
『IN THE SOOP SEVENTEEN ver. Season2』
イ・イェジン:忙しい日常から抜け出して、自然の趣を思い切り楽しめる森の中の小さな村、完全な休息のためのすべてが備わっている憩いの場。誰かの介入や何の責任や義務もなく、何をしても何もしなくても良いところ。2022年フルアルバムとリパッケージアルバムの活動後、ワールドツアーのスケジュールをこなし、息を切らせて走ってきたSEVENTEENが、日本ドームツアーを控えた状況で『IN THE SOOP』を再び訪れた。
SEVENTEENは趣味生活のために準備された、彼ら向けにカスタマイズされた空間と用品、あらゆる種類の食材、道具など、無いものは無い環境を200%活用して、運動、昼寝、釣り、料理、読書、ドライブ、カヤック、登山、プルモン(焚き火を見ながらぼーっとすること)など、「休息」と言えば思い浮かぶほぼすべてのことをしながら、それぞれの休みの楽しみ方を見せる。THE 8はDKとティータイムを過ごしながら、もはや刺激的な幸せを追求しなくなったという価値観の変化についてまじめに語り合うが、それでも現実では刺激を追求しなければならないと、急いでお茶の道具をかたづけ、はしゃいでバギーのドライブを楽しむ。メンバーたちと皆で食事をする時、冗談や他愛のないいたずらをして楽しい雰囲気を作っていたSEUNGKWANは、JOSHUAと二人きりでこれまで表に出せずにいた胸のうちを語り、慰められたりもする。一人が料理を始めたキッチンに、一人、二人と集まってきたかと思うと、気づいてみたら5つの料理が同時進行で作られていて結局皆で食事をし、誰かが凧を揚げ始めると、いつの間にか周りに数人のメンバーたちが集まり、一緒に楽しんでいる。『IN THE SOOP』は、13人のメンバーで構成されたSEVENTEENの中で発生し得る8,177の組み合わせの一部を続けて多彩に見せ、最も心地よい空間で新たに満たされるSEVENTEENの友情についての話でもある。一つ注意する点。チョルミョン、大きなボウルに作ったビビンバ、椰子鶏、アルミホイルを敷いて焼いたサムギョプサルや豆腐料理、タッカルビ炒飯、キムチマンドゥ鍋、酔い覚ましのラーメン、中華式チャジャン麺、バックリブ、豚肉のピリ辛炒め、コーンチーズを乗せた激辛ラーメン、タッカンジョンなど、あらゆる料理が登場するので、夜遅い時間は避けて『IN THE SOOP』を観ることを勧める。かっこよくて愉快な人たちがともに癒やしの時間を過ごしていて、その間においしい料理まで絶えず出てくる? 「ご飯のお供」としてこれ以上のものはない。


「Seoul Survival Tips」 - Luci Gang
カン・イルグォン(ポピュラー音楽評論家):女性ラッパーの数は増えたが、裾野は未だに広くない韓国ヒップホップ・シーンで、ルシー・ギャング(Luci Gang)の歩みは際立つ。デビュー以来2年余りの間、アルバム単位の作品を3枚も発表している。何よりラップの実力が日に日に上がっている最中であり、テーマ選びも並外れている。とにかく単純なセックスアピールや自己顕示のように、いつの間にか韓国ヒップホップでも常套句のようになった、聴き飽きた歌詞とはかけ離れている。そのようなルシー・ギャングの差別化された強みを体感できる曲が、まさにシングル「Seoul Survival Tips」だ。ソウルはある人にとっては幸せな生活の場だが、ある人にとっては生きるために競争しなければならない激戦地だ。ルシー・ギャングは後者のイメージを投影したソウルで、主流ではない人、あるいは社会人一年生として、絶望する前に生き残る方法を説破する。全部で10章からなる彼女の戦法は明瞭だ。例えばこうだ。「第10章 賢さが即ち武器である/贅沢となった親切はいらないから要領良く動け」。アメリカのラッパーたちがしばしばテーマにする、「フッド(Hood、地元)で生き残る方法」のウィットの利いたバリエーションだ。ミニマルな構成のプロダクションは中毒性があり、ビートの上で弾力的に進んでいくラップもタイトだ。韓国ヒップホップ・シーンは、彼女にもっと注目する必要がある。
『あなたもゆっくり歳をとることができます(歳はとっても体の時間は若く)』 - チョン・ヒウォン
キム・ギョウル(作家):Twitterで「加速老化」についての話で、一瞬のうちに話題を集めることに成功した高齢者専門内科の医師チョン・ヒウォンの本。ダイエットを新年の目標に据えた人たちも、大概この時期ぐらいになると勢いを落としがちだが、この本を読んでみると、ダイエットが問題ではなく、全般的な生活習慣そのものが人生と社会全体に繋がっているということに気づくだろう。筋肉の許容値を超える血糖摂取と、技術の発達による質の低い快楽中毒が、肥満と成人病だけでなく認知機能低下と急速な老化に繋がり、それは結局社会的費用の増大に繋がるという著者の主張は、自己啓発的にも、社会学的にも読める。献立と運動から、快楽管理、欲望管理、正しい姿勢をとることなど、生き方を総合的に管理すべき必要性とその方法を提示する本で、すべてが過剰になった現代社会で、自分の体と精神をどう守っていくべきかについての一つのガイドとなるだろう。
『スマホを落としただけなのに』(Netflixオリジナル韓国映画)
イム・スヨン(映画専門誌『シネ21』記者):スマートフォン一つで、その人についてのほぼすべてのことがわかる。普段どこに行くのか、人知れず見ているコンテンツがどんなものなのか、さらには本当に好きな人と嫌いな人が誰なのかまで。映画『スマホを落としただけなのに』のジュンヨン(イム・シワン)は、誰かが紛失したスマホに入っている情報をハッキングして、殺人事件を計画するサイコパス犯罪者だ。彼の今回のターゲットは、酔ってうっかりバスでスマホを落として降りたナミ(チョン・ウヒ)だ。紛失物を保管する平凡な市民を装ったジュンヨンは、ナミの職場、家族、応援しているプロ野球チーム、好きなミュージシャンなど詳細な情報を取得して、彼女に抜け目なく接近する。『スマホを落としただけなのに』を牽引していく原動力は、個人情報流出を恐れる現代人の普遍的な恐怖にある。そこにスマート機器のスクリーンを活用したさまざまな演出が没入度を倍増させ、スリラー映画のジャンル的なおもしろさが際立つスマートな商業映画ができあがった。『非常宣言』に続き再び悪役を演じたイム・シワンは、細かいキャラクター分析により、前作とキャラクターがかぶらないかという懸念を軽々と振り払い、犯罪に巻き込まれた平凡な女性を演じるチョン・ウヒは、日常性から狂気に満ちた顔までさまざまな幅の演技をこなしており、映画をリードしている。
無断転載及び再配布禁止