ボールに対する執念と、最後まで追いかける粘り強さがとても素晴らしい点だと思います。その闘志が、オリンピックのトルコ戦と日本戦でとてもよく出ていたと思いました。オリンピックの前に「VNL(Volleyball Nations League)」という、サッカーで言えば国際Aマッチのようなものがあります。「VNL」の時には日本戦とトルコ戦でどちらも韓国が負けたんですけど、オリンピックでは韓国の勢いが良くて、期待されていました。戦力の差があったにもかかわらず、劇的に勝ってくれたので、もっと感動が大きかったです。とてもおもしろく、満たされた気持ちで、胸がいっぱいになって観ていました。またオリンピックにK-POPがたくさん登場していたので、より楽しく観ていました。

何よりバレーボールは、僕より若い選手の方たちもいて、僕より一回り年上の選手の方たちもいるんです。リーグ内では20歳も差があったりもします。そういう面でバレーボールというスポーツは年齢が大きなハンディにならないようなんですが、そんな姿がかっこよくて魅力的です。ベテランの貫禄や風格があって、若い新人選手たちの勢いも同時にありますから。今回のオリンピックのエントリー・メンバーもそうやって選出されていたからこそ、おもしろかったんだと思います。

SEUNGKWANのバレーボール入門期

SEUNGKWAN:子どもの頃から球技が好きでした。そうしてバレーボールを初めて観た時、「このスポーツは何?」って思って。すごく迫力いっぱいでおもしろいんです。毎日試合の放送時間に合わせてテレビをつけて、A4の紙に誰が得点して、誰がブロックして、また僕の応援するチームが何を凡ミスしたのか、全部書いていました。本当にずっとバレーボールばかり観ていたこともすごくたくさんあったんですけど、ようやくみんながバレーボールの魅力に気づいたんですね(笑)。「人参公社」のファンになったのはたぶん2005,6年頃だったと思いますけど、もともと「人参公社」は「KT&Gバレーボールチーム」という名前でした。9歳か10歳の頃、子ども心にただただその名前がとてもかっこよく見えたんです(笑)。ユニフォームもその頃は水色だったんですよ。またその当時、国内バレーボールのレジェンドと呼ばれるチェ・グァンヒ選手が我がチームでしたし。僕は昔から何か一つ好きになると最後まで好きで、まるでWonder Girls先輩が好きなのと同じで、その頃からずっと好きなんです。


直接習って感じるバレーボールのおもしろさ

SEUNGKWAN:最初に習った時、思ったより腕がすごく痛かったです。ボールも思ったより硬くて、「わあ、本当に簡単じゃない。すごく難しいスポーツなんだな」と思いました。最初はレシーブからやって、ボールをどこで受けてどうやって跳ね返すのか、基礎的なことを習いました。それからスパイクも打って、スパイクサーブも受けたりしました。もしバレーボールをすることになったら、「リベロ」や「セッター」のポジションをやってみたいです。キム・ヨンギョン選手のように、スパイカーのポジションも好きですけど、そのスパイクにつなげるためにサポートする役(セッター)をやってみたいんです。もともとサッカーをする時もゴールキーパーをずいぶんやっていたので、守備専門の「リベロ」もやりたいですし。僕は、体は惜しむことなくとにかく飛ぶように動かして使うので(笑)。

バレーボールだからこそ感じられるプレイ

SEUNGKWAN:すべてのスポーツがそうですけど、特にバレーボールは、コートで一人でも崩れたらだめだという点が重要だと思います。ボール一つのために本当に最後まで追いかける執念。そしてスパイクを打つ時の打撃感、またそれを受け止める爽快さがあります。ブロックもとても好きですし。何より体を揉まれてぶつかり合うスポーツではないので、より見やすいということもあります。バレーボールはマナーが重要なスポーツだからこそ、かっこいいスポーツだと思いましたし。ええ、完全に「恋は盲目」ですね(笑)。

 

バレーボールのスポーツマンシップ、「やろう、やろう、後悔しないように」

SEUNGKWAN:キム・ヨンギョン選手が言った名言があるじゃないですか。「やろう、やろう、後悔しないように」。その言葉の通りバレーボールは少しでも雰囲気が曇ると、攻撃権を得てもずっと解決ができません。だからこそ本当に不思議なスポーツなんです。実力だけが重要なんじゃなくて、その流れをどうやって掴んで、25点までしぶとく、ボールをめぐる戦いをどちらが先に終わらせるかにかかっているんです。油断していて追いつかれて負ける試合もよく観ましたけど、そうやって最後まで集中することが本当のバレーボールの魅力だと思います。この前のオリンピックの韓日戦でも、すでにマッチポイントを迎えた状態で攻撃権を日本に与えながらも、復活してデュースに持ち込んだじゃないですか。「あきらめなければ成し遂げられる、やり遂げるぞ」という言葉を思い浮かばせるスポーツだと思います。

 

「2021-2022 Vリーグ」を楽しむ観戦ポイント

SEUNGKWAN:まずオリンピックでバレーボールに接した方たちは、韓国リーグが始まった時、「オリンピック選手たちが皆別のチームに分かれているんだね?」と思って、慣れない感じがするかもしれません。でも僕はむしろそれぞれ散らばっていた選手たちが、オリンピックでひと所に集まったことの方が慣れない感じだったんです(笑)。韓国リーグでは、オリンピック代表だった選手たちがプレイスタイルの異なるチームにそれぞれ分かれていて、また代表チームじゃなかったけど上手な選手がたくさんいることがわかるでしょう。何より今シーズンは、すべてのチームの戦力が予想できないくらいに拮抗していると聞いています。6位が1位に勝ってもおかしくないので、どのチームが優勝するか、順位がどうなるかを合わせて観ていただくと、国内リーグがおもしろいということが感じられるでしょう。


SEUNGKWANが注目する「2021-2022 Vリーグ」の選手たち

SEUNGKWAN:僕は「人参公社」のファンなので、信念を貫きます(笑)。チョン・ホヨン選手という、身長が190cmの有望株とされている選手なんですけど、去年膝の怪我があって昨シーズンの試合に出られませんでした。だから今年どんな活躍を見せてくれるか楽しみです。去年入ったイ・ソヌ選手も期待できるし、とても多くて誰か一人を選べません。ハン・ソンイ選手は去年ブロッカーで1位だったので、今年も是非1位になってほしいです。またオリンピックに選出された選手たちもいます。ヨム・ヘソン選手は2008年からプロチームで主力としてずっと活躍してきましたし、コートで自分が責任を負おうとするという特徴があるんです。ものすごくセンスのあるトスをたくさん見せてくれるので、僕が好きなスタイルのプレイです。オリンピックに出ていたパク・ウンジン選手も上手なプレイを見せてくれているし、イ・ソヨン選手は国内リーグで既に活躍していた選手ですけど、我がチームに来てエースとしてどんな役割を果たしてくれるか、すごく楽しみです。「人参公社」はレフトが弱いという評価がありましたが、もちろん僕はそうは思いませんけど(笑)、それをうまく補ってくれるんじゃないかと思います。「人参公社」に今年新しく入った選手たちもいて、変化があるので、去年とちがう姿を見せてくれると思います。

バレーボール・ファンにとって「春バレー」とは

SEUNGKWAN:仕方ないことですけど、勝負の世界はとても厳しいんです(笑)。まるで勉強のように、みんなが一生懸命準備するけど、どうにもできない結果があって、それによって順位が決まるのに似ています。春バレーは何というか、すべてのチームが本当に切に願う、「優勝までじゃなくても、春バレーには絶対に行こう」、そんなプライドの戦いのようなものだと思います。「人参公社」が春バレーに行けなくなってずいぶん経ちますけど、今回は本当に一生懸命準備すると言っていました(笑)。

 

「生観戦は一度ぐらいは是非行くべきです」

SEUNGKWAN:初めて生で観戦した時、ああ…、本当に躍動感そのものがちがいました。その熱気がすごく近く感じられます。お互いの心理戦や、一つのボールをめぐって対決しているのがよく伝わりますし。生観戦は一度ぐらいは是非行くべきです。そうすればおそらく絶対はまって抜け出せなくなるでしょう(笑)。僕が忘れられない試合が、2020年パンデミックの直前に行われた「現代建設ヒルステートバレーボールチーム(以下、現代建設)」と「人参公社」の試合です。そのシーズン、我が「人参公社」は「現代建設」に一度も勝てていなかったんです。その当時、僕が生で観戦に行くと「人参公社」が勝ったので、僕は「勝利の妖精」と呼ばれていました。でも「現代建設は難しいんじゃないか?」と思いながら試合会場に行ったんですけど、それどころかアウェイの試合で勝ったんです。すごく嬉しくて、一緒に叫びました(笑)。その時のことが忘れられないので、早く生で観戦できたらいいですね。

 

まるで好きな歌手のコンサートを初めて観に来た感じと言えばいいでしょうか。好きな、テレビでだけ観ていた選手たちがみんな自分の前にいるんですから。CARATの皆さんがコンサート会場に来るのと同じ気分を感じているんじゃないかと思いますね。また選手の方たちが試合後にサイン会をしたり、ファンの方たちと話をしたりする姿を遠くから観たんです。忘れられない思い出になるだろうなと思いました。もちろん中継も生観戦ぐらい面白いです。専門家の方たちが、バレーボールをよく知らない人たちにもわかるように説明してくれるので、まちがいなく良いと思います。生で観戦に行くと、説明なしにボールがやたら落ちたりするので(笑)。バレーボールの中でも、ローテーションのルールや、どの線を踏むとだめで、アウトラインのボールがどのぐらいラインに載っていたらイン(in)なのか、そういうことが重要なんです。そういうルールを聞きながら観ると、もっとおもしろいんじゃないかと思います。またカメラが選手個人個人の表情やスローモーションも捉えてくれますし。

 

バレーボールの世界に入った入門者へ

SEUNGKWAN:バレーボールは難易度が高くて、基本の技もとても難しいです。だから「これがなぜ捕れなくて、打てないの。これがなぜブロックされるの。サーブミスはなぜ起きるの」、そんな風に思うかもしれません。でもバレーボールは小さな動きにも左右されるスポーツなので、ボールが一度も落ちずに、一つ一つ活かしながらプレイできること自体が難しい方なんです。素手でするスポーツでもありますし。だからもっと応援する気持ちで観てくれたら嬉しいです。

 

*レギュラーシーズンで上位チームと最終優勝チームを決定するためのプレイオフと、チャンピオン決定戦を行うポストシーズンを指す言葉で、だいたい春に試合が行われるためつけられた名称。