
MINJUのピンクキャビネット(KBS Kpop)
イェ・シヨン:『EUNCHAEのスター日記』の後続番組である単独ウェブバラエティ『MINJUのピンクキャビネット』は「ワッツ・イン・マイ・バッグ(What’s in my bag)」の形式を取るコンテンツだ。ゲストはカバンの中に持ち歩く愛用品、名付けて「スーパー・リアルテム(リアル・アイテム)」を紹介し、そのうちの一つを次のゲストのために置いていく。この番組で毎週アーティストのステージの裏の「スーパー・リアル」な素顔を掘り下げるのは、テレビ局KBSの音楽番組『ミュージックバンク』で第39代頭取を務めるILLITのMINJU。ライブパフォーマンスをこなすためのヘルスケアグッズから特別な意味が込められたアイテムまで、毎回MINJUは愛用品について細やかな質問を投げかけてゲストのリアルな姿に迫る。MBTIでは100%内向型(I型)と普段自ら明かしてきたMINJUだが、だからこそ人見知りするゲストが本当の姿を楽にさらけ出せるようにリードする。例えば、IVEのGAEULが『ミュージックバンク』の収録中に勇気を出してMINJUに声をかけた話を持ち出すと、MINJUは「(同じ)ISTJですよね」と喜び、GAEULに声をかけられてドキドキしたと打ち明け、場を和ませた。同じ事務所の後輩であるCORTISのMARTINがバッグの中から曲作りのためのアイテムを次から次へと取り出すのを見ると、「何歳の時から作曲を始めたんですか」と訊いてプロデュースの話ができるように話題を振ったりもした。そして、「9歳にして歌詞を書くという概念が分かっていたなんて本当にすごいですね」と誉めて、緊張をほぐそうとする心遣いも見せた。
いつもゲストに光を当てようとするMINJUだが、時には先輩アーティストから優しさを受け取ることもある。シーンとした場の雰囲気を一転させるため急に拍手したり、「大好き!」といきなり告白したりするMINJUを見てYENAは、MINJUだけの魅力だから、今の感じを大事にして変わらないでほしいと温かい言葉を投げかけた。そして『ミュージックバンク』の前任のMCで『MINJUのピンクキャビネット』の第1話にゲストとして出演したLE SSERAFIMのHONG EUNCHAEは、初収録がどれだけ緊張するものなのかをよく分かっていると話してMINJUに共感し、MCは何ももらえないのではと思ってプレゼントを用意してきたという細かい気遣いを見せた。後日、MINJUもまた『ミュージックバンク』での初インタビューを終えたCORTISに対し「私もまったく同じでした」と共感を示していたように、先輩ゲストからの優しさはMINJUを経て後輩ゲストに受け継がれている。もしかすると『MINJUのピンクキャビネット』はスターの愛用品の紹介にとどまらず、MINJUがゲストの目線を借りて本当の「私」の姿に成長していく過程を描いているのかもしれない。

『LUCHADOR』 - RAKUNELAMA
キム・ヒョジン(ポピュラー音楽コラムニスト):聞き慣れない「ルチャドール(luchador)」という言葉は、スペイン語で「自由な戦い」という意味のプロレスリング「ルチャ・リブレ(lucha libre)」を戦う選手のことを指す。ルチャドールの一番の特徴は覆面をかぶるという点にある。覆面は選手自身のアイデンティティーであると同時に、登場するだけでその場を圧倒するオーラを出すための道具でもある。派手なコスチュームやパフォーマンスで自分の存在感を際立たせるのが試合の大きな特徴であるためだ。
ラクネラマ(RAKUNELAMA)の『LUCHADOR』は、ルチャドールという名にふさわしく強烈な存在感を放つ。彼らにとっては音楽が覆面になる。機敏でダイナミックな技を駆使して戦うルチャドールたちのように、彼らの自由な雰囲気の音楽もまたリスナーの興味をそそる。その自由のルーツは南米の音楽にある。タイトルの通りにカッコいいパーカッションの音で耳を惹きつける「Cool Perc」から、思わずサンバを踊りたくなる「YARR」、“アッサラビア コロンビア”というB級感覚の歌詞が登場する「B」まで。トラックが進むにつれて我々は自由なフェスティバルのど真ん中に導かれていく。ルチャドールで最大の侮辱は覆面を剥がされることだ。しかし、ラクネラマの音楽は剥がされるほどさらに色々な顔を現す覆面のようだ。隠すよりは表に出し、閉じ込めるよりは解き放ち表現する力がそこにある。
『手紙の書き方』 - ムン・ジュヒ
キム・ボクスン(作家):今回紹介する『手紙の書き方』は、それ自体が忘れ去られていく或る芸術形式に送るラブレターのようである。まず、著者がこのテーマの権威者であることは間違いない。ソウルでこぢんまりとした「グルウォル」というショップを手掛ける著者は、ただの文房具店を超えて「手紙」という文化を体験できる特別な空間を作り上げた。一見どこにでもあるような可愛らしい文房具店に見えるかもしれないが、筆記具や紙を眺めているうちにショップを訪れた人々は紙の上に文字を綴るという瞑想にも似たような行為に自然と引き込まれていく。希望する人は匿名で手紙を出して、それを受け取る誰かの一日を明るくすることもできる。
同書は著者自身の経験に基づいた自伝的物語を伝えつつ、タイトルが示しているように手紙の書き方の奥義を惜しみなく伝授する。特にインスピレーションをいかにして紙に書き出し、届ければいいかについての現実的な助言が印象的だ。18の短い章で構成された同書は、実用的な内容の章もあれば心を見つめさせてくれるほど思索的な章もある。ページをめくっていると、目まぐるしく変わる世の中で人と人の関係を改めて思い起こすようになる。また長く続いてきた手紙という芸術は、つまりは自分を探しつつ、それを受け取る人の心を推し量って理解する過程であることに気づくようになる。
同書には手紙を書くという文化のぬくもりが余すところなく盛り込まれている。ゆっくりと、心を躍らせながら封を切り、一行ずつ手紙を読み進め、美しい言葉をプレゼントのように受け入れるその全ての瞬間のように。この丁寧な手紙の書き方の手引きを読み終えたら、今月中に直接誰かに手紙を送ってみてはいかがだろうか。ある日偶然、郵便受けで請求書ではなく心弾む手紙を見つけることになるその人のために。
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