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(全体の曲の中でほんの少しの部分にだけ参加しているので、このような話をするのはとても恥ずかしくもあるのだが)TOMORROW X TOGETHERの曲の歌詞を作る作業は、本当に容易ではなかった。詩と歌詞が全く異なる文法をもっているということはもちろん当然のことで、作詞の経験が浅い私にとって、作詞の作業が容易くないのも当然のことだが、私が感じた難しさは、作詞作業に慣れていないためではなかった。私を苦労させたのは、TOMORROW X TOGETHERというグループが持つユニークさだった。TOMORROW X TOGETHERがこれまでの間に築き上げてきたその特有の文法が、私にとっては容易ではなかったのだ。

世界観という言葉がアイドルシーンで自然に使われるようになって結構な時間が経つ。第1世代アイドルの頃のように、イ・ヒョリはレッド、イ・ジンはブルーというように、ニックネームに近いコンセプト決めから始まり、より積極的で能動的なキャラクター・メイキングを行うことが、今のアイドルの世界観作りと呼べるだろう。一般的にサブカルチャーに強く影響を受けたアイドル特有の世界観は、アイドルをより漫画の主人公のような存在にし、その非現実性がかえって一層深く熱中させる。この戦略は強い没入感を引き出すことにより、アイドルの魅力をより多様にするという長所があるが、一方で、とても深く濃いため、多少アプローチしづらくなるという短所がある。さらにK-POP自体がグローバルに展開し始めて、サブカルチャーの文法を活用する代わりに、より大衆的なアプローチを図る近頃の流れでは、拡張性の面で弱点をもつアイドルの世界観の構成が、ある種のリスクを負っているとも言えるだろう。

 

そうした中で、TOMORROW X TOGETHERが選択したのは、むしろその世界観を強化し推し進めることだった。『The Dream Chapter: STAR』、『The Dream Chapter: MAGIC』、『The Dream Chapter: ETERNITY』と続く『The Dream Chapter』3部作は、TOMORROW X TOGETHERの世界観を確立していくための基礎固めと見ることができるだろうが、「CROWN」が描いた角の生えた少年のイメージからスタートし、「Run Away」をはじめとするアルバム『The Dream Chapter: MAGIC』全体の非日常とエスケープというモチーフ、「Can’t You See Me?」の「セカイ系(世紀末、日本のサブカルチャーにおいて流行した物語の類型で、二人の少年少女の関係が世界の運命と直結する、青少年の時期の敏感な感受性を積極的に反映した、非日常的な世界の物語を指す)」をも連想させる一連の、一貫性ある世界観は、世界観設定に馴染んでいる昨今のアイドルシーンにおいてもなかなか見られない、濃い濃度を持っていた。だが、上で述べたことがTOMORROW X TOGETHERの世界観の全てであれば、作詞作業はそれほど難しくはなかっただろう。密度が高くはあるが、単純ではっきりとした世界でもあるため、その文法にきちんと従って活用できたであろうからだ。私が作業していて難しいと感じたことは、非日常性を特徴にしたTOMORROW X TOGETHERの世界観が、拡張するにつれ現実と積極的にアクセスし始めたというところにあった。


その兆候を最初に見せたのは、『The Dream Chapter』3部作に続いて出た『minisode1: Blue Hour』の「We Lost The Summer」だったのだが、そこではコロナのパンデミック以降の世界がTOMORROW X TOGETHERの非日常的なアプローチととても精巧につながっている。学校は休校になり戻ることができず、皆マスクをつけて歩く世界で、まるで時間の中に閉じ込められたように繰り返される3月1日について語り、季節を、そして君を失ってしまったと語るこの歌は、K-POPでは珍しく、パンデミック以降の世界を盛り込んだ興味深い事例であり、優れた成果でもある(私はこの歌が、TOMORROW X TOGETHERのすべての歌の中で最も美しく繊細な歌詞だと思う)。実際、現実に対する関心は以前の作品でも一部表れてはいた。「Can’t We Just Leave The Monster Alive?」で、無邪気な視線で競争社会に対する問いを投げかけてもいたし、「Drama」でも少しではあるが、現実に対するアレゴリー(寓意)を読み取ることができた。そしてより積極的な現実とのアクセスが表れ始めたのが、『The Chaos Chapter: FREEZE』とリパッケージアルバム『The Chaos Chapter: FIGHT OR ESCAPE』だ。「Frost」の場合、「We Lost The Summer」から続く、止まってしまった世界を描いており、「LO$ER=LO♡ER」もまた『The Chaos Chapter: FREEZE』全体に漂っていた混乱と絶望の雰囲気を引き継ぎ、競争社会に対する憤怒を「セカイ系」的な文法で説き明かしている。

 

これまでのアイドル音楽を思い起こしてみると、世界観が深く関連した曲は、現実はある程度隠されたままで展開されており、現実へのアクセスがより多い曲であれば、非日常的な世界観は後ろに引き下がるというやり方だった。一種のツー・トラック戦略(複線戦略)を主に選んできたと言えるだろう。ところがTOMORROW X TOGETHERの音楽は、現実を積極的に世界観の中に取り入れる方式、すなわち二つの領域を結合することで世界を拡張する方式を選んでいるのだ(『The Chaos Chapter』のアルバムでロック的な色合いが強くなったことも、そのような現実に対する意識を一層目立たせるためだったのだろうと推測できる)。その容易ではない選択の理由が何なのか、そしてそれが正しい選択なのかは、これから後に続く音楽で明らかにし、また証明しなければならないだろうが、まずは現時点でTOMORROW X TOGETHERの音楽作りの作業が大変ユニークなものだという事実には疑いの余地はないだろう。

 

そのような状況では、作詞作業もまた世界観と現実という二つのレイヤーを同時に念頭に置き、それが大衆歌謡として成立するようバランスを取らなければならない。そのような問題を3分ほどの音楽の中で説き明かそうとすると、歌詞の密度が高くなるほかなく、圧縮された言語と隠喩的なイメージを活用せざるを得ないだろう。その結果TOMORROW X TOGETHERは、独自の呼吸と文法を持つグループになった。

情報量をたくさん詰め込んだ長いタイトル、複数の曲で繰り返し登場する、崩れる世界の中の二人のイメージ、ひときわギャップの大きい歌詞と、その歌詞が再現するモンタージュ、そのような要素はすべてTOMORROW X TOGETHERのシグネチャーとなった。高密度の言語とイメージを維持するその戦略を、私は文学における文体のような効果を狙ったものと理解する。アーティストの個性を表す特徴的な語り方をアイドルの音楽で試みる一方、音楽的な面を多様化しながらも、既存のストーリーテリングを維持し強化する、興味深いアプローチだ。そのためTOMORROW X TOGETHERの音楽を追い続け、聴く人たちであれば、以前のアルバムで登場した特定の歌詞が、その後の他の曲で発見されつながる時、TOMORROW X TOGETHERの世界観で展開される物語に気づくことができる。そしてそのような意味を読み取る時、彼らの物語にさらに深く没入することになるのは当然のことだ。

 

TOMORROW X TOGETHERの曲の歌詞を書くためには、そのような脈絡をある程度把握していなければならなかった。以前の曲で使用したモチーフやイメージ、ミュージック・ビデオで活用したイメージを念頭に置いて作業しなければ、TOMORROW X TOGETHERがこれまで構築してきた世界観から外れるリスクがあるからだ。また前述の通り、固有の世界観と現実という二つのレイヤーを念頭に置いた状態で物語を解いていかなければならない分、隠喩的なイメージを中心に置き、その曲とアルバムのキーワードになる単語や文章を軸に作業することが必須だった。そのようなすべてのことを盛り込もうとすると、前に述べたように密度の高い情報を、短い言葉とイメージに溶かし込むこともまた不可欠だった。

 

だからこそ、歌詞を書くことが難しくならざるを得ず。おそらくこれまでTOMORROW X TOGETHERの作業を担当した多くの作詞家たちが、そのような難関の前で頭を抱える時間を過ごしたのではないだろうか。少なくとも私はそうだったと告白する。ただしそのおかげでとても楽しく興味深い作業だったという事実も、併せて伝えたい。私もまた別の分野の物書きを生業とする者として、新たな領域を発見し学んでいくことは、何より大きな喜びだ。今後TOMORROW X TOGETHERがどのようにその世界観を広げ、また成長していくのか、現実とのアクセスをどのように発展させ、また進んでいくのか、それを見守り期待しているのは、おそらく私だけではないだろう。


文. ファン・インチャン(詩人)
写真. BIGHIT MUSIC