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文. オ・ミンジ、イム・スヨン(映画専門誌『シネ21』記者)、キム・ギョウル(作家)、キム・ユンハ(ポピュラー音楽評論家)
デザイン. チョン・ユリム
写真. MMTG

『文明特急 - MMTG』(YouTubeチャンネル)

オ・ミンジ:「これじゃ『生きてみたい』よりも『買ってでも苦労』(訳注:JTBCで放送されたリアリティー番組のタイトル)でしょ」 というファンの反応は、『文明特急』の5周年特別企画「生きてみたい ‐ TXT編」の内容を簡潔に表している。この動画でTOMORROW X TOGETHERは、SBS『人気歌謡』で披露する3分のステージのために、ドライリハーサル、カメラリハーサル、本放送の事前収録、ジンバル(Ronin)撮影、クレーンカメラ撮影を行い、その度にカメラの位置を頭に入れ、モニタリングをして振り付けを修正する。また、空いた時間には団体スナップ、#今日のTXT、個人スナップの撮影、TikTokチャレンジといったスケジュールが続く。TOMORROW X TOGETHERが「深夜の窓越しに悪魔が甘く囁いた(「Devil by the Window」)」どころか、自分たちが悪魔に憑かれてもおかしくない分刻みのスケジュールを笑顔で消化する一方、『文明特急』歴代エピソードの中で最もローテンションのジェジェは、疲れた顔で「悪魔なんて殺してしまえ」、「もう帰ってもいいですか?」と呟き、退魔と退勤をうわ言のように求め続ける。この違いはどこから来るのだろう? メンバーたちは、それぞれの表現で、しかし同じ対象に言及する。動画につけられたコメントのように「24時間以上起きている状態で完璧なステージをこなせる」理由も、一般大衆が「アイドルのきらびやかな結果だけを見て、その裏にある大変な準備のプロセスに思いを馳せない」としても「徹夜で働き、笑顔を見せる」理由も同じだ。「見れば元気にな」り、「その歓声を聞くと力が湧」き、3分あまりの「その動画を一時間見続けることだってある」MOAがいるからだ。 

『TAR/ター』

イム・スヨン(映画専門誌『シネ21』記者):ベルリン・フィル初の女性指揮者。米ショービジネス界のグランドスラムと呼ばれる「EGOT(エミー賞、グラミー賞、アカデミー賞、トニー賞すべての受賞)」を達成。自叙伝『進み続けるター』の出版が予定されている。指揮者として成しうるほぼすべての名声を手中に収めたリディア・ター(ケイト・ブランシェット)は、夢にまで見たマーラーの交響曲第5番の録音を控えている。キャリアが頂点に達したその瞬間、皮肉にも彼女の凋落が始まる。映画『TAR/ター』は、芸術界にはびこる性差別を克服した女性アーティストの感動的なヒューマンドラマではない。リディア・ターは、長きにわたって女性の弟子たちをグルーミングしてきた性犯罪者であり、現時点でも同じ女性たちの苦痛に背を向け、陥れようともする。映画は性的マイノリティの女性が立場を利用した性犯罪を犯すという居心地の悪い状況に観客を投げ込んだ後、加害者の内面描写へと大胆に舵を切る。芸術、権威、魅惑の自己破壊的な特性、芸術とアーティストの道徳性に関する物議を醸す問いが、奇妙な呼吸で絡み合う。虚構の人物ターを演じたケイト・ブランシェットは、この作品で最も有力なオスカー主演女優賞候補に浮上している。 

『各自図死社会(尊厳ある死を阻む不平等な生の条件を省察する)』 - ソン・ビョンギ

キム・ギョウル(作家):死は誰のもとにもやって来る。多くの人々が自らの死が尊厳あるものであることを期待し、またそうなるものと想像するものの、運命の賽はそれほど寛大ではない。まともな精神のまま手厚い世話をされ、この世を去る理想的な死が自分のもとにやって来るという保障はどこにもない。自分の死は病院にやって来るのか、老人ホームにやって来るのか、自宅にやって来るのか。自分に差し伸べられる手は家族のものなのか、介護者のものなのか、あるいは存在しないのか。こういったスペクトラムが広がり、死へ向かう過程は決して平等でも平坦でもない。医療人類学者である著者は、このような死の諸側面を観察し、韓国社会における死がどのような社会構造とつながっているのかを考察する。結局は誰もが死ぬわけで、死は我々皆を、ひいては社会を意味することになる。「よい死のために必要なのは豊かな暮らし、老後の備え」というもはや聞き飽きたアプローチではなく、我々すべての死を尊厳あるものにするために何が必要かを考えさせる一冊だ。 

「Orpheus」– Gong Joong Geu Neul

キム・ユンハ(ポピュラー音楽評論家):世の中は刺激に溢れている。もっと早く、もっと高く、もっと華やかに。似たり寄ったりが並ぶ中で、何とか目立とうする奮闘が涙ぐましく思える。1.5倍速でドラマを、1分間の試聴で音楽を「チェック」する世の中を横目に、我関せずとマイペースで歩く後ろ姿が見える。とぼとぼとも、ゆらゆらとも形容できるその動きをじっと見つめる。そんな生き方でこのご時世やっていけるのか、といういらぬ心配はまもなく、自分もああやって歩いてみたいという奇妙な欲望に変わる。「大丈夫、大丈夫。進んでいるから」

「Orpheus」は2016年の結成以降、コンスタントにリリースを続けるバンドGong Joong Geu Neulの2nd EPのタイトル曲だ。ドリームポップ、シューゲイザーサウンドをベースに、夢のようなストーリーとメロディーを生み出す彼らは、この新曲で、バンド名から音楽に至るまで自分たちに大きなインスピレーションとなったバンドFishmansを召還する。ドリームポップ、ダブ、レゲエ、アンビエントが自在に混ざりあった独自のスタイルで、その後デビューした韓日インディーズバンドに計り知れない影響を及ぼしたFishmans。彼ら固有のリズムがGong Joong Geu Neulの透明でか弱い羽根に宿り、ふわふわと浮かぶ。後方から聞こえる小さな鼻歌が、どこからか吹いてくる爽やかな風が、聴く者を前へ前へと進ませる。刺激の代わりに忍び込ませたロマン。穏やかなぬくもりに包まれる。