すべてのことに、すべての場所でストイックだ。愉快だ。思いやりがある。YEONJUNの世界だ。

ホリデー記念に行ったWeverse LIVEで、メンバーたちと交換するプレゼントに詩集を準備しましたね。
YEONJUN:本をたくさん読むほうではなかったんですが、SNSで時々良いフレーズや詩に接した時、インスピレーションを得ました。周りの人たちがつらい時、そういう文章を見せてあげても良いなとも思いましたし。それから歌詞を書く時、言葉遊びで表現するのは上手くできますが、感性を込めるのはまだ少し足りないと思っているので、詩集が助けになるんじゃないかと思いました。

ちょうど今回のアルバムで作詞に参加した「Farewell, Neverland」の歌詞は叙情的です。
YEONJUN:でも難しくはありませんでした。もともと映画もたくさん観て、想像もたくさんするほうなので。僕のMBTIはN(直観型)なんです(笑)。子どもの頃から想像力が豊かで、まるで主人公になったつもりになってまねしたりしていました。「Farewell, Neverland」の歌詞は、僕がピーターパンと一緒に遊びたいと思う子どもの一人になったつもりで書きました。大人になりたくないけれど、何しろネバーランドを離れてはじめて成長し、もう一歩進めるわけですから。ピーターパンの誘惑を振り払う立場を想像しながら書きました。

一方タイトル曲「Sugar Rush Ride」と「Devil by the Window」では、誘惑に支配されたり、誘惑する姿を表現しています。ボーカルのレコーディングでも、今までYEONJUNさんが聴かせていないさまざまな歌い方も試みたようですが。
YEONJUN:誘惑する時、ただ「(味も素っ気もなく)こっちに来て」とは言わないじゃないですか。キザでセクシーな言い方をするといったふうによく表現されますから(笑)。それであるパートでは普段の僕を捨てて、「僕は悪魔だ」というふうに没入してロールプレイをするように、過度に表現したりもして、ある部分は僕の歌声を誇張して活かしたりもしながら、できる限り強く表現しようと思いました。
「Happy Fools(feat. Coi Leray)」の歌詞を書く時はどうでしたか。普段とても真面目なYEONJUNさんにも、誘惑に従う瞬間があるのか気になりました。
YEONJUN:「遊びたい」という思いにはいつも共感するので、そんな気持ちを込めて歌詞を書きました。でも実際僕は本当につらかった時も、集中力が少し落ちたり、練習を減らすぐらいなんです。完全に放り出してしまったことは一度もありません。

それではすべきことは全部してきたということじゃないですか(笑)。本当にたまにでも、放り出してしまいたいと思わないのですか。
YEONJUN:そう思っても行動にはできないです。そうしないことが、僕にとってはすでにすごく当たり前の習慣と行動になっているので。

もし神様が本当に好きなように生きても良い一日をYEONJUNさんにくれたとしたら? 何をしても次の日に疲れもしないし、YEONJUNさんがしてきた努力に影響を及ぼしもしない、そんな一日を。
YEONJUN:(笑)それを使えるでしょうか。(少し悩んでから)ただたくさん遊ぶんじゃないでしょうか。友だちに会って遊んで、雰囲気の良い場所に行って音楽を聴いて。でも実はそれも、それほど望んではいません。

なぜでしょうか。
YEONJUN:不自由なことすべてを超越するぐらい、僕の意欲と野望はとても大きいので。この仕事は僕にとってプライドであり誇りです。普段は楽天的な性格ですが、プライドは高いんです(笑)。仕事に対してだけは誇りを守りたいです。

そういう面でYEONJUNさんの写真を見ると興味深いです。普段はプレッシャーを感じながらでも完璧であろうと努力する人なのに、写真を撮る瞬間だけは他人の視線がないかのように自然に見えます。
YEONJUN:今日の「Weverse Magazine」の撮影もそうでしたし、僕は写真撮影をする時、いつも本当に楽しいです。プレッシャーは普段感じるもので充分なので、撮影する時ぐらいは自信をもって撮ろうと思っています。とにかく実践ですから。それと、演技する方たちも、単純に台本を読むより、その人そのものになろうとするじゃないですか。僕も写真撮影やステージをする時、表情を上手く作って、姿勢をきれいに取るよりは、与えられた雰囲気に合う人になろうと努力するほうです。
今回のアルバムのコンセプト・フォトのうち「Daydream」も、だからこそ印象的でした。上半身を露出するのが少しはプレッシャーになることもあったでしょうに、リラックスして見えましたし、舌を出す表情も独特でした。
YEONJUN:体が見えるのは大丈夫でした。背景、衣装、ヘア、メイク、すべてがそのムードを出すために演出した、ベストな舞台セットだったと思うんです。おかげで「Daydream」のファンタジックで独特な感じが上手く伝わったと思います。ただ、上着を脱ぐのが、セクシーな感じをアピールするように見えるんじゃないかと心配はしました。全然そういうコンセプトではないと理解しているので。舌を出したのも、パッと見たらわかると思いますが、いたずらっぽい感じです。不思議ながらもいたずらっぽい。そうやってさまざまな感じを伝えようと思いました。

昨年「ACT:LOVESICK」ワールドツアーや音楽フェスティバル、ロラパルーザのステージでも、YEONJUNさんは現場の雰囲気に自然に溶け込んでいるほうでした。特にロラパルーザのフェスの雰囲気の中では、楽しさを隠せずにもいましたし。
YEONJUN:ええ、そうです。僕がこの仕事をなぜしているのかを噛みしめられる、価値ある時間でした。僕はステージがとても好きでこの仕事を始めた人なので。

常に何かもっと吐き出したい部分があるのでしょうか。以前「Weverse Magazine」のインタビューでは、もっと強い歌詞を書きたいと言っていましたし、アメリカで撮影したVLOGでも、ロラパルーザのステージでエネルギーを全部吐き出した感想を話しながら、「これがステージだ」と思ったと言っていましたね。
YEONJUN:日常生活では自分たちが望むことがすべてできるわけじゃないですよね。制限されることも多いですし。でもステージでばかりは、僕がしたいようにすべてできます。ですので、誰が何と言おうと、僕がしたいように全部思い切り見せたいという気持ちが大きいです。音楽も、ステージも、写真撮影も、全部そうです。

それぐらい、さまざまな国でたくさんのMOAの方たちと共感する経験が、YEONJUNさんにとって大きなエネルギーになっているのでしょう。
YEONJUN:何でも経験したいほうなので、その意味は大きかったです。特に都市ごとに公演の雰囲気やエネルギーがちがって不思議でした。日本では、落ち着いて公演そのものをできる限り集中して観てくださる姿が印象的でしたし、東南アジアでは、本当に熱狂的に歌を全部一緒に歌ってくださって、ぴょんぴょん飛び跳ねてくださいました。アメリカでは、僕たちの前で気にせず踊って歌って、自由に一緒に楽しんでくださいましたし。特にロラパルーザの公演に行ってきてからは、「本当にすごいロックスターになりたい」と思ったんです(笑)。ですので、みんながぴょんぴょん飛び跳ねて、ウキウキとして楽しめる歌を少し書いてみたりもしました。
アルバム収録曲の作詞や作曲に絶えず参加していますが、YEONJUNさん個人のことを歌った歌はいつ聴くことができるでしょうか。
YEONJUN:今はまだ準備をもっとしてから、MOAの皆さんに見せたいです。自分で自信がなかったら、準備できていなかったら、絶対見せられない性格なので(笑)。

本当に完璧主義者ですね(笑)。でも職業の特性上、常に決められた時間に何かを見せなければなりませんが、そういう部分はどうやって解決しているのですか。特にYEONJUNさんは、昨年の年末に「2022 MAMA」での「Lonely Boy(The tattoo on my ring finger)」のステージ、「2022 SBS歌謡大祭典」での他の歌手の振り付けカバーステージのように、より多くの役割をこなさなければなりませんでしたよね。
YEONJUN:正直自分で考えると、どのステージも完璧なものはありませんでした。とにかく完璧に近いステージを最大限お見せしようと努力しました。ただ時間が許す限りできるだけたくさん練習しましたね。ステージに立つ直前に「上手くできるかな」と不安な気持ちを持ちたくはなかったので。結果的にはミスなく無事にちゃんと終わりましたし、本当にベストを尽くしましたね(笑)。

YEONJUNさんのようにステージで強い存在感を見せる人が、自分に厳しいことも驚きです。「第4世代のIt Boy」のような修飾語もあり、最近Instagramのフォロワーも1,200万人を突破するほど、常にたくさんの注目を浴びている人じゃないですか。
YEONJUN:自分を愛していますし、自己肯定感も高いほうです。ただそれとは別に、一度も自分に対して満足したことはありません。いつも足りない部分を新たに発見します。おっしゃった「タイトル」もありますし、長い間この仕事のために準備してきた分、もっと上手くやらなきゃいけないという思いは常にあります。
「Tinnitus(Wanna be a rock)」の歌詞が思い出されますね。その曲の作詞に参加してもいますが、普段多くのことを考えて努力する人だからこそ、むしろご自身を「Just a rock」のように感じる瞬間もあるのでしょうか。
YEONJUN:ほとんどのアーティストの方たちが、一度は経験した感情だと思います。僕もいつもアーティストとして大きな夢を持って仕事をしていますが、時々自分の姿を見ると、自分がまだまだ及ばず、何者でもないような無力感を感じたりもします。そんな感情について考えながら歌詞を書きました。

常により高いところを望んでいるのですね。
YEONJUN:誰かのロールモデルになることができて、たくさんの人たちに良い影響を与えられるアーティストになりたいです。昨日友だちに本当に良い話を聞きました。僕の友だちの知り合いが僕のファンだそうです。それでそのMOAの方が、僕がサインしたCDに書かれた「勉強頑張って」という言葉ひと言を見て、校内のいじめも克服して、一生懸命勉強して、自分が望む学科に合格したと言っていました。僕は本当にひと言書いただけなのに。その話を聞いて「自分が誰かの人生を変えられる人になったんだな」、「この仕事をしていてこんなに誇らしいことがあるだろうか」と思いました。

普段から偏見がなく、さまざまな人を尊重するほうでもあります。例えばスカートを着用して、「男性もスカートがはける」というコメントを載せたり、日常生活でも「アシャッチュ(アイスティーにエスプレッソを加えたドリンク)」を初めて見て、自分がそうしたくてコーヒーを加えるレシピなのかと確認した後、「それなら良いね」と答えたりもしていました。
YEONJUN:偏見をなくそうと努力していますね。過去の僕は固定観念に縛られていました。でも世の中はずいぶん変わりつつありますし、また今もまだ変わるべきこともたくさんあります。それで自分の姿をもう一度振り返るようになって、その姿が自分で「ちょっとなあ…」と感じたので、ますます縛られていてはいけないなと思いました。

常に周りをよく見るほうなのですか。以前Weverse LIVEで、セットしていない髪をMOAの方たちに見せるのを恥ずかしがるHUENINGKAIさんと、HUENINGKAIさんの顔を見たがるMOAの両方を理解して、その状況をやんわりと調整していた姿が記憶に残っています。
YEONJUN:努力はしていますが、上手くできているかはわかりません(笑)。まず自分の考えの中でも優先順位を整理するほうです。今すぐこれは解決すべきだと思うことから話して、他の部分は少し待ってから機会があったら話します。またメンバー各自の性格も考慮します。メンバーたちが本当にみんなちがうので(笑)。去年短い時間の中でたくさんのステージを準備しなければならなかった時、上手くやりたいという意欲がいつも大きいので、僕たちはもっとちゃんと合わないといけないし、もっと合わせなければいけないというプレッシャーが大きかったです。でもみんながすべて合わせるまでに時間がかかるのは、仕方ないことじゃないですか。それで本当に急ぎの部分はすぐに話して、他の部分はもう少し時間が経ってから、話しながらお互いに合わせていきました。

メンバーたちと一緒にたくさんの時間を過ごすワールドツアーも、グループにとって良い転換点になったと思います。

YEONJUN:よりたくさんの話ができました。僕たちはもともと良かったですが、もっと良くなった部分があるとしたら、以前よりもっとお互いに率直になれたことです。かえって身近にいて、お互いたくさんの時間を過ごす仲であればあるほど、率直になるのが難しいこともあると思います。僕ももっと率直になろうとずいぶん努力しましたし、メンバーたちも本人が重要だと思ったり必要だと思う部分について、たくさん努力してくれました。それでもっと良くなることができましたね。


昨年『GQ』誌が行ったインタビューで、「僕たちはすごく良くなければいけないので、もっと努力しなければなりません」と話していました。その言葉がメンバーたちとMOAの方たちに対するYEONJUNさんの基本的な態度だとも思いました。

YEONJUN:いくら上手な人でも、もっと上手くできると思うんです。自分で足りないことをわかっていますが、それでももっと上手くできますから。もし本人の考えがある基準で止まったら終わりだと思います。そして僕は常にYEONJUNである以前に、TOMORROW X TOGETHERのYEONJUNです。今ここに来るまで、僕自身の力だけでできたことは一つもありません。事務所が手伝ってくれて、メンバーたちがいて、MOAの皆さんがいたからこそ、みんな一緒に輝けるものなので。


そんな思いがあるから、常に周りに感謝を表現するのでしょうか。一緒に仕事をする関係者の方たちが書いた寄せ書きをWeverseに共有して、『SBS人気歌謡』のMCを一緒に務めるノ・ジョンウィさん、ソ・ボムジュンさんとスタッフの方たちのために、自らおやつを準備してもいました。

YEONJUN:感謝の気持ちを持つことが本当に重要だと思っています。何かを当たり前だと感じることが本当に嫌なんです。その人たちが当たり前になった瞬間から、人としてもアーティストとしてもダメになると思います。僕たちが成長すればするほど、もらうものが増えると思いますが、それが当たり前じゃないことを忘れずにいたいです。アーティストである以前に、良い人にならなければいけないと思っているので。


「Tinnitus(Wanna be a rock)」の歌詞を見ていて、個人的に映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が思い浮かびました。もしYEONJUNさんがあの映画の設定のように、マルチバースの中の何人もの自分のうち一人を選べるとしたら、どんなYEONJUNさんを選ぶでしょうか。

YEONJUN:僕ですか? 僕はただ…、今も幸せなので、僕は(笑)。幸せなYEONJUNであればと思います。僕もみんなもそれが良いことですから(笑)。みんなが幸せで悩みがない、そんな世界の中のYEONJUNだったら嬉しいです。


その幸せなYEONJUNさんも、今の仕事をしているでしょうか。

YEONJUN:はい。

Credit
文. キム・リウン
インタビュー. キム・リウン
ビジュアルディレクター. チョン・ユリム
プロジェクトマネジメント. ユン・ヘイン
ビジュアルクリエイティブチーム. チョン・スジョン、ホ・ジイン、チェ・ユンソク(BIGHIT MUSIC)
写真. パク・ソンベ/Assist. チェ・ミジン、ヤン・ジュンヒョン、ク・ヘギョン
ヘア. キム・スンウォン
メイク. ノ・スルギ
スタイリスト. イ・アラン
セットデザイン. 河二二火
アーティストマネージャーチーム. キム・デヨン、キム・ジス、シン・スンチャン、ユ・ジェギョン、コ・ヨンウク、ク・サンフン