KIM CHAEWONは自分の努力とその成果について語る時、よく「ただ」という言葉から切り出した。「ただ」の後にはかなり大変だったであろう日々についての回想が続いたが、KIM CHAEWONはひたすらはっきりと明確に、そして少し軽快な声で自身の話を続けていった。

コンサートでの「ドドドッ」(「仲間になってよ」というコメントの発音をミスして出た言葉)の瞬間で多くの話題を集めました。

KIM CHAEWON:最初「私の仲間になってよ!」のパートを担当することになった時はすごく恥ずかしかったんですが(笑)、そのパートを通して「Fire in the belly」も、LE SSERAFIMのことも知った方々が多いと思うので、光栄で感謝するばかりです。

 

去る1月「ゴールデンディスクアワード」のステージで、YBのユン・ドヒョンさんとともに「私の仲間になってよ!」と叫んでもいましたね。

KIM CHAEWON:恥ずかしい感じになったらどうしようと心配していたんですが、ユン・ドヒョン先輩が笑いながら楽しく言ってくださったので、あのシーンがとても素敵にできたと思います。いろいろな意味で「私の仲間になってよ!」のパートが私にとっては大切な瞬間になりました。

 

何でも軽く楽しくこなす姿を見ながら、ENA『HYEMILEEYECHAEPA』のイ・テギョンPDがCHAEWONさんに言ったコメントを思い出します。「すべてが最も自然な人」なので、「自分の感じるままにやっているけれど、それがすべて自分の魅力」になっていると。

KIM CHAEWON:バラエティでは、そもそも私はそんなに大きな笑いをもたらす人ではないと思いました(笑)。初めからギャグは諦めていたので、ただ楽しみながら自然な自分の姿を見せようという気持ちだったんです。私は気楽にやっただけなのに、多くの方々が楽しんでくださったので、私もとても嬉しかったです。

 

ステージの上でもいつも自然に見えます。リズムに合わせて瞬きする姿が話題になった「ANTIFRAGILE」のファン入門用ファンカムのように。

KIM CHAEWON:ステージに立つまでにはディテールまで合っているように、できる限り準備しておきます。その代わりステージに上がってからは他のことはあまり考えないようにします。いろいろ考えると楽しめなくなると思うんです。今おっしゃった「入門ファンカム」のように、ステージで気が向くままに変えてやる時もあります。楽しくて「今日はもっとやってみようかな」、「ちょっとちがうふうにやってみようかな」というようにです。

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気が向くままにするというのが、言うほど簡単なことではないと思いますが、「LE SSERAFIM EASY TRAILER ‘Good Bones’」でダンクシュートをするCHAEWONさんの姿が思い浮かびますね。

KIM CHAEWON:トレーラーで私たちはずっと信じられない行動をすごく簡単にするじゃないですか。今までダンクシュートをしたこともないのに(笑)、そんな行動をどうってことないというようにこなす姿で、今回のアルバムのアティチュードを見せることができると思いました。今までは「私、一生懸命やってるよ。情熱がこんなに! どう? 上手でしょ?」という感じだったとしたら、今回はそうしなくても充分にかっこいい感じが出るようにしたいと思いました。ところがタイトル曲の曲名は「EASY」でも、パフォーマンスも歌もまったく簡単じゃなかったんです。一生懸命やっていることが表に見えても良ければむしろ大丈夫なんですが、余裕のあるふりをするのが難しかったです。「EASY」じゃありません! 本当に絶対(笑)。

 

「力を抜くテクニック」という言葉を思い出します。「私の足取りはどんな時も history、これは my way」というパートで、素速くステップを踏んで動線を合わせながらも、巧みに緩急をコントロールする姿が印象的でした。

KIM CHAEWON:本当に重要だと思って、その分うまく活かしたいパートだったので、本当に一生懸命練習しました。ヒップホップの動きに慣れてもいませんし、移動しながら踏まなければならないステップなので、メンバーたちとずっと合わせながら研究もずいぶんしました。どこで力を抜いて、どこで力を入れるべきかを考えなければならないんですが、一生懸命やるうちにただすべてにものすごく力が入ってしまいました。初めてパフォーマンスディレクターの方に「ちょっと力を抜いてもいい。あまり強く、一生懸命やらなくてもいい」というディレクションをもらったので驚きました(笑)。そのパートがすごく印象的なキメのパートになったらという思いです。いろいろな面でフィーリングをどう出すかについてずいぶん悩みました。個人的には普段R&Bスタイルの曲をたくさん聴いてもいて、歌うのも好きなので、今回のタイトル曲を準備するのがすごく楽しかったですし、私によく合っていたんです。これからステージをたくさんやっていくうちに、各自の感じがもっとよく見えるんじゃないかと思います。

 

「EASY」で内面にある不安と悩みについて吐露していますが、ありのままの感情を取り出さなければならないという点でプレッシャーはありませんでしたか。

KIM CHAEWON:うーん、プレッシャーや心配は特にありませんでした。その通りのことなので。最初聞いた時、本当にまさに私たちのようだと思ったんです。これまで「羨ましい」、「とんとん拍子に進んでいる」とずいぶん言われました。充分そう見えるかもしれないと思います。でもその中で私は本当に一生懸命走ってきましたし、だからこそこんな結果が出せたんです。「簡単にみえるけど、絶対とんとん拍子で来たわけじゃない。見える姿はすごく華やかだけど、私たちにも見せていない舞台裏の姿がある」という話ができて、この曲に込められたメッセージが本当に気に入りました。いくら良く見えても、みんなそれぞれのつらさや悩みがあるじゃないですか。ですので、誰でも共感できる話だと思ったんです。私はそうやって言葉では表現しづらい考えを、歌やパフォーマンス、アルバムで表現できるというのが本当にいいと思いますし、ありがたいです。そのおかげで率直になれますから。

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「Swan Song」には作詞で参加してもいますが、どんな話を伝えたかったのですか。

KIM CHAEWON:この頃考えていること、感じていることを率直に書きました。表向きは良さそうに見えても、下ではものすごくじたばたもがいているからこそ、今こうして浮いていられると思います。実際アルバムを出すたびに毎回大変です。悩みがまた出てきて、また出てきてなので、やってもやっても大変です。でもそれが人生だと思うんです。ただ「これからも悩みはいつもあるんだろうな。だとしたらいつなくなるんだろう。あ、それがデフォルトなんだ」とある瞬間思いました。だとしたら、「仕方ないんだな。大変でもずっと続けなくちゃ。できるだろう」と思いました。

 

そうやって努力しただけの成果を得られなかった時はどうしますか。

KIM CHAEWON:そういう時ですか。正直言って! 気分はあまり良くないです(笑)。でも多くの方々と一緒に苦労して準備したものなのに、それ一つのせいで諦めるにはもったいないじゃないですか。それ一つのせいで崩れたらすごくもったいないですから。これからもどんなことが起きるかわかりませんが、つらいことがあってもこれまで私たちがやってきたことがすごくもったいないので、うまく打ち勝てるだろうという信念があります。また以前よりはメンタルや心がだいぶ強くなりましたから。少しうまくいかなくても、私たちにはこれからがあるので大丈夫です。「今回少し残念だったから、次は本当にうまくやらなきゃ」と、もっと一生懸命できる土台にすればいいんです。

 

一方、うまくいった時はどうですか。

KIM CHAEWON:うまくいっても同じです。うまくいったら「わあ、私たち今すごくいいね。このまま一生懸命やろう」、少し残念だったら「一生懸命やってもっとうまくやらなきゃ」(笑)。「一生懸命やろう!」と、「はあ…、本当に一生懸命やろう」といった感じです。気分はちがっても同じ思いです。

 

どうなっても結論は同じだということですね(笑)。

KIM CHAEWON:はい。ああ、すごく変なんですが(笑)、結果に関係なく続けたいみたいです。幸せなときよりは大変なときのほうがずっと長いじゃないですか。でもそれらすべてに勝ちます、一瞬の幸せが。一方ではそれが本当に不思議でもあって、いつかはその大変な時間まで楽しめる日も来るんじゃないかと思ったりもします。「今をちゃんと耐えて打ち勝てば、また大きな幸せが来るだろう」という気持ちで。

最近も大変さを打ち消せるぐらいの幸せがあったのでしょうか。
KIM CHAEWON:でも幸せは思ったより大したものではありません(笑)。些細なことですが、今回のアルバムを準備していて、初めて髪をブリーチしてミュージックビデオを撮ったんですが、すごく気に入ったんです。それがただ幸せでした。カムバックしてからファンの皆さんの反応を感じたらまた幸せだろうと思います。そういうことが私の幸せです。本当に考え方次第ですね。私もかつては、すごくうまくいって結果も良い状況なのに、「なんで私は幸せじゃないの?」と、幸せが感じられない時もあったんです。でも私がすごく幸せになろうと頑張ると、何の幸せも見つけられませんでした。ただ考え方を変えたら幸せもついてきます。(ドリンクを手に取りながら)「今これを飲むのもとても幸せなことじゃん!」というふうに(笑)。

ただ、CHAEWONさんがMCを務めている「FIMKITAKA リレーカム」では、「人が感じる感情のうち落ち込むことも必要だ」と話してもいました。
KIM CHAEWON:落ち込むことは間違った感情じゃないですよね。世の中にはとてもたくさんの感情があるんですが、人が生きていれば落ち込むこともあるんです。落ち込むことがなければ、幸せもないと思います。すべて相対的なものですから。もちろん落ち込んだ感情をあまり長く引きずっていては良くありませんが、それでも感じてみて初めてその過程でまた成長して、学ぶことがあると思います。

そういう率直な感情を共有できる対象がいるのでしょうか。前回のWeverse Magazineのインタビューでは「つらいことがあった時、あまり表に出さない性格」なので、疲れた時そういう素振りをあまり見せられないタイプだと話していましたよね。
KIM CHAEWON:最近ミュージックビデオの撮影を終えて、メンバーたちと一緒に話したことがありました。それぞれこの頃何がつらくて、どんな悩みがあったかを話したんです。そうやってお互いに話ができるのが本当にいいなとふと思いました。今は私が何か言う前にメンバーたちがわかってくれて、自分たちのほうから先に負担を軽くしてくれようとします。それが私の目にも見えるので、私が心を開かなければと思いました。一人でつらいことを隠そうとしたら、メンバーたちがかえってもっと気になると思うので。

一人で背負っている時は重かった悩みも、話してみれば思ったより大したことがない場合もありますよね。
KIM CHAEWON:そうですね。一人で考えていると本当にそうです。実際メンバーたちと話していた日も、みんなそれぞれの悩みを話したんですが、私だけまた話さずにいました(笑)。そうしたらメンバーたちが冗談ぽく、「CHAEWONさん、悩みがあるでしょ〜。早く話して」とみんなのほうから言ってくれました。「メンバーたちには気軽に打ち明けても良さそうだな。私が心配していたほど負担に感じたりはしないのかもしれない」と思いました。その時気持ちがとてもオープンになったように思いました。

だからでしょうか、「私たちのこと知ってる?」のコンテンツでメンバーたちがCHAEWONさんと親しくなれる方法は「時間」だと口を揃えて言っていました。
KIM CHAEWON:確かに私は時間がちょっと必要な人です。長い間一緒にいてお互いについて知ることができて、その過程でリラックスできるようになりますし。ツアーをしていて体力が落ちたり、今回『EASY』の準備をしていてつらくて疲れた時、メンバーたちとちょっとしたことでふざけたり、みんなで一丸となって取り組んだのが本当に大きな力になりました。それで耐えることができましたね。最近になって確かに私たちが本当にとても楽な関係になって、お互いに頼っているというのが感じられます。「ああ、これはみんなで一緒にやったからやり遂げられたんだ。本当にメンバーたちによく出会った。本当にこれも幸運だ」と思いますし。5人全員がこんなにまでこの仕事に本気で、こんなにまで真剣に悩む人たちだというのがすごいと思います。本当に良かったと思います(笑)。

前回のインタビューでは、リーダーなので「つらいのを表に出したらいけないと思う」と言っていましたが、最近はどんなリーダーが良いリーダーだと思っていますか。
KIM CHAEWON:グループのバランスをしっかり取れる人です。グループには揺らがない人が必要だと思います。

昨年8月のソウル・コンサートでは「時間が経てば経つほど、良いアーティストになりたいだけでなく、『良い人』になりたい」と話していました。どういうお気持ちですか。

KIM CHAEWON:うーん、どうしたら良い人になれるかはまだよくわかりませんが、ただ私の姿、飾らない姿を見せたいと思っています。感情の混乱だとか、生きていく中で感じることだとか、実はみんなが似たようなことを考え、感じながら生きていくんじゃないかと思うんです。ですので、ただこの姿そのままを見せたいですし、それに加えて私が一生懸命やってちゃんと生きていく姿をお見せすれば、勇気や励ましも一緒にお届けできるんじゃないかと思います。

 

Instagramに「the way things go」という曲とともにアップした日常の写真の中に、映画『トゥルーマン・ショー』で主人公が自分が生きてきた世界が偽物だったことに気づくシーンがありました。

KIM CHAEWON:その立場になってみて、この世界が偽の世界で、こんなにまでずっと生きてきたのに、新たな世界に出て行けるだろうかという問いを自分に投げかけたんですが、思ったより難しいと思うんです。外の世界がどうなのかもわからないのに、果たして容易く足を踏み出せるだろうかと思いました。

 

そう言いながらも、絶えず前進していこうとする気持ちがうかがえます。去る1月1日、Weverseに載せた文章にも「毎日毎日が幸せだとは限らないですが、それでも頑張って前に進めたでしょうか」と書いていました。

KIM CHAEWON:表に見えなくてもずっと前に進んでいると思います。少し結果が良くないとしても、止まっているわけではなく、それを通して自分自身は学んで成長していると思いますから。この仕事をしていると、新たな姿を見せなければなりませんし、ずっと毎回証明し続けなければならないじゃないですか。それが大変ではありますが、本当に楽しいと思います。自分もずっと新たな姿を発見できて、その分何かをやり遂げた時の幸せも大きいですし。

 

やはり一瞬の幸せがすべて勝つということですね。

KIM CHAEWON:はい、そう思います。この仕事じゃなかったら、どこでも感じられない幸せじゃないですか。自分でもそれをすごくよくわかっています。基本的にダンスと歌が本当に好きで、それが仕事になってもその気持ちがずっと続いているぐらい、それぐらいすごく好きなんだなと実感しています。つまり、私はこの仕事が本当に好きなんだと思います(笑)。


Credit
文. ソン・フリョン
インタビュー. ソン・フリョン
ビジュアルディレクター. チョン・ユリム
コーディネイター. イェ・シヨン
ビジュアルクリエイティブチーム. キム・ソンヒョン、チョ・ユンギョン、イ・ス(SOURCE MUSIC)
写真. ニコライ・アン/Assist. チョ・スンハン、ケイスケ・ヤマダ
ヘア. オ・ユミ、ハ・ミン(BIT&BOOT)
メイク. キム・イナ、キム・イスル(WOOSUN)
スタイリスト. 渡辺俊輔/Assist. 谷本聖菜、ノ・ユジン
ネイル. 中川知也/Assist.キム・ソウル
セット・デザイン. キム・サオン(@leeroykim)、キム・ソンテ(@kim_so_young91)
アーティストマネージャーチーム. キム・ヒョンウン、キム・アリ、キム・ヒョンホ、パク・シヒョン、パク・ハンウル、シン・グァンジェ、アン・ウンビ、ファン・ジフン