
『バビロン』
イム・スヨン(映画専門誌『シネ21』記者):映画『ラ・ラ・ランド』で古典期ハリウッドに対する深い愛情を見せたデイミアン・チャゼル監督が、今度は完全に1920年代のLAを舞台にした映画を作った。しかし当時のハリウッドの実態をのぞき見ることは、それほど美しいことばかりではない。まだサウンドの録音を並行して行っていなかった1926年、映画の仕事を夢見るメキシコ人マニー(ディエゴ・カルバ)は、麻薬と変態性交が乱舞するパーティーにさえ人脈を作ろうと足を踏み入れ、天性のスター性を持つ女優志望のネリー(マーゴッド・ロビー)と出会う。運良く小さな役を勝ち取ったネリーは、溢れる才能でシーンスティラーとなってスターに浮上するが、初のトーキー映画『ジャズシンガー』公開を起点に制作システムが激変し、彼女の良かった時期も終わる。『バビロン』はハリウッド産業の野蛮性を一次元的な隠喩と過剰な演出で提示しているが、シネマティックな瞬間には息をつき、喜んで魅了される。特にサイレント映画の輝かしさを称え、トーキー映画の登場を排泄物とまで比喩するデイミアン・チャゼルの視点が興味深い。しかしサウンドが入ってきて、テクニカラーが導入され、コンピュータグラフィックがすべてのものを描き出せる時代が到来しても、映画は元来大衆とともにあるからこそ崇高たり得る。浅はかだからこそ腹立たしいが、浅はかだからこそ大衆芸術たり得る映画を、結局愛さずにはいられないと熱烈に告白している作品。
-
© Spotify
Spotifyのプレイリスト「BUTTER」
ソ・ソンドク(ポピュラー音楽評論家):ソウルまたはR&Bを聴きたいのに、めんどうになる時がある。あまり騒がしかったりうるさくてはいけない。だが適度なグルーブは欲しい。でも就寝前にベッドで聴く程度に心地良くあってほしい。同時に馴染みのある古典ソウルではなく、新鮮な音楽で雰囲気を変えてくれたら嬉しい。一言で言うと、一人でいたいが、一人でいないような気分。Spotifyのプレイリスト「BUTTER」がすばらしい答えになる。シルク・ソニックやビヨンセのような馴染みのある名前もある。しかしこのプレイリストの強みは、広いジャンルの中から特定の好みを細かく表現するすばらしさがある。シャーロット・デイ・ウィルソンの「I Can Only Whisper(feat. BADBADNOTGOOD)」はしばらくの間「BUTTER」の嗜好を代弁するトラックだ。同時にアディ・オアシスの「Adonis」のようにレトロなアプローチがあるかと思えば、リトル・シムズの「Gorilla」のようにラップ/ヒップホップへの拡張もある。あるいはマセゴのようにジャズ、R&B、ヒップホップを自分の中で結合するアーティストに、これより心地良いプレイリストがあるだろうか。
無断転載及び再配布禁止