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文. キム・リウン、ナ・ウォニョン(大衆音楽批評家)、イム・スヨン(映画専門誌『シネ21』記者)
デザイン. チョン・ユリム
写真. Netflix
​『サイレン ~炎のバトルアイランド~』(Netflix)
キム・リウン:Netflixのバトル系リアリティ番組『サイレン ~炎のバトルアイランド~』では、軍人、警察、消防士、スタント、SP、スポーツの6分野から職業別チームを結成した女性たちが、基地を奪い合うための対決に身を投じる。基地を奪い合う過程で、基地のガラス窓を割ったり激しいもみ合いになるという点からは女性たちの肉体的な力が強調されるように思えるが、他チームと即席連盟を組むために交渉したり、あらかじめ偵察に出て情報を得ておくなど、激しい頭脳戦も要求される。軍人チームがフェザースティックを使って大きな火を付けることに成功する姿や、消防士チームのチョン・ミンソンがホースの方向に応じて火がどう消えるかを説明する姿は、彼女たちの職業的専門性に基づいた知識を示している。要するに『サイレン ~炎のバトルアイランド~』は、身体の面で相対的に不利だと考えられる職業群において、女性たちがどれほど多様な問題解決能力を持っているのか証明してくれる。

特定の性別に参加者を限定することは、ときには固定観念を強化する装置として作用しうる。しかし、『サイレン ~炎のバトルアイランド~』は追い詰められた状況に置かれても、競争だけでなく協同、連盟、戦略など、バラエティ豊かな選択を可能にする構成によって参加者一人ひとりの立体的な姿を見せてくれる。チーム内リレー方式で行われた薪割りミッションで、負傷した消防チームリーダーのキム・ヒョナに代わって一人で薪割りをやり遂げようとするチョン・ミンソンの姿や、一時連盟で友好的な関係にあった消防士チームとスポーツチームが基地戦を繰り広げる際、「さあ、ついにオンニ(お姉さん)と対決ですね」、「望むところだ!」と叫ぶように、感動的で愉快なシーンが生まれる理由だ。参加者たちはライバルチームをけなしたり、どう利用しようかと悩むなど、生き残るために葛藤するが、ヒートアップのあまり基地戦の最中にルール違反をした軍人チームが自らの過ちを素直に認めるように、フェアプレーのために共に努力する。『サイレン ~炎のバトルアイランド~』は制作サイドの視点を強く自制し、出演者のインタビューとコメントを生かしたテロップ中心のリアルな構成によって、逆説的にこの新自由主義時代には珍しいファンタジーを見せているように思える。相対的弱者と思われていた女性たちが身体的な能力を誇るのみならず、全員を極限に追い込む果てなき競争構造の中でも、人間性を維持し、連帯し、協力する。肉体を使って容赦ない競争をさせるフィジカルサバイバルが2023年のトレンドならば、『サイレン ~炎のバトルアイランド~』はそのトレンドの中で、今なお我々に必要な時代精神を示してくれるバロメーターではないだろうか。
「Salad Days」 - iiso
ナ・ウォニョン(ポピュラー音楽批評家):昨年「Banana Shake」がショートフォーム(短尺)動画プラットフォームのミームとして再浮上した後、ハミング・アーバン・ステレオ(Humming Urban Stereo)のもう一つの代表曲である「Salad Day(原題:サラダ記念日)」がiisoの「Salad Days」として召還されたのは、この上なく適切なことのように感じられる。原曲から鍵盤サウンドをサンプリングして全体的なコード進行を取り入れ、リミックスの美学よりは動画の尺を重視して「加速(sped up)」したこのトラックでは、複数の要素が1対1で互換可能だ。2005年から2023年へという方向のみならず、2023年から2005年という方向にも可能である点がポイントだ。
ここで目立つのは次の2つだ:(キックよりもスネアとハイハットを強調した)ツーステップ・ガレージとドラム&ベース、そして(力を抜いてひっそり口ずさむように歌う)Yozohとiiso。このような類似性の中で2つのトラックは、互いに行き来してもすれ違わない、違和の少ない時間帯のように感じられる。電子ダンス音楽が常に時差を置いて韓国ポップ界に移植される過程で、カラーのはっきりした歌唱が「エレクトロニカ」の作法として、このジャンルの安定した地位を確立させてくれたおかげだ。1990年代、英国の地下ダンスフロアから生まれ、躍動する分裂的なリズムを聴かせてくれた様式も例外ではないだろう。抜きん出た技術力のプロデューサーやDJと、(しばしばゲストとフィーチャリングの形式で参加する)優れたボーカルで構成された2000年代の韓国電子音楽グループらの成果は、まさにこの形式によってオルタナティブかつポップな韓国産ダンスミュージックを可能にしたことにある。2010年代以降、そのようなレガシーがアイドルポップの制作工程に組み込まれ、(iisoのケースのように)個々のアーティストの道具箱に収まり、そして何より、進む電子音楽家たちの自主化と専門化によって以前ほど有効ではなくなった今、「Salad Days」のサンプリングは韓国産ポップ・ミュージックらしい電子音楽の若かりし蒼き時代への裏口をしばし開け放ってくれる。小さなトレンドの彫刻で刻まれた時が敷居を越えて入ってきて、流れるビートに依然として残っている力に乗り、互いに行き来する。
『マイ・エレメント』
イム・スヨン(映画専門誌『シネ21』記者):水、火、風、土などそれぞれ異なる元素が暮らすエレメントシティ。火のエレメントであるエンバーは、食料品店を経営する両親と暮らしている。よほどのことがないかぎり火の村を離れることはないエンバーは、このままだとその店を受け継ぐ可能性が高い。エンバーの平穏な日常は、水のエレメントでシティの公務員をしているウェイドがエンバーの店を訪れ、規定違反を指摘して閉店命令を下したことによって崩れる。決して分かり合えないように思えた正反対の二人は、互いを知り、恋に落ちる。韓国系アメリカ人で移民2世であるピーター・ソーン監督の個人史から始まったプロジェクトであるだけに、ディアスポラを巡る階級力学が映画全般に投影されている。特に、エンバーは主流から脱して差別に向き合うアウトサイダー、ウェイドは上流層エリートとして描写されている点が、このようなメタファーをより直観的に受け入れさせてくれる。差異によって衝突の可能性もあるものの、それが変化の第一歩になりうるというメッセージを、ロマンスとファミリードラマの文法でまっすぐに描いている。ここにエレメント(元素)の化学的特性をキャラクターデザインと動きに生かした想像力とアニメーション技術が、普遍的な物語に特別さを加える。『インサイド・ヘッド」』や『ソウルフル・ワールド』などを作ったピクサーアニメーションスタジオの新作だ。