REVIEW
BTSの現実は物語になる
『BE』アルバム・レビュー
2020.11.30
BTSの新アルバム『BE』は、今年4月17日にRMがYouTubeチャンネル「BANGTANTV」の「Log ( ON )」で制作計画を知らせ、11月20日に公開された。8月21日に発表されたシングル「Dynamite」が ビルボード・ホット100で1位になった時点にも、メンバーはアルバム作業中だった。このタイムラインは「Dynamite」がシングルではなく、『BE』の最後の曲に位置することで、新しい意味を作り出す。彼らが「Dynamite」で、牛乳を一杯飲んで弾む気持ちで出かけることができた過去、または、いつかやって来ると信じている未来を通じて希望を伝えていた間、彼らは『BE』のその他の曲を通じて、ステージの下で彼らが実際に経験した心理的な変化の過程を表していた。それは、「Dynamite」と『BE』のタイトル曲「Life Goes On」のミュージックビデオの1番で、相反する見せ方でJUNG KOOKの部屋を写しているのと同様だ。「Dynamite」のミュージックビデオの中のJUNG KOOKは、日差しが差し込む部屋の中で、出かけるために靴の紐を結び、楽しく踊っている一方、「Life Goes On」のミュージックビデオの中の彼は、窓際にぼんやりと立って外を眺めている。『BE』はJUNG KOOKをはじめとするBTSのメンバーが、「Dynamite」のミュージックビデオに比べて彩度さえも低く表現された各自の部屋から出てきて、「Dynamite」をはじめとする各種活動をパンデミック期間中に続けていた過程を記録していく。
「Dynamite」を除く『BE』の6曲は、「Skit」を分岐点に3曲ずつに分かれ、まるで「V」字型のグラフのようにBTSのメンバーの心理変化を描いていく。「終わりが見えない / 出口はあるのだろうか」と、希望がなかなか見つからない日常をなんとか持ちこたえていく最初の曲「Life Goes On」から、「まさに今、僕は君のことを思う / 君がどこにいても / それは重要じゃない」と、ファンとの再会を強く望む「Stay」に至る過程。その間、彼らは「Fly To My Room」のように、活動半径が狭くなった日常を「今年は全部奪われた」としながらも、「考えは考えが変えればいい」と、なんとか前向きに考えようともするものの、これに続く「Blue & Grey」で「未だ分からない 真っ青なブルー / 蝕まれないでほしい 見つけるから出口」と、内面の憂うつと不安を見せる。一方、「Skit」を過ぎた「Telepathy」で「いつも同じような日々の中で、君に会う時が一番僕は幸せなんだ」と、他人との出会いを望む気持ちを表し、「Dis-ease」で彼らの仕事に関する複雑な思いをなんとか吹き飛ばした後、「Stay」へ進む。パンデミック時代における希望への確信のようにまで感じられる「Dynamite」の楽観は、この過程を経てこそ出される。
「Life Goes On」は、希望を信じることも捨てることもできない状態の人々には、泣きも笑いもできずにいるのに、とにかく流れていくような気持ちを抱かせるかも知れない。パンデミックの中の日常で、なんとか肯定する要素を見つけたいと思う人々は、「Fly To My Room」で慰められるかもしれない。しかし、『BE』は一枚のアルバムを通して聴いたとき、パンデミックから負った傷を癒す過程をもたらす。静かに流れる「Life Goes On」のサウンドが、重く、緩やかで、暗い「Blue & Grey」を経て、「Telepathy」から「Stay」へと次第に速く軽やかになり、「Dynamite」で眩しい日差しのように明るく愉快になる過程。これは、全世界の音楽産業のスーパースターであるBTSが経験した感情的な問題を追体験することにもなれる。「Dis-ease」の後半には、「さあ、起きて one more time / また朝だぞ 今日を生き抜こう / 行ってみよう one more night」という歌詞がある。この瞬間、編曲はテンションをさらに盛り上げてクライマックスに入る準備をし、これに続く「Everyday 自分を慰める / みんな同じ人間だ ain’t so special / Ay man keep one, two step じっくり全部治療してみよう」で花火のように曲の最も華やかな瞬間が始まる。なんとか仕事への意志を固めると同時に、彼らの感情的な問題を吐露する瞬間が、この曲のクライマックスに行く仕掛けになる。このアイロニーは、BTSが『BE』で選んだ伝え方であり、彼らの現在だ。仕事と日常に関する複雑な思いが絡まっているけれど、なんとかそれを乗り切ろうとし、その過程のエネルギーが音楽的な快感に変わる。
「Dynamite」を除く『BE』の6曲は、「Skit」を分岐点に3曲ずつに分かれ、まるで「V」字型のグラフのようにBTSのメンバーの心理変化を描いていく。「終わりが見えない / 出口はあるのだろうか」と、希望がなかなか見つからない日常をなんとか持ちこたえていく最初の曲「Life Goes On」から、「まさに今、僕は君のことを思う / 君がどこにいても / それは重要じゃない」と、ファンとの再会を強く望む「Stay」に至る過程。その間、彼らは「Fly To My Room」のように、活動半径が狭くなった日常を「今年は全部奪われた」としながらも、「考えは考えが変えればいい」と、なんとか前向きに考えようともするものの、これに続く「Blue & Grey」で「未だ分からない 真っ青なブルー / 蝕まれないでほしい 見つけるから出口」と、内面の憂うつと不安を見せる。一方、「Skit」を過ぎた「Telepathy」で「いつも同じような日々の中で、君に会う時が一番僕は幸せなんだ」と、他人との出会いを望む気持ちを表し、「Dis-ease」で彼らの仕事に関する複雑な思いをなんとか吹き飛ばした後、「Stay」へ進む。パンデミック時代における希望への確信のようにまで感じられる「Dynamite」の楽観は、この過程を経てこそ出される。
「Life Goes On」は、希望を信じることも捨てることもできない状態の人々には、泣きも笑いもできずにいるのに、とにかく流れていくような気持ちを抱かせるかも知れない。パンデミックの中の日常で、なんとか肯定する要素を見つけたいと思う人々は、「Fly To My Room」で慰められるかもしれない。しかし、『BE』は一枚のアルバムを通して聴いたとき、パンデミックから負った傷を癒す過程をもたらす。静かに流れる「Life Goes On」のサウンドが、重く、緩やかで、暗い「Blue & Grey」を経て、「Telepathy」から「Stay」へと次第に速く軽やかになり、「Dynamite」で眩しい日差しのように明るく愉快になる過程。これは、全世界の音楽産業のスーパースターであるBTSが経験した感情的な問題を追体験することにもなれる。「Dis-ease」の後半には、「さあ、起きて one more time / また朝だぞ 今日を生き抜こう / 行ってみよう one more night」という歌詞がある。この瞬間、編曲はテンションをさらに盛り上げてクライマックスに入る準備をし、これに続く「Everyday 自分を慰める / みんな同じ人間だ ain’t so special / Ay man keep one, two step じっくり全部治療してみよう」で花火のように曲の最も華やかな瞬間が始まる。なんとか仕事への意志を固めると同時に、彼らの感情的な問題を吐露する瞬間が、この曲のクライマックスに行く仕掛けになる。このアイロニーは、BTSが『BE』で選んだ伝え方であり、彼らの現在だ。仕事と日常に関する複雑な思いが絡まっているけれど、なんとかそれを乗り切ろうとし、その過程のエネルギーが音楽的な快感に変わる。
『BE』の前作『MAP OF THE SOUL : 7』のタイトル曲「ON」でBTSは、「痛みのある方で、この呼吸させて」と歌った。『MAP OF THE SOUL : 7』は彼らが過去からその時点に至った現在までの彼らの話を打ち明けたもので、「ON」は当アルバムの収録曲「Interlude : Shadow」の内容の通り、ものすごい人気の分「Shadow」も背負って生きていかなければならない彼らの人生に関する話だった。そして『BE』に至り、BTSは現在進行型の彼らの話をアルバム全体を通して打ち明ける。「Dis-ease」で彼らが打ち明けた仕事に関する悩みが解決されたか分からない。コロナ以降の世の中のように、これがいつまで続くか分からない。彼らが今、この瞬間に「Blue & Grey」の状態なのか、「Fly To My Room」のようにせめてもの前向きな気持ちなのかも分からない。ただ、彼らは仕事のことを「Dis-ease」のように煩いながらも、「Telepathy」と「Stay」のようにファンへの気持ちを伝える曲を作り、「Dynamite」を披露する色んなステージに立つために慌ただしい時間を過ごしたのは確かだ。BTSは『BE』に至って、彼らのステージの上と下で繰り広げられる現実を一つにまとめてストーリーに再構成する。アイドルから始まったグループが、いつしか人生と音楽を切り離せない、彼ら自身がすなわち物語になる存在となった。
『BE』での曲の構成の仕方は、このアルバムで見せるBTSの音楽的な変化と関係している。メンバーの話が中心になり、編曲はメンバーの歌詞とメロディを伝えることに焦点を当て、特定のトレンドや形を決めず、メンバーのパートによって柔軟に変わる。ギターやシンセサイザー、ベース、ドラム、ピアノなどの実際の演奏か、実際の演奏に近いトーンで作ったサウンドがほとんどを占める編曲は、「Fly To My Room」や「Blue & Grey」のように、メンバーのパートによって展開が変わる構成に適している。以前のアルバムに比べ、相対的に少なくなった音の数は、「Life Goes On」の導入部でJUNG KOOKが息を吸い込む呼吸音まではっきり聞こえるほど、ボーカルにより重きを置いている。「Fly To My Room」のJ-HOPEのパートでゴスペルのような雰囲気が連想されたなら、それはただシンセサイザーの演奏がゴスペルの感じを出したからではなく、「考えは考えが変えればいい」を歌う時の彼の声が、まるで自分が受けた宗教的感化を告白するかのように切実に感情を伝えるからだ。「Blue & Grey」でSUGAがラップをする区間で、彼のラップに沿ってドラムの様々なパートが一つずつ加わって展開を変えるように、『BE』の編曲はメンバーが見せるパートごとの変化に繊細に対応する。
この過程で形式的な冒険も登場する。「Blue & Grey」はサビがどこからどこまでか決め難いほど、一つの長く続くメロディを持っている。最後にはサビがすっかり消え、冬の夜に聞こえてきそうな暗く寂しいコーラスで終わる。急な変化とも言えるが、そっと後ろに下がって空間を響かせながらスピーカーの左右を行き交うRMのラップ、物寂しいチェロや歌詞によって少しずつ響きを変えるボーカルのレコーディングなどは、この曲に冬の夜の空間を移してきたかのような物寂しい情緒を感じさせる。これは、「Life Goes On」で最初から打楽器の音が耳のすぐそばを打ち鳴らして立体感を与え、曲が展開されていくほどサビとシンセサイザーの演奏で仮想空間を作り出すことでも同様だ。BTSの話は特定の状況や心理状態に関する告白に近く、彼らの話に沿ってメロディの展開とラップのフローも変則的に変わる。しかし、この音が集まって作り出す空間の雰囲気は、一貫性を保つ。「Stay」はEDMスタイルのダンス曲だが、突然ビートを消し、多少憂うつなメロディで終える。「Stay」が、JUNG KOOKが会えないファンと公演することを想像しながら作った曲だということを考えると、納得のいく選択である上に、ボーカルをはじめとする全体的なサウンドは少しずつ霞ませることで、曲をただ楽しいだけのフェスティバルに演出しない。「Telepathy」は、「Dynamite」のように軽やかな雰囲気の中、導入部に耳に入りやすいフックを提示する。しかし、「Dynamite」では繰り返されるメロディとリズムを変奏させ、後半に行くほど爆発的なエネルギーを伝える一方、「Telepathy」では次第にサウンドの数を減らしていきながら、徐々に消えていく。「Fly To My Room」がパンデミックの中の日常を肯定する曲だとはいえ、それが専ら楽しいはずもなく、いくら楽しいリズムに乗せたとしても、「Dis-ease」で語る仕事の難しさを全て克服することは難しい。思い通りに止まることも、だからといって全力で走ることもできない人生の中の複雑な感情を、BTSはメンバーのパート単位にまで異なるところを活かして伝える。それでも、アルバムは全体的に一貫した流れを持つように整えられており、「Life Goes On」は柔軟に進むメロディの流れが果てしなく繰り返されそうなサビを残す。
『BE』での曲の構成の仕方は、このアルバムで見せるBTSの音楽的な変化と関係している。メンバーの話が中心になり、編曲はメンバーの歌詞とメロディを伝えることに焦点を当て、特定のトレンドや形を決めず、メンバーのパートによって柔軟に変わる。ギターやシンセサイザー、ベース、ドラム、ピアノなどの実際の演奏か、実際の演奏に近いトーンで作ったサウンドがほとんどを占める編曲は、「Fly To My Room」や「Blue & Grey」のように、メンバーのパートによって展開が変わる構成に適している。以前のアルバムに比べ、相対的に少なくなった音の数は、「Life Goes On」の導入部でJUNG KOOKが息を吸い込む呼吸音まではっきり聞こえるほど、ボーカルにより重きを置いている。「Fly To My Room」のJ-HOPEのパートでゴスペルのような雰囲気が連想されたなら、それはただシンセサイザーの演奏がゴスペルの感じを出したからではなく、「考えは考えが変えればいい」を歌う時の彼の声が、まるで自分が受けた宗教的感化を告白するかのように切実に感情を伝えるからだ。「Blue & Grey」でSUGAがラップをする区間で、彼のラップに沿ってドラムの様々なパートが一つずつ加わって展開を変えるように、『BE』の編曲はメンバーが見せるパートごとの変化に繊細に対応する。
この過程で形式的な冒険も登場する。「Blue & Grey」はサビがどこからどこまでか決め難いほど、一つの長く続くメロディを持っている。最後にはサビがすっかり消え、冬の夜に聞こえてきそうな暗く寂しいコーラスで終わる。急な変化とも言えるが、そっと後ろに下がって空間を響かせながらスピーカーの左右を行き交うRMのラップ、物寂しいチェロや歌詞によって少しずつ響きを変えるボーカルのレコーディングなどは、この曲に冬の夜の空間を移してきたかのような物寂しい情緒を感じさせる。これは、「Life Goes On」で最初から打楽器の音が耳のすぐそばを打ち鳴らして立体感を与え、曲が展開されていくほどサビとシンセサイザーの演奏で仮想空間を作り出すことでも同様だ。BTSの話は特定の状況や心理状態に関する告白に近く、彼らの話に沿ってメロディの展開とラップのフローも変則的に変わる。しかし、この音が集まって作り出す空間の雰囲気は、一貫性を保つ。「Stay」はEDMスタイルのダンス曲だが、突然ビートを消し、多少憂うつなメロディで終える。「Stay」が、JUNG KOOKが会えないファンと公演することを想像しながら作った曲だということを考えると、納得のいく選択である上に、ボーカルをはじめとする全体的なサウンドは少しずつ霞ませることで、曲をただ楽しいだけのフェスティバルに演出しない。「Telepathy」は、「Dynamite」のように軽やかな雰囲気の中、導入部に耳に入りやすいフックを提示する。しかし、「Dynamite」では繰り返されるメロディとリズムを変奏させ、後半に行くほど爆発的なエネルギーを伝える一方、「Telepathy」では次第にサウンドの数を減らしていきながら、徐々に消えていく。「Fly To My Room」がパンデミックの中の日常を肯定する曲だとはいえ、それが専ら楽しいはずもなく、いくら楽しいリズムに乗せたとしても、「Dis-ease」で語る仕事の難しさを全て克服することは難しい。思い通りに止まることも、だからといって全力で走ることもできない人生の中の複雑な感情を、BTSはメンバーのパート単位にまで異なるところを活かして伝える。それでも、アルバムは全体的に一貫した流れを持つように整えられており、「Life Goes On」は柔軟に進むメロディの流れが果てしなく繰り返されそうなサビを残す。
「Skit」でBTSは、「Dynamite」でビルボード・ホット100の1位を獲った翌日も、公演のためにデビュー曲を練習する自分たちのことについて語る。そして彼らは「Dynamite」でビルボード・ホット100の1位になった直後に、「Dynamite」とは正反対の位置に置かれているような曲でアルバムを出した。人生は繰り返されるようでも、ある日変化し、変わった人生は同じことからも違う結果を生み出す。『BE』はそれに対する解ではなく、受け入れであり、K-POPからスタートしてポップスのスーパースターにまでなったこのグループは、そのどちらとも違うスタイルで彼らだけの話をアルバムに残した。つまり、「No More Dream」から始め、「Dynamite」までやってきたBTSというグループが、次は何になれるかは誰も分からない。ただ、彼らは何になるにせよ、その過程をファンに届けられるということは分かる。『BE』の次には何を書くのか空欄を残してもいいような。
文. カン・ミョンソク
写真. BIGHIT MUSIC
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