
この10年間、ビルボードHOT100の最も印象的な変化のうちの一つは、年末チャートの上位圏におけるクリスマス・キャロルの活躍だ。もちろん、ストリーミングのおかげだ。かなり昔から冬になると、誰もが半ば強制的にクリスマス・キャロルを聴いていた。それでも、季節的なラジオ成績やアルバム、音源の一時的な売上がチャートに影響を及ぼすほどではなかった。しかし、ストリーミングは人が聴くという実質的な消費行動を測定可能なものに変え、チャートがその指標を受け入れた。いわば、クリスマス・キャロルのチャート支配力は、ストリーミングが音楽消費の普遍的プラットフォームになった歴史の中で最も鮮明な地層だ。
これは「Rockin’ Around the Christmas Tree」発売65周年を迎え、前より積極的な宣伝ポリシーを掲げたおかげだ。ブレンダ・リーは新しいミュージックビデオを出した。それと同時に、クリスマス・キャロル5曲が収録されたEP『A Rockin’ Christmas With Brenda Lee』を新しくリリースした。その中には、プロデューサー・フィリウスのダンス・リミックスも含まれている。TikTokも始めた。彼女がダンス・チャレンジをするわけではないが、歌と自身のキャリアに対する振り返りを公開した。飛行機の中で機内インターホンを手に歌を歌う動画が拡散したりもした。
もちろん、マライア・キャリーの「年金(まるで年金のように長期的な印税収入が見込めるロングセラー)」が何も努力せずに自ずと維持されたわけではなく、今年もまた同様だ。マライア・キャリーは2020年、2021年連続でApple TV+のためのスペシャル・ショーを立ち上げた。2022年にはCBSと特別番組『Mariah Carey: Merry Christmas to All!』を放送するなど、大規模な宣伝を休んだことがない。2023年にも11月になるや否や、短いビデオを公開し、ホリデー・テーマのヴィクトリアズ・シークレットのキャンペーンに登場した。ビルボード・ミュージック・アワードで歌を披露し、功労賞も受賞している。
運命の12月9日付けHOT100、その結果は「Rockin’ Around the Christmas Tree」の首位獲得だ。2019年のホリデー・シーズンから昨年まで、2位だけ9回している。細かい成績を見ると、マライア・キャリーが依然として音源売上とラジオにおいて勢いを見せており、ブレンダ・リーがストリーミングにおいてリードしている。総合点数は僅差だったと考えられる。
クリスマス・キャロル市場の構図だけでなく、長い時間をかけなければ不可能な、奇跡的な記録が複数出された。HOT100で発売から65年越しの1位は、最も長い時間待たされた記録だ。それまでの記録は、やはり「All I Want for Christmas Is You」の25年だ。ブレンダ・リー個人としては1960年以来、63年ぶりの3番目の1位曲だ。それまでの記録は、シェールが「Believe」で記録した25年ぶりの1位だった。ブレンダ・リーは今年78歳だ。史上最高齢1位アーティストになる。彼女はこの曲を13歳のときにレコーディングした。レコーディング時点で考えると、最年少アーティストの1位曲でもある。どれも今後破られるとは期待し難い奇跡的な記録だ。一方、「All I Want for Christmas Is You」はグローバル200とアメリカを除くグローバルチャートで1位の座を守り抜き、グローバル市場では変わらない勢いを誇った。
これからのホリデー・シーズンは、さらにおもしろくなってきた。毎週、誰が1位になるかを注視することが年中のいつにも増して興味深い。今のところ、12月16日付けHOT100では「Rockin’ Around the Christmas Tree」が2週間1位の座を守り続けている。これから1月初めのチャートまで続く対決だ。そして来年も、再来年も。私たちは将来いつの日か、アリアナ・グランデの「Santa Tell Me」、ケリー・クラークソンの「Underneath The Tree」、ジャスティン・ビーバーの「Mistletoe」が競い合うことを目の当たりにするかもしれない。
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