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文. ミョンソク、オ・ミンジ
デザイン. MHTL
写真. BIGHIT MUSIC

​現実に身を投げた夢 

カン・ミョンソク:TOMORROW X TOGETHERが昨年発表した「The Name Chapter Concept Trailer」で、HUENINGKAIは空の上の家から自ら飛び降りた。そして「The Name Chapter」の新たな章を始めるアルバムが『The Name Chapter: FREEFALL』だ。自ら選んだ墜落。「Been free falling」で始まる最初の曲「Growing Pain」は、「体中が痛い」と墜落の苦しみを語る。だが、タイトル曲「Chasing That Feeling」の歌詞のとおり、墜落を選ばなければ、逃避するように居続ける幻覚の中でただ没落を待つだけだ。「天国に背を向けた僕は Fall from the sky/Maybe I’ll miss for good 甘かった幻覚」。TOMORROW X TOGETHERが「Dreamer」で告白したように、世界は「夢を見ない大人と夢しかない少年」に分かれているからだ。少年の夢が単なる夢想のように消えないためには、夢を見ない大人になる前に現実にぶつからなければならない。これができる唯一の時期を青春と言えるだろう。大人と少年、「そのありふれた分かれ道の間の僕は gray」と言えるそのとき、少年の夢は現実と戦っているうちに忘れていく幻覚ではなく、「僕は再び夢を見る 取り戻した name」のように、自分が誰なのか定義できる実在する力に変わる。TOMORROW X TOGETHERにとって「恥ずかしい気持ち」だった「ある日いきなり生えた角」が「A big crown on me もう醜い角じゃない You’re my silver lining」になったという「Deep Down」の宣言は、現実の中で夢を共存させようとする者が得ることになる結果だ。現実から逃げることも、夢を諦めることもせず生きていく中で、自分自身のことを何一つとして憎まない方法を学ぶ。それゆえに、『The Name Chapter: FREEFALL』は1枚のアルバムとして青春が現実を生きていく旅路を収めた精神的なロードムービーのようなアルバムであると同時に、今までのTOMORROW X TOGETHERの旅路全体に影響を及ぼす重要な瞬間になる。「CROWN」でデビューして以降、TOMORROW X TOGETHERは現実と幻想のどちらにも定着できない少年たちだった。彼らは「Run Away」で現実から「逃げようか」と思ったこともあれば、「0X1=LOVESONG (I Know I Love You) feat. Seori」のミュージック・ビデオでは、いくら逃げるように車を走らせても現実から逃れることはできなかった。そして『The Name Chapter: FREEFALL』に至り、彼らは車をネバーランドではない現実にUターンさせ、青春の人生を定義する。現実で生きていくこと。角と夢を隠さないまま。

 

「Growing Pain」のサウンドは、破壊的と言えるくらいのエモコアをベースにしている。一方でTOMORROW X TOGETHERのメンバーの声は意図的にサウンドに埋もれ、立体感を出しつつも感情を抑えておいたような効果をもたらす。サビの「苦痛の中へ投げてしまえ」といった部分でも、彼らの声はファルセットを使うなどしてなかなか爆発させない。彼らがロック・サウンドを基盤に思いっきり叫ぶのは7番目の曲「Skipping Stones」からだ。「Deep Down」で自分の角というアイデンティティを王冠として肯定し、「Happily Ever After」で「おとぎ話の本を閉じても人生はずっと続いていく」という現実を「わからなくたっていい 僕はむしろいい」と受け止めた後、彼らは「Skipping Stones」で「傷を飲み込んだ水はそのうち静かになり 広い懐を持つようになるから」とし、これからも傷だらけになる現実を切り抜けていくという意志を伝える。『The Name Chapter: FREEFALL』の曲では伝えるメッセージによってサウンドの使い方が変わり、曲のサウンドが1枚のアルバムとしてつながっており、音自体がTOMORROW X TOGETHERの旅路になる。「Growing Pain」のエモコアが現実に落ちる瞬間の苦しみを描いた一方、「僕の宿命よ come and kiss me I just keep on chasing that feeling」と、現実を恐れずに駆け抜けていこうとする「Chasing That Feeling」では、シンセポップ・サウンドが「Chasing」するスピード感を出している中、メンバーの声は躍動的でありながらも、現実に来て「天国に背を向けた」僕の悲哀が混じっている。そして、R&Bスタイルの「Dreamer」とシンセサイザーの音が曲全体を包む「Deep Down」へと進めば進むほど曲のビートは徐々にゆっくりとなり、TOMORROW X TOGETHERの声は段々と落ち着いていく。より静的になっていくアルバムの流れが変わるのは、他の音なくメンバーの声だけで「Deep Down I need you more」を歌う瞬間からだ。そのときからEDMの速いビートが登場し、彼らは2番で「角」を肯定する。まるで墜落するかのように降下していた曲の雰囲気は、導入部から軽快な声で始まる「Happily Ever After」から上昇し、「Skipping Stones」のロックを通り、「When we’re high When we’re low 君はいつもそばに All my youth 満たされる君のぬくもり」を躊躇なく叫んで歌うことで始まる「Blue Spring」に至る。現実にぶつかり、苦しみを恐れなかった青春は、自分のアイデンティティに対する自覚を経て、他人が自分に与えてくれる「凍えていた僕の世界についに咲いた春」、愛に気づく。TOMORROW X TOGETHERにとって愛は常に大切だったが、現実に墜落するように強くぶつかりながら生きた後で感じる愛の価値は、過去のものとはまたちがうだろう。『The Name Chapter: FREEFALL』が「gray」のようなTOMORROW X TOGETHERの青春を探す旅路だとすれば、彼らの声はそれぞれの曲に込められたメッセージとサウンドに正確に符合したものに変わるたびに、少しずつ望んでいた人生を見つけていく青春の成長を具体的に描いていく。その結果、『The Name Chapter: FREEFALL』は曲によってちがうジャンルを実現しつつ、アルバム全体が音だけで一つの物語のようにつながる。

 

『The Name Chapter: FREEFALL』は曲によってちがうジャンルを活用し、それぞれの曲は構成的な変化よりはヴァースとサビをループさせることで短くすっきりと終わらせることに注力する。これが今の時代におけるポップスの様式だとすれば、そのサビの中で「Chasing That Feeling」のように曲のコアなメッセージを伝え、メッセージに合わせて声を細かく調整しながらアルバム全体を一つの旅路として作り上げるのは、TOMORROW X TOGETHER固有の領域だ。TOMORROW X TOGETHERは最も大衆的な方式の中で、彼らのメッセージとストーリーテリングの仕方を聴覚的に具現化した。これをTOMORROW X TOGETHERのポップスとも言えるだろう。夢しかない少年が夢を見ない大人の現実の中で自分だけの夢を描いていくように、TOMORROW X TOGETHERは最も大衆的な音楽、ポップスの世界で彼らだけのアイデンティティを表した。そうして青春が現実の中で自分の小さな世界を築いた。

​現実の地に花を咲かせた魔法 

オ・ミンジ:「sometimes magical moments can be found in the most unmagical places (時には最も魔法的じゃない場所に魔法のような瞬間が訪れることもある)」。ニューアルバム『The Name Chapter: FREEFALL』のコンセプト・ティーザーの最後の一文のように、TOMORROW X TOGETHERがネバーランドのような彼らだけの場所を離れ、「I throw myself(自分自身を投げたまま)」「果てしない落下」(「Growing Pain」)に耐え、ついにたどり着いた場所に魔法のような瞬間はもはや存在しない。彼らはピーターパンのように空を飛び回ることも、永遠の少年として残ることもできない。「天国に背を向けた僕は fall from the sky」(「Chasing That Feeling」)を選んだ少年たちの境遇は、コンセプト・ティーザー映像の中の砕けた不毛のアスファルトの道の上、少ない雨水にも流されてしまうかもしれない下水溝の隣に、身を託すところもなく独り咲いた花と同じだ。

 

しかし、TOMORROW X TOGETHERが足を踏み入れた場所は、完全な「現実(REALITY)」ではない。同名のコンセプト・フィルムのように、彼らのいる現実には雨が降っても雨宿りできる建物と自分たちを守ってくれる傘がある。コンセプト・フィルムの中の花の境遇に例えられたときのように雨水に流されたり、初めて墜落したときのように「苦しみが肌に I prepared to die」(「Chasing That Feeling」)でなければならないくらい危険を冒す必要もない、安全な場所だ。だが、映像の途中、雨が空から降ってくるのではなく逆さまにのぼっていき、床に書かれた「DOWN TO EARTH」や「FREEFALL」と書かれた壁のグラフィティからわかるように、この空間はTOMORROW X TOGETHERのためだけに作られたセットだ。その次に公開された「MELANCHOLY」のコンセプト・フィルムもまた、滑降していた過去とちがって地に足をつけているようだが、YEONJUNが横になっているケージやSOOBINの後ろに見える鉄格子からわかるように、完全な自由を得てはいない。まともな現実も、完全な自由も得られない「ニセ」現実の中、TOMORROW X TOGETHERと一緒にいる狼犬は、彼ら自身に対する象徴かもしれない。自分たちを守ってくれるけれど、それと同時に前に進めない「ケージ」(ネバーランド)を抜け出したものの、まだ本物の「鉄格子の外の世界」(現実)に進むことができず、狼にも犬にもなりきれない狼犬の姿は、まともな大人に会ったことがないため、大人になりたいと思いながらもまだ少年でいるしかない現実の中のピーターパンたちの「宿命」を例えているようだ。

 

TOMORROW X TOGETHERが墜落を選び、それに伴う苦しみを乗り越えたように、「逃げたり目を背けたりしてみたけれど」(「Deep Down」)意地悪な運命の中、「長い彷徨い」(「Deep Down」)を終えた後に経験する成長痛は確かに痛い。しかし、この苦しみを乗り越えてようやく得られるものがある。例えば、「CLARITY」のコンセプト・クリップでTOMORROW X TOGETHERの首には数々の真珠がつけられている。貝が自分を守る外套膜と殻の内側に入ってきた不純物による苦しみと痛みを乗り越えたからこそ真珠を作れたように、「血が流れ骨が折れるとしても」「ウソのない夢に僕を投げる」(「Growing Pain」)ことのできた者だけが手に入れられるメダルだ。苦しみを乗り越え、現実と自由を真珠のように手に入れたTOMORROW X TOGETHERが立っている空間は、今まで自分たちを守ってくれていると思っていた家の屋根の上、本物の「現実」だ。いつでも再び墜落するかもしれず、雨と太陽の脅威から全く守られていない場所だが、それと同時に「Devil by the Window」で「Dream on, dream on, good night!(夢から覚めないで、お休み!)」という悪魔の甘い囁きに打ち勝ち、ついに「毎日新しい太陽に Good Morning」(「Happily ever after」)と言える空間。

 

そのため、コンセプト・フィルムの途中に現れるノイズは、ファンタジー的でおとぎ話の中の世界に住んでいたTOMORROW X TOGETHERが現実にぶつかりながら生じる不具合のようにも感じられる。TOMORROW X TOGETHERはその亀裂と雑音の中で、「夢を見ない大人と夢しかない少年 そのありふれた分かれ道の間」(「Dreamer」)の境界に立たされている。その境界で少年の姿を持ったまま現実にぶつかるそのとき、「魔法的な瞬間」を咲かせる。今回のアルバムのように。