FEATURE
J-HOPEとTOMORROW X TOGETHERが立つステージ
ロラパルーザ2022に関する話
2022.07.28
Credit
文. キム・ドホン(ポピュラー音楽評論家)
写真. BIGHIT MUSIC
シカゴが音楽フェスティバルで賑わっている。現地時間7月15日から17日まで、ユニオン・パークで開かれたピッチフォーク・ミュージック・フェスティバル(Pitchfork Music Festival)で熱気を帯びた町は、28日から31日までの4日間、グラント・パークで開催されるロラパルーザ(Lollapalooza)を迎える準備をしている。1991年に初めて開かれて以降成功と浮き沈みを経て、世界的に有名な音楽フェスティバル・ブランドとして蘇ったロラパルーザは、2020年パンデミックによる中止後、昨年体制を整えて、今年華麗な復活を宣言しようとしている。現在最も人気のあるアーティストたちから、ロックファンたちの堅固な支持を受けているレジェンド、韓国ファンたちを驚かせたJ-HOPEとTOMORROW X TOGETHERの出演のニュースまでを伝え、期待を高めているロラパルーザ2022について見てみよう。
ロラパルーザ・フェスティバルの創始者は、ロックバンド、ジェーンズ・アディクション(Jane’s Addiction)のボーカル、ペリー・ファレル(Perry Farrell)だ。1986年から活動を始め、1990年代オルタナティブ・ロックブームを予告したジェーンズ・アディクションは、1990年2枚目のフルアルバム『Ritual De Lo Habitual』を発表し、突然解散を宣言する。ペリー・ファレルは、バンドのさよならコンサートのために巨大な音楽フェスティバルを企画したのだが、ジェーンズ・アディクションをはじめとするロックバンドはもちろん、スージー・アンド・ザ・バンシーズ、ナイン・インチ・ネイルズ、アイス-T、ボディ・カウント、ヘンリー・ロリンズなど、さまざまなジャンルのミュージシャンが大挙して参加する、開かれた形のフェスティバルを考案した。またペリー・ファレルは、北米とカナダを行き来するツアー形式のフェスティバルを提案し、最新の技術とサーカスなど、さまざまな音楽以外の楽しみも加えた。19世紀末のアメリカで「独特で風変わりなもの」を意味していた俗語ロラパルーザが、フェスティバルの名前に選ばれた。
1991年、ニルヴァーナの歴史的な作品『Nevermind』とともにオルタナティブ・ロックの復興を告げたロラパルーザは、最初の公演からとてつもない成功を収めた。ある程度名前の知られたロックバンドから馴染みの薄い新人まで、何の境界や制約もなしに楽しむことのできるフェスティバルという点が、音楽ファンたちの参加を誘導した。2020年「スピン(Spin)」誌は、ロラパルーザ・フェスティバルが1990年代のオルタナティブ・ロックシーンをメインストリームのマーケットに引き上げたきっかけであり、現代のアメリカ音楽フェスティバルの始まりとなったことを強調している。ペリー・ファレルがバンド解散を土台に、若さが享受する新たな音楽博覧会、都心の中で繰り広げられる華やかな公演を花咲かせたのだ。
長く続くフェスティバルなだけに、危機もあった。1990年代初めオルタナティブ・ロックがメインストリームに浮上し、いくつものフェスティバルが雨後の筍のごとく登場すると、ロラパルーザ・フェスティバルはたちまち差別化ができなくなった。ある程度認知度のあるバンドが出演していた原則もまた、1996年大衆的な人気を集めていたメタリカ(Metallica)の出演で混乱した。1998年には適切なヘッドライナーを見つけられず、フェスティバルが中止されてもいる。ロラパルーザが再び安定を取り戻したのは、1996年に企画チームを離れていたペリー・ファレルが復帰した2003年で、30余りの都市を回ってフェスティバルを開催し、投資を引き出した彼の努力のおかげで、今日シカゴを代表する音楽フェスティバルとしてその歴史を繋いできている。
ロラパルーザ・フェスティバルのフォーマットは、全世界のあちこちに輸出された。開かれるたびに大勢の観衆を呼び集めるチリ、ブラジル、アルゼンチンなどの南米の国々でのロラパルーザは、それこそ壮観だ。ドイツ、スウェーデン、フランスなどヨーロッパの国々でもロラパルーザが開かれている。世界的に有名なアーティストたちが参加し活躍するだけでなく、多様な文化の祝祭と結びつき、独特な経験をプレゼントしてくれる。
ロラパルーザが最初に目指したものは、メイン・カルチャーに取って代わるものを提示する若さの祝祭だった。30年以上経った今も、その精神は生きている。今年のフェスティバルのラインナップだけ見ても、ジャンル、人種の区別なく、多彩なアーティストたちの名前が挙がっている。ヒップホップ、メタル、ロック、ジャズ、ソウル、ポップスなど、一つに括ることのできない構成だ。
今年はK-POPが加わった。ソロアルバム『Jack In The Box』を発表し、本格的なソロ活動をスタートしたJ-HOPEが、7月31日フェスティバル4日目のヘッドライナーとして出撃する。韓国のアーティストが北米の音楽フェスティバルに出演することが珍しく、ヘッドライナーとしてステージに上がった前例はもっとないため、皆がびっくりするほどのニュースだった。チャーリー・XCX、ザ・キッド・ラロイに続きバドライト・セルツァー・ステージの最後を飾るJ-HOPEは、デンゼル・カリー、ポロ&パン、グリーン・デイと同じ時間にロラパルーザのフィナーレを飾る。
J-HOPEだけではない。1日前の7月30日にはTOMORROW X TOGETHERがロラパルーザのステージに上がる。K-POPグループ初のロラパルーザへの出演だ。韓国系アーティストとしてはYaejiに続き2,3番目の出演であり、韓国国籍では初めての出演記録だ。現在アメリカの7つの都市を巡り、「TOMORROW X TOGETHER WORLD TOUR」を行っているTOMORROW X TOGETHERは、7月7日に北米ツアーをスタートしたシカゴに再び戻り、巨大な音楽フェスティバルの瞬間を飾る。カスケイド(KASKADE)がヘッドライナーとして控える、ソラナXペリーズ・ステージの後半に登場する。チェルシー・カトラー、ターンスタイルなどのアーティストと同じ時間帯であり、その後にはカイゴ、ウィロウ、J. コールのステージが待っている。
J-HOPEとTOMORROW X TOGETHERのロラパルーザ出演は、K-POPがアメリカの音楽フェスティバルに単純に参加するレベルを超え、ハイライトを飾るほどの人気を持っていることを証明する事例だ。J-HOPEは2010年代末から昨年までビルボード・チャートを飾ったBTSのメンバーであると同時に、2019年シングル「Chicken Noodle Soup」でビルボードHOT100の81位、最近公開したシングル「MORE」でHOT100の82位に入るなど、北米マーケットでソロアーティストとして確実な成果を出している。TOMORROW X TOGETHERもまたアメリカでの活動に拍車をかけている。5月9日に発表した『minisode 2: Thursday’s Child』がビルボード200チャート4位に上がってグループ最高の順位を記録し、10週連続チャートインを記録、着実な人気を証明している。昨年『グッド・モーニング・アメリカ』、『ザ・レイト・レイト・ショー・ウィズ・ジェームズ・コーデン』など、有名トークショーに出演したのに続き、今年はNBCの看板番組『ケリー・クラークソン・ショー』で「Good Boy Gone Bad」を熱唱してもいる。
海外でK-POPは、メイン・カルチャーに取って代わるものとして人気を広げていった。華やかなパフォーマンスと希望を込めたイメージ、ポジティブなメッセージで武装したK-POPは、差別を受けているマイノリティや、周りと馴染めないマニアたちを集める中心的な存在となった。BTSという起爆剤に出合い、ようやく爆発したK-POPは、メインのポップス文化と異なる新たな魅力を通して、新たな流行として定着し、現在全世界的に最も注目を浴び、急速に組織的なファンダムを形成するジャンルとして、その地位を高めている。ロラパルーザのJ-HOPEとTOMORROW X TOGETHERは、アメリカ市場でのK-POPの影響力を証明する良い事例だ。ゲスト出演、特定のクルーとともに行うサプライズ・イベント、昼の時間帯に名前を知ってもらう新人のステージではない。フェスティバルの幕を下ろす重要な時間帯に、K-POPアーティストがその名を挙げている。今後もっと多くのアーティストがコーチェラ・ヴァレー・ミュージック&アーツ・フェスティバルなどのアメリカの主要フェスティバルのヘッドライナーとして登場しても、不思議ではないだろう。ロラパルーザの「オルタナティブ」というモットーに正確に符号しているという点で、その意味はさらに深い。
K-POPに加え今年ロラパルーザは、さまざまなジャンルのアーティストたちの躍動的なステージを準備した。初日のヘッドライナーは、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン4で再び注目を浴びているメタリカだ。率直な女性の話を聞かせてくれるR&Bアーティスト、ジャズミン・サリヴァンと注目の新人リル・ベイビーがステージを飾る。翌日にはZ世代ポップ・パンクブームを巻き起こしたマシン・ガン・ケリーと、着実な人気を誇るポップスター、デュア・リパ、「Heat Waves」のグラス・アニマルズの名前が目に入る。
3日目の7月30日にはカスケイド、カイゴなどDJたちの活躍が期待され、J. コール、ビッグ・ショーンなどのラッパーたちに加えアイドルズ、ターンスタイルなどのパンクバンドたちの熱いステージが予告されている。待望の最終日7月31日には、最近社会問題に声を上げて、今も変わらない影響力を誇示しているバンド、グリーン・デイ、未来のポップスターとして株を上げているザ・キッド・ラロイ、ユーロビジョン・ソング・コンテストが生んだイタリアのロックバンド、マネスキンなど、多彩なアーティストたちがロラパルーザの最後を締めくくる。
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