FEATURE
BLACKPINKがコーチェラのヘッドライナーになる時代
海外フェスティバルにおけるK-POPアーティストの立ち位置
2023.05.17
Credit
文. ソ・ソンドク(ポピュラー音楽評論家)
写真. Getty Images
今年4月15日と22日、BLACKPINKは2週間にわたりコーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル(以下、「コーチェラ」)の土曜日のヘッドライナーとしてステージに立った。K-POPの国際的成功にも慣れてくる頃だが、このニュースはいろんな側面で感慨深い。コーチェラは全世界で、少なくともアメリカでは最も人気のあるフェスティバルだ。コーチェラ自体がブランドになっており、ラインナップが発表もされる前にかなりのチケットが売れる。さらには、コーチェラはその名前をこっそりと借りた各種「―チェラ」フェスティバルと商標権訴訟を起こさなければならないほどだ。2週間にわたり毎週末の3日間、6つのステージでトップクラス・アーティストの公演が披露される。結構なチケット価格とイベント会場内の高い物価にもかかわらず、ほとんどの参加者は快適なフェスティバル経験と公演の完成度の側面で満足感を示す。要するに、コーチェラはフェスティバルを超えてライフスタイルとなった。今年、アメリカで数人のインフルエンサーがコーチェラに訪れている「ふり」をした投稿をあげ、話題となったことは、このフェスティバルの文化的位置を物語っている。
今年の金・土・日曜日のヘッドライナーは、それぞれバッド・バニー、BLACKPINK、フランク・オーシャンだった。2019年、BLACKPINKはK-POPガールズグループとしては初めて、コーチェラ・ステージの中のひとつに上がった。その4年後、このグループはアジア・アーティスト初のヘッドライナーとして戻ってきた。大型音楽フェスティバルのヘッドライナーは、フェスティバルの性格や趣味、アーティストの人気、話題性、そして音楽市場における重みをまんべんなく考慮する。この2回の週末は象徴的だ。
BLACKPINKとコーチェラだけではない。TOMORROW X TOGETHERとNewJeansは今年8月、アメリカ・シカゴで開かれるロラパルーザのステージに立つ。TOMORROW X TOGETHERは土曜日のヘッドライナーのうちの1組だ。NewJeans、TREASURE、ENHYPENは、日本の代表的なフェスティバルのSUMMER SONICに出演する。Red Velvetはスペインのプリマヴェーラ・サウンドに、aespaはアメリカ・ニューヨークのガバナーズ・ボール・ミュージック・フェスティバルのステージに上がる。昨年ロラパルーザでJ-HOPEが韓国アーティストとして初めて、アメリカの大型フェスティバルのメイン・ステージを飾って以降、さらにたくさんのことがさらに多様なフェスティバルで起きている。
K-POPアーティストの立場からしてフェスティバル出演がためになるのは、ほかの普通のアーティストと変わらない。経済的収益はもちろん、さまざまな趣味の積極的な音楽消費者との接点を作れる機会だ。K-POPはアメリカの中でも少数の趣味ではなく、Spotifyの「New Music Friday」やApple Musicの「ニュー・ミュージック・デイリー」といった新曲プレイリストにだんだんより多くの曲が上がり、一般的な音楽消費者にも特に抵抗感なくスキップせずに鑑賞してもらう位置にのぼった。彼らをストリーミングだけでなく、公演市場の潜在的顧客にする経路としてフェスティバルほど良い場所はない。
フェスティバルの立場からはどうだろうか。K-POPの強力でロイヤリティーの高いファン基盤は、フェスティバルへの関心や参加を高め、これはK-POPアーティストのためにより大きなステージ、より長い公演を準備する十分条件になる。それに加え、ライブストリーミングはK-POPのファン基盤をさらに大きい資産にする。コーチェラはすでに2011年からYouTubeで無料ライブストリーミングを提供してきた先駆的なフェスティバルだ。今年は6ステージすべてをライブで観ることができた。ロラパルーザは有料サービスのHuluを通じて一部のステージのライブストリーミング視聴が可能だ。有料か無料かはさておき、アメリカの外側のファンにとってライブストリーミングは貴重な経験であり、フェスティバルの立場からすると自身のグローバルブランド価値を高められる機会だ。韓国で毎週末、アメリカ西部の時間を計算してライブストリーミングを観た人たちに、コーチェラという名前は永遠に忘れられないだろう。
K-POPの主要フェスティバルへの進出は、大型フェスティバルがほとんどロック、または一部ジャンル中心から最大限広いスタイルを受け入れるようになった歴史の一環のように見える。しかし、ジャンル的閉鎖性が取り払われたのもとっくの昔のことだ。最近では大衆的な存在感を拡大し、フェスティバルの持続可能性を高めることがより重要に見える。いまK-POPは、その鍵の中の一番最新バージョンだ。
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