LEE HYUNがMIDNATTになる過程がシングル「Masquerade」の制作ではなく、「プロジェクトL」になる理由がここにある。アーティストがMIDNATTといった新しい名前を使ったり、「Masquerade」のように従来とはちがう曲を歌いこなすことは、音楽産業におけるアーティストの変化に向けた試みのうちのひとつだ。そして、これを実現するためには、目標を達成させる企画、実現させるプロダクションとプロモーションの力量が加わらなければならない。MIDNATTと「Masquerade」もまた、LEE HYUNがMIDNATTになり、アーティストとしての新しい転機を切り開くための目標に集中した成果物だ。ただ技術は、今までプロダクションで不可能に見えたことまで叶えられるように手助けをする。音楽産業の伝統的なプロダクションに新しい技術が加わったときに見えてくる新しい産業の地形。そのため、ひとりのアーティストの音源発表であるだけでなく、実験的な試みの音楽と技術の融合プロジェクトだ。「Masquerade」のミュージック・ビデオで、アーティストのストーリーに合わせたコンセプトとシナリオは、従来の音楽産業の仕方だ。一方、ミュージック・ビデオの企画によって雄大な空間のデザインと演出が必要になったとき、XR技術は以前できなかったり、見られなかったことをやってのけられる。XR技術は、ミュージック・ビデオの話の展開上、重要な背景となる「スロープ空間」と「深淵空間」を作ることを可能にする。ミュージック・ビデオの重要な空間は、XRスタジオで制作された。特に、前半に登場するスロープ空間においては、VR(仮想現実)技術で背景を拡張し、AR(拡張現実)技術でCG処理をリアルタイムで合成するXR技術で雄大な立体感を作り上げた。「Masquerade」のミュージック・ビデオ制作を担当したGIANTSTEPの担当者が説明する技術の長所は明確だ。「従来、物理的に不可能だった部分も技術を活用し、改めて解決できます」。彼によると、XR技術は「現場で直観的に合成された状態を見ることができ、修正事項を撮影現場で早速適用していきながら撮ることができるため」、創作者の意図を正確に具現化できるという利点も持っていると述べた。
MIDNATTは「プロジェクトL」について、次のように感想を述べた。「技術に対して迷いがあったのは事実ですが、これをして上手に遊ぶことができれば、おもしろくて新しいパラダイムを作れるツールとしてアプローチできるかもしれないという印象を受けました」。「プロジェクトL」は個別に存在しない。Supertone、XRなどの技術は、アーティストが望む方向に合わせ、整頓されたプロダクションにより、アーティストが望むこと、または大衆が想像できなかった不可能なことを叶えるツールだ。その結果、デビュー16年目の歌手が6か国語で歌を歌い、幻想的な背景の中でさまざまな自我に関する話を展開していった。技術が音楽にできるいいことのうちのひとつだ。
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