


Piano Shoegazer - 「Sisyphus Happy」
キム・ドホン(ポピュラー音楽評論家):「救いを待ってるだって? そんなものはないよ」。荒れ果てた惑星の裏側、闇の海で砂の球を転がす者に思いを馳せる。硬い岩が時間と風に削られてできた荒い粒子の砂漠の真ん中で、耳障りな雑音と騒音に耐えながら、大きな球を丘の上に転がしていく。やっと完成した球体を、尖った丘の頂上まで押し上げる。そして、いつだってそうだったように、何事も起こらない。映画『コンクリート・ユートピア』のサウンドトラックに参加したチャン・ミョンソンの「Angel's Share」をプロデュースしたPiano Shoegazerが、自身の1stフルアルバムのタイトルをアルベール・カミュのシーシュポスの神話から引用した理由を推測してみよう。韓国インディーズミュージックのファンとしてSoundCloudにピアノカバー曲をアップロードし続けた彼は、音楽で生計を維持する過程において、孤独を力強く不安定なノイズに磨き上げる作法を確立した。オルタナティブであり安息の地としてのインディーズシーンとインターネット文化、ポストロックとシューゲージングが粉々になり、風に吹かれるディストピア的ポピュラーミュージックの世界で、Piano Shoegazerは懸命に記憶を集め、球体を転がす。砂の塊を転がすたびに、少数として無視され、幾度となく忘れられ、役に立たないと思われていた何かの痕跡が貼りついてくる。卑下のニュアンスで名付けられたシュゲージングが、2010年代末に孤立した世代の意識を代弁し、現在最も注目すべきポピュラーミュージックのジャンルとして存在感を強める中、この幸せなシーシュポスの物語にどうしても手が伸びてしまう。太陽系を離れ、未知の宇宙の彼方を飛ぶ宇宙船の電波のように、乱れて到着した音は不明瞭だが、はっきりとしたぬくもりがある。「Ruined」の歌詞を反芻する。「乾いた鉢 長い朝/終わりのないノイズ/汚れた世界に君が泣かないようにこれ以上傷つかないように」
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