
JUNGWOO - 『Cloud Cuckoo Land』
キム・ドホン(ポピュラー音楽評論家):見えも聞こえもしない、声なき何かが、ずっと近くをうろついている。木の柱に刻まれる年輪のように丸い輪が、頭の上に浮かんでいるような気分。美しい後光となって燦然と自分を照らす瞬間があるかと思えば、三蔵法師が孫悟空の頭にはめた輪のように、自分を締めつける苦しい拘束具にもなる。現代の昔話『Dawn(原題:昔話をしてください)』で音楽的キャリアの変化を予告したシンガーソングライターJUNGWOOの2ndフルアルバム『Cloud Cuckoo Land』は、その無形の存在を手で捕まえて、名前をつけ、物語にしようと奮闘する作品だ。JUNGWOOはこのアルバムを、幽霊のように自分のそばを取り囲む10代の頃のこと、思い出したくなくて埋めていた記憶を、巫俗の厄払いの舞踊のように手放す過程だと語っている。それゆえ、収録された曲は「怪談」、仮想の「クラウド・クック・ランド(Cloud Cuckoo Land)」であると同時に、めちゃくちゃな「青少年(Juvenile)」であり、「衝動」や「虚物」と呼ばれる存在だ。アコースティックギター1本でシンプルに歌っていたスタイルにも変化があった。ライブ会場やYouTubeなどで先に聴けたこのアルバムのアコースティック未完成バージョンは、プロデューサーのアン・ダヨンとクルムの手によって、幾重にも重なった濃厚なギターノイズのシューゲイザー・ロックとして、儚く寂しいものに再解釈されている。準備の整っていない成長と、周りに広がる何かが、詩になり、歌になって、聞こえてくる。無気力な告白、どうしようもないことから来る怒り、息の詰まるような一人ぼっちの孤独が、無邪気で清らかな声に乗って、冷たい風のように心を刺す。たった一人のモノローグが、大勢の合唱になっていく。現実を見つめて忘れろと言われる世の中だからこそ、いっそうその痕跡を逃してはならない、闇に鳴くカッコウたちの世界がある。
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