INTERVIEW
HEESEUNG「自分が見せたいものをきちんと見せることがプロだと思っています」
ENHYPEN『DARK BLOOD』カムバック・インタビュー
2023.06.04
1年ぶりに会ったHEESEUNGは、変化のパワーに満ちていた。思いやり、愉快さ、自らに対する確信と愛情。そのすべてのエネルギーは、自身の仕事に対する情熱、そしてENGENEに対する思いに今還元されているところだ。
インタビュー前に撮影をしましたね。
HEESEUNG:今回のアルバムとちょっとムードを合わせた感じもあって、雰囲気がダークでコンセプチュアルでした。今日髪を染めてきたので、新鮮な気持ちで撮りました(笑)。ここのところ大事なスケジュールが多いので、ずっとこのヘアスタイルで行くことになると思います(インタビューは5月8日に行われた)。僕が勝ち取ったカラーなんです。もともとそんなに欲を出すタイプではないんですが、事務所とものすごく話し合いました。頑張りたい気持ちも湧きましたし、アルバムについて考えていて漠然とステージの上の姿を思い描いたら、このヘアーにどうしてもしなくちゃと思ったんです。かっこいいんじゃないかと思って(笑)。
アメリカツアーの時、公演のたびにスタイルに気を使うという話をWeverse LIVEでしていましたが、その延長線でしょうか。
HEESEUNG:どうしてもステージの上で見られる職業なので、この頃そういう部分にすごく気を使っています。デビュー当初は実力的な面で努力がもっと必要な時期でしたが、今は自分の外見を磨くことも重要だということを心に刻んでいます。「自分を人に見せる時、どう見せたいのかを考えて、かっこよく『ラッピングする』ということも重要な領域なんだな」って(笑)。最近とても努力しているところです。
そういう点で今回の『DARK BLOOD』のビジュアル的な作品はどうでしたか。ENGENEの皆さんの反応がすごかったです。
HEESEUNG:最近「HALF」バージョンのコンセプト・フォトが公開されたんですが、思ったより反応が熱かったです。こういうの大好きみたいで(笑)。僕を大事に思ってくださる方々は、ちょっと隠してともおっしゃったり(笑)。最後のコンセプトまでちゃんと公開されて気に入っていただけたら、ENGENEの皆さんが活動にもうまく没入してくださるんじゃないかと思います。トレーラーは、台詞や状況が与えられるのではなくて、表情だけではっと驚いていることを表現しなければならなかったので難しかったです。僕は他のメンバーたちが撮ったものを見ていないんですが、戦うシーンもあって、馬に乗るシーンもあって、一生懸命撮ったんだな、みんな(笑)。まちがいなく新鮮で、よく理解できるように具現化されているので良かったです。僕たちの姿そのものを見た時に驚くぐらいのものを、今回のアルバムでたくさん準備しましたし、音楽的な面でももっとたくさん神経を使いました。
今回のタイトル曲「Bite Me」のボーカル・アレンジで、クレジットに名前が入ってもいますよね。
HEESEUNG:今回僕がアルバムにより深いところまで参加しているので、もっと楽しかったです。曲のディレクションにもたくさん関わって、メンバーたちを手助けできましたし。考え方をもう少し創意的にして、どの方向に持っていったら良いクオリティを出せるのか、少しわかって楽しかったです。
「Bite Me」は主にボーカル・ディレクションをしたと考えればいいでしょうか。
HEESEUNG:はい、そうです。ボーカル的な部分もあって、ラップもあって、特にその境界はありませんでした。僕は、この曲はこうすべきで、あの曲はああすべき、そういうことが歌を聴いた時に一度にすぐ感じられるほうなので、その方向通りに行こうとする本能があるみたいです(笑)。タイトル曲「Bite Me」は、バイブスやニュアンス、リズムが重要なので、そういう点をずいぶんディレクションしました。「Bite Me」は僕にとっては悩みどころが多かったんです。活動も考えなければなりませんし、ENGENEの皆さんの聴く耳のことも考えなければなりませんし。とにかく得意なものでいっぱいにしようと思いました。
アルバムの他の曲にも参加した部分がありますか。
HEESEUNG:アルバムの「Bills」、「Karma」といった曲にもずいぶん関わりました。ボーカルの先生がレコーディングを一緒に見てはくださったんですが、僕主導でレコーディングをしたんです。「Karma」はただ叫んで(笑)、「Bills」は曲自体が今の人たちの時代や生活をよく表現している歌だと思ったので、トレンディに歌おうと努力しました。「Bills」はパン・シヒョクPDにすごく褒められたんです。レコーディングがすごくよくできている、活動曲にしようと言ってくださるほど気に入っていただけたので(笑)、誇らしくて特別な経験でした。僕の個人的な作品も誰かが聴いたら気に入るかもしれませんし、それでそれがアルバムに入るかもしれないじゃないですか。そういう可能性が見えて嬉しかったです。今は活動がすごくしたいです。早くしたいのになかなか時間が経ちません、最近は(笑)。
ステージに対するHEESEUNGさんの意志には、この前のワールドツアーの経験も影響しているでしょうか。
HEESEUNG:デビュー当初はファンに対する感謝の気持ちを一生懸命学ぼうとしていましたが、今はもっと感じられますし、たくさん考えるようになりました。ツアーでENGENEの皆さんが集まって、僕たちの曲を一緒に合わせて歌ってくださるのがとても感動的です。「この人たちが全世界で待っていてくれるんだな」という思いが心の奥にもっと染みてきて、怠けたことがありません。レコーディングする時も、もう一度ENGENEの皆さんのことを考えながら、あの公演会場のことを考えながら歌わなきゃと思いましたし。実際にああやってたくさんのENGENEの皆さんの前で公演をしているうちに、ステージの上での姿ももっと自然になって、もっとかっこよくなったと思います。
ツアーを通して、ステージという空間に対して新たな考えをするようになったのですね。「2022 ENniversary MAGAZINE」で、公演をすると「感情と理性が分離して」感じられると言っていましたが、どういう意味だったのでしょうか。
HEESEUNG:ステージの上で興奮したらかっこいい絵になることもありますが、そういうのを少し警戒するタイプなので。ステージで興奮するということは、自分自身の姿を忘れてしまうということじゃないですか。ステージですべて出し切って、「今回は本当にうまくできた。最高だ」と思ってモニターを見たら、「何、これ? 僕、こんなふうにやったの?」と思うこともあるんです。思っていたことと実際がちがうんです。僕が思うに、かっこよく上手にやることを忘れた状態でステージをしたらだめだと思っているので、それを警戒してわざと分離して見ています。そうできるまで努力して、その間の区分をつけて、自分が見せたいものをきちんと見せることがプロだと思っています。
「2022 ENniversary MAGAZINE」でご自身のことを、「今はまだ輝いていると表現できる段階ではないので、ツアーを通して経験値を積みたい」と言っていました。ツアーを終えた今、考えに変化はありますか。
HEESEUNG:「輝いている」、「いない」というのは僕自らが判断したもので、それは自分自身を投影する姿だったと思います。ですので、当時は準備ができていなかったと見ることもできます。だからと言って今「準備が完全にできた。今はもうできる!」ということではありませんが(笑)。アイドルという存在は、ステージの上でばかりはいつも輝く人じゃないですか。同じように、ステージ以外でもそういう人になれたらと思っています。この頃は「輝いている」、「いない」、そういう物差しで考えるよりは、ただ受け入れて楽しみながらやっています。自分が皆さんに対してもっと魅力的に見せなければならないのも、輝かなければならないのも当たり前のことですから。それを敢えてでも受け入れて、悩んで、進んでいくべきだと思います。
以前は、HEESEUNGさんは時々悩み多き姿も垣間見せていましたが、最近はある種の確信が生まれたように思います。
HEESEUNG:僕は悩みの多い性格だとおっしゃったじゃないですか。最近気がついたんですけど、悩まないのが一番良い方法だと思いました。頭でできることは、思うほどそんなにありません。自ら動いてこそ生き生きとして人生も楽しくなるので、「自分はこうなりたいのに、なんでなれないんだろう」から、「自分はこうなりたいんだけど、そのための方法には何があるだろう」に変わったんです。野菜を買ってきて、「これをもっと新鮮にする方法は何かあるかな」と睨んでいるだけでは、ただ傷んでしまうじゃないですか。新しいものを買ってこなければいけないんです。
日常で感じる性格の変化もあるでしょう。
HEESEUNG:前は一人で部屋にいるのが楽しかったんですが、最近は一人でいるのがちょっと嫌なんです(笑)。わけもなく映画でももう一本観たり、新しく出た歌はないかと聴いてみたり、友だちに電話もしてみたり。そんな時ハッと感じました。「僕は人に会うことが必要なんだな」って。友だちにもたくさん会わなきゃと思っています。
それで知らない人たちとストリート・バスケをするHEESEUNGさんを見ることができたのでしょうか。
HEESEUNG:ストリート・バスケをする人たちは、知らない人たちともゲームをするからか、だいたい外向的なんです。普通に近づいて声をかけたら、そのまま親しくなります。その時期にバスケがしたいと思っていました。『THE FIRST SLAM DUNK(以下『SLAM DUNK』)』が公開される直前に、「なんで最近バスケがしたいんだろう」と思っていたんですが、ちょうどその時映画が公開されたんです。それで「映画を観てバスケもして、YouTubeを撮ったら、ENGENEの皆さんがすごく喜びそうだ」と思いました。これから撮影ももっとしてみようと思っています。バスケは最近もずっと続けています。こどもの日には兄と兄の友だちと12人で3時間バスケをしました(笑)。
Vlogを見たら、バスケットシューズも買って、かなり本格的なようですね。
HEESEUNG:バスケは確実にかっこよさというものを大事にするスポーツなので好きです。バスケットシューズはたくさん集めているわけではないんですが、「レブロン」もありますし、「カリー」も最近一足買いました。好きな選手たちのシューズを集めて、「今日はこの選手になりたい」と思ったらそのシューズを履くんです。バスケをする人たちは、フォームだけ見ても誰が好きかわかります。ジョーダンが好きな人はジョーダンのように、カリーが好きな人たちは3ポイントシュートばかり狙うんです(笑)。僕はケビン・デュラントが好きです。パワーフォワードで背の高い選手です。『SLAM DUNK』の赤木剛憲のように大きい人の横で、同じぐらいの背でリバウンドをサポートして、2ポイントシュートをたくさん打って、ポストアップするのかと思ったらフェイントをかけて、フェイドアウェイシュート…(笑)。
バスケも好きで『SLAM DUNK』も楽しんでご覧になったのでお聞きしますが、全員は難しいかもしれませんけど、もし『SLAM DUNK』にENHYPENのメンバーを当てはめるとしたら?
HEESEUNG:まず映画のストーリーだけで見たら、僕は宮城リョータに近いと思います。状況はちがいますが、僕も兄とバスケを一緒にしていた思い出があるので、すごく悲しかったんですけど、隣にJAKEさんがいたので泣けませんでした(笑)。流川楓はちょっとNI-KIさんみたいです。近頃おしゃれを重視しているのが似ているので(笑)。それから赤木剛憲はバランスをしっかり取ってくれる人ですよね。JUNGWONさんだと言えるかもしれませんが、JUNGWONさんも実は自分がすべきことを一生懸命やりたいからこそ、その責任感で頑張るタイプだと思うんです。それでも似ているとすれば、赤木剛憲でしょうね。
短い比喩の中にもメンバーたちに対する愛情がありますね。『Weverse Magazine』のインタビューで、メンバーたちに「最年長としては話をしない」と言っていましたが、その基本的な考えは今も変わっていませんか。
HEESEUNG:最近になってメンバーたちが本当に頼もしいんです。こんなによくできた良い人たちが、うまく一つになって活動できて良かったと思うので。ただメンバーたちを信じて進んでいます。実際僕が何かをしてあげるということ自体が、まだまだ早いとも思いますし。自分でまだとても未熟だといつも思っていますし、人は誰でも足りない点があるじゃないですか。そういうところを直して成長する時間も足りないので(笑)。
「ENHYPEN『1年後の自分へ from.2021』」では、「まだ幼い気がする」と言っていましたが、今はどうですか。
HEESEUNG:僕は、成熟するとしたら、それはただ大人っぽくなりたいということではなく、不自由さがなくなったらと思います。生活していてとか人間関係で不自由を感じない程度に、僕がもう少しだけ芯が強くなれたら嬉しいです。ですので、考えること、主張したいこと、僕が出したいカラー、僕がやりたい音楽、そして僕がお見せしたい姿。そういうことをもっと強く言える自信も持ちたいですし。今もすでに持っていますが、もっと強く声に出したいです。
すでにある程度はその自信が会話の中に表れているように思います。
HEESEUNG:僕は心の中の深いところで自己肯定感が低いほうでした。それでデビュー当初は、僕が望む方向通りに自分を発揮できずにいましたし。でも、半年から1年ぐらい前から、自信がついたどころか、ちょっと減らさなきゃいけないぐらい自信たっぷりになったんです(笑)。以前は僕が思う自分の姿がとても小さかったんですが、今は良くなったと思います。
それで「HYBEプリンス」というWeverseのニックネームを…(笑)。
HEESEUNG:見なかったことにしてください(笑)。
ENGENEの皆さんとニックネームを決めるのを楽しんでいらっしゃるようでした。
HEESEUNG:はい、楽しいです。ENGENEの皆さんがすごく喜んでくださって、投票までわざわざすることもあって。「HYBEプリンス」はTwitterの「リアルタイム・トレンド」だったじゃないですか。「こんなに喜んでくださるなんて。本当に王子だと思っているのかな?」(笑)。僕が写真をアップするのも、昔はものすごくよく撮れたものだけをアップしたいと思っていたんですが、最近こどもの日に載せた写真なんかも喜んでくださっていました。「ああ、僕を厳しい基準で見てはいないんだな。僕がふざけても大丈夫そうだな」と思って、それでENGENEの皆さんとそうやって遊んでいます。
ハムスター派と鹿派について言及なさっているのもその一環ですよね(笑)。
HEESEUNG:あ、これはインタビューの最後に書いてください。絶対書いてくださいね。「鹿派よ、立ち上がれ」。
HEESEUNGさんはENGENEとの関係において、すっかり心地よさを感じているようです。
HEESEUNG:今はただふざけても受け入れてくださって、かっこいい姿も喜んでくださって、アルバムも応援してくださって。ENGENEの皆さんは僕がするすべての活動をものすごく喜んでくださるので、それだけでとても楽しいです。ENGENEについてたくさん考えるようになりましたし。これから自然な僕の姿がたくさん出せたら嬉しいです。もっと自然な姿をENGENEの皆さんにお見せしたら、もっと喜んでくださるんじゃないかと思うので(笑)。
Credit
文. ユン・ヘイン
インタビュー. ユン・ヘイン
ビジュアルディレクター. チョン・ユリム
コーディネイター. キム・ジウン
ビジュアルクリエイティブチーム. ホ・セリョン、イ・ゴンヒ、チャ・ミンス、イ・ジフン(BELIFT LAB)
写真. ニコライ・アン/Assist. チョ・スンハン、イ・ヘジ
ヘア. アン・チヒョン(fleek)
メイク. クォン・ソジョン
スタイリスト. チ・セユン/Assist. チェ・ハンビョル
セットデザイン. チェ・ソユン、ソン・イェヒ、キム・アヨン(da;rak)
アーティストマネージャーチーム. パク・ソンジン、イ・シンドン、ホン・ユキ、キム・ハンギル、カン・ビョンウク、ウ・スヒョン、パク・ジェウォン
Weverse Magazine
HEESEUNG:“我认为能很好地展示我想展示的东西,这才叫专业。”
ENHYPEN 《DARK BLOOD》 回归访谈
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