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カン・イルグォン(音楽評論家)
写真Melon

毎年、新たなラッパーたちが登場している。ストリーミングサービスやソーシャルメディアの存在は音楽を発表するハードルを大きく下げ、その結果、ヒップホップシーンには以前よりもはるかに速いスピードで新しい名前が溢れるようになった。しかし、名前が増える速度と、意味のある存在が現れる速度は、必ずしも一致するわけではない。一瞬の話題と共に消えていくアーティストがいるかと思えば、静かに自分の音楽世界を拡張し、やがてひとつのシーンを変える力を持つようになるアーティストもいる。

だからこそ、「ライジング・ラッパー」というフレーズは、単に新人を指すものではない。重要なのはデビュー時期ではなく、「今この瞬間、上昇軌道にあるか」どうかだ。これから紹介する6人は、まさにそんな地点に立っている。登場の瞬間から注目を集め、デビューアルバムが期待されるルーキー、まだ広く知られてはいないが、最近になって音楽的な存在感を大きくしている、いわば「新人」を卒業して間もないアーティストまでが含まれている。

ヒップホップシーンは、常に予想以上のスピードで変化してきた。そして、新たな流れは多くの場合、静かな場所から始まる。このリストはそうした動きを捉えようとする試みであると同時に、ひとつの記録でもある。

ヴァンタ01(VANTA01 aka cwar)
実験的なサウンドと深いリリックで注目を集めるラッパー兼プロデューサー、そしてビジュアルディレクター
誰もが同じような方向を向いているとき、別の方向を見つめる者がいる。ヴァンタ01(VANTA01)はそんなアーティストだ。彼はヒップホップのメインストリーム、すなわちトラップやドリル、レイジに代表されるトレンディーなプロダクション、メロディー中心のシンギングラップ、あるいは既存ジャンルの文法を洗練させる手法などに、たいして興味がないように見える。その代わりに彼の音楽世界を満たしているのは、大胆なサウンドの実験、独創的なコンセプト、そして、自分自身や周囲を省察するリリックである。

彼の作品には、一般的なヒップホップの文法から一歩はみ出た楽曲が少なくない。電子音楽や実験音楽にはるかに近いプロダクションを、ラップというボーカル形式で形にしているのだ。2026年1月にリリースされた『OGI-PATTERN』は、その傾向が最大化されたアルバムだ。プロダクションだけ見れば、ポスト・インダストリアルやアヴァンギャルド・ヒップホップの文脈で論じてもまったく違和感はない。かすかにヒップホップの要素が残る曲でさえ、ドラムの配列は変則的で、サウンドは荒々しく歪んでいる。ラップも同じだ。彼のラップは曲の前衛的なムードと完全に同化し、作品全体の緊張感を高めている。

彼にはもうひとつの才能がある。ビジュアルディレクションだ。2曲が収録されたシングル『HYBRIDBOY』(2025)では、ティーザー映像からミュージックビデオ、ドキュメンタリーに至るまで、あらゆるビジュアルコンテンツの統括を担った。音楽と映像をひとつの世界観として結びつけようという姿勢がうかがえる。まさに多才なアーティストだ。

2021年9月、「cwar」という名義でデビューした彼は、「VANTA01」へと名を変えた現在もなお異質な存在だ。しかし、その異質さこそが彼に注目すべき理由だ。彼の音楽は、今の韓国ヒップホップ、より正確にはラップミュージックがどれほど自由に解体され、拡張されうるかを示す重要なケースだからだ。彼の存在は、私たちが『SHOW ME THE MONEY』の外側にも目を向けるべき理由を教えてくれる。

おすすめ曲:「Sunkane」

イダ(2DaYellow)
イーストコースト・ブーンバップとオルタナティブ・ヒップホップの狭間でタイトなフロウを操るラッパー
韓国のヒップホップシーンにおいて、女性ラッパーの存在感はかなりの間希薄だった。完全に消えたことはないが、シーン全体の流れの中で目立つ存在は少なかった。しかし、ここ数年でシーンのムードは少しずつ変わり始めている。新たな顔ぶれが登場し、それぞれのキャラクターとスタイルで自身の領域を広げている。その中でもひときわ目立つのがイダ(2DaYellow)だ。

まず、名前について触れておこう。「2DaYellow」は韓国語で読むときと英語で読むときで意味が異なる。彼女は2024年、YouTubeチャンネル『JAMMIT』のインタビューでこの点について説明している。韓国語ではシンプルに「イダ」と呼べばよい。一方、「2DaYellow」というフルネームは、「アジア人」というアイデンティティを込めたもので、海外で使うことを想定した名前である。

興味深いのは名前だけではない。ラップスタイル、プロダクションの方向性、リリックに見られるアティチュードに至るまで、同時代の女性ラッパーとは明らかに異なる質感を持っている。2023年のデビューEP『Predator-Prey Role Reversal』で、彼女は既にその可能性を証明している。ビートに荒々しく突き刺さって相手を抑えつけるラップ、オーソドックスなライミングでセルフブーストと内面の描写を行き来するリリック。そのラップとスタンスは、どこか1990年代アメリカの女性ラッパーを想起させる。

まだ発表された作品は多くないが、EP以降もコンスタントにシングルをリリースし、確かな実力を示しつづけている。断然フルアルバムが期待されるルーキーだ。ラッパーとしての準備はすでに整っているように見える彼女に今必要なのは、そのエネルギーを余すところなく受け止められるビートだ。実力あるプロデューサーたちが舞台を用意してくれさえすれば、私たちは本当に久しぶりに、ラップそのものの力で勝負する女性ラッパーのアルバムに出会えるかもしれない。

おすすめ曲:「room (Feat. Chaboom)」

マーヴ(Marv)
ヒップホップ、アフロビーツ、R&Bを行き来するラッパー兼シンガーソングライター
ラップと歌唱の二刀流であるマーヴ(Marv)は、トレンドの最前線でキャリアを築くアーティストだ。2022年にデビューEP『RIDAH』をリリースした当時は、実力に比べて個性がやや不足しているようにも見えた。アルバムに詰まったトラップビートとシンギングラップは、すでに韓国ヒップホップシーンでも飽和状態だったからだ。しかし、ほどなく方向転換が行われる。マーヴはシングル『HOLLOW / MAMA』、そして2nd EP『Souly』を経て、アフロビーツを自身の音楽の中心に引き寄せた。さらにR&Bの要素まで取り込んだ。

この選択によって、彼のアイデンティティはより鮮明になった。マーヴの音楽でまず聴く者を引きつけるのは、リズムの質感だ。リズミカルに跳ねるドラムと、楽曲全体をやわらかく揺らすベース。その中でマーヴのラップとボーカルは、リズムの隙間をなめらかに滑り抜ける。時にメロディーと一体になり、時に語らうように軽やかに流れる。彼のパフォーマンスは、アフロビーツ特有のしなやかなリズムのストラクチャーと自然に噛み合う。そうしてドラムとパーカッション、メロディーとボーカルトーンが一体となって生み出すサウンドは、ヒップホップとアフロビーツ、そしてR&Bの狭間で踊る。

ストリーミングサービスの普及によって音楽の国境はほぼ無くなり、ジャンルはこれまで以上にスピーディーに混ざり合い、移動している。アフロビーツも、ここ数年で世界のポップミュージックにおけるひとつの柱として台頭した。そうした流れの中でマーヴの音楽は、韓国ヒップホップがどのように拡張しうるかを物語っている。伝統的なヒップホップでは、ラッパーはしばしば「ビートを支配する」存在として描かれてきた。しかしアフロビーツを基盤とする音楽では、その関係は少々異なる。ラッパーはリズムの上に立つのではなく、「リズムと共に揺れる」存在となる。マーヴのフロウは、まさにその点で興味深いバランスを生み出している。マーヴは先日、ヒップホップサバイバル番組『SHOW ME THE MONEY 12』に出演し、大衆的な注目度も高めた。後は、これまで積み上げてきた感覚を余すことなく収めた初のフルアルバムを待つばかりだ。

おすすめ曲:『Star』

オーシャン・オー(Ocean Oh)
ヒップホップとインディーロック、オルタナティブを横断し、深い感情を描き出すラッパー兼シンガーソングライター
2020年代になってからヒップホップに起きた最も顕著な変化の一つは、ロックとの距離が目に見えて近づいたことだ。一部のヒップホップ・プロデューサーはロックのエネルギーやギターサウンドを積極的に取り入れ始め、ラッパーたちもロックボーカルに近い感情表現を取り入れるようになった。エモ(Emo)の影響を受けたエモラップや、ポップパンクとヒップホップの融合によって生まれた楽曲がその代表例である。こうした音楽は若い世代をすぐに惹きつけ、新たな感覚のヒップホップを生み出した。

その流れは韓国ヒップホップシーンにも浸透した。アメリカのようにエモラッパーが登場し、ポップパンクを積極的に取り入れた楽曲が次々とリリースされた。しかし一方で、この流れは別の試みにもつながった。韓国インディーロックとヒップホップの狭間に新たな音楽が生まれ始めたのだ。ラッパー兼シンガーソングライターのオーシャン・オー(Ocean Oh)の作品はまさにそれに当たる。彼は両ジャンルの感覚を自然に交差させ、異質でありながらどこか親しみのある風景を描き出す。

彼の音楽の中心にあるのはギターサウンドだ。穏やかに流れるアコースティックのギターリフと、時折そこに重なるピアノ、余白を活かしたコード進行のコンビネーションが、楽曲全体に落ち着いた空気感を与える。しかし、力強いドラムや電子音が入り込むことによって、曲のムードはまれに別の方向へと揺らぐ。また、彼の音楽には興味深いコントラストが存在する。サウンドはどちらかというと叙情的に流れる一方で、そこに込められた感情は決して軽くない。オーシャン・オーはやや淡々としたトーンで自己嫌悪や厭世、憂鬱を歌い、時には予想外の瞬間に、素朴かつ文学的な言葉で愛を語る。

彼はこれまでに2枚のアルバムをリリースしている。今年発表された『LIL APPA』(2026)は、彼の音楽世界が比較的はっきり打ち出されている作品だ。ラップ、ヒップホップの作詞法とボーカル表現、インディロックのギターサウンド、フォーク的な叙情性、オルタナティブの実験性が、衝突することなくひとつのムードになっている。彼の音楽が特別に響く理由は、このバランス感覚にあるのだろう。オーシャン・オーはまだ広く知られた存在ではない。しかし、現在の方向性を維持していけば、近い将来「オーシャン・オー」は韓国ヒップホップの多様性を語る上で欠かせない名前になるかもしれない。

おすすめ曲:「can’t be helped」

ジェフリー・ホワイト(Jeffrey White)
多様なサブジャンルを横断するラッパー兼プロデューサー、ヒップホップクルー「OKASHII」の創立者
ジェフリー・ホワイト(Jeffrey White)の出航はかなり大胆だった。今のように、シングルで徐々に存在感を高めていくのが一般的な時代において、彼はわずか1枚シングルをリリースし、すぐにフルアルバムでキャリアをスタートさせた。その作品が『SAINT』(2023)だ。彼はこのアルバムで全曲のプロデュースを手がけ、マインフィールド(Mine Field)という強力なレーベルのサポートを受けながらも、フィーチャリングもせず、自らの声だけで物語を構築した。

彼の問題意識は意外なところから始まる。彼はマイケル・ジャクソンやイェ(カニエ・ウェスト)を見て、「音楽の神のような存在」だと感じたと語る。そこに、「トロイの木馬」のエピソードが重なる。木馬が実際に発見されるまで、それは証拠のない神話にすぎなかった。このエピソードから彼はひとつの問いを立てる。「もし、自分の音楽が記録されず口承で広まったとしたら、それは伝説になるだろうか?」

当時、この問いを単なる想像とは思えなかった。音楽がどのように記憶されるのかという本質的な問いと感じられたのだ。だからこそ彼の音楽は、攻撃的なセルフボーストよりも、自分がどこに立っているかを探るプロセスに近いものとなっている。サウンドもまた、その探求の延長線上にある。彼はヒップホップという枠の中で多様なスタイルを試みながらも、その伝統的な文法に自らを閉じ込めることはしない。レイジやトラップといった同時代のサブジャンルを渉猟しつつ、電子音楽との融合によるジャンル的な実験も試みている。スタイルに合わせてフロウやボーカルトーンを調整する能力も安定している。これらすべての試みは、ひとつの方向を向いている。ヒップホップというジャンルの中で、自分だけのポジションを見つけようとする試みだ。

ただし、残念な点もあった。『SAINT』以降、彼はしばらく目立った活動を見せなかった。TVINGのヒップホップサバイバル番組『RAP:PUBLIC』に出演してリリースされた団体曲を除けば、リリースすらなかった。しかし幸い(?)にも、最近『SHOW ME THE MONEY 12』を通じて再び姿を現した。一般的に、サバイバル番組を中心にキャリアを築くアーティストは批判されやすいが、彼の場合は少し事情が異なる。すでにデビューと同時に、フルアルバムによって自身の可能性を証明しているからだ。

結局重要なのは、その可能性が今なお有効であるかどうかだ。そして現在の彼を見る限り、その答えは依然としてやや肯定的だ。ジェフリー・ホワイトが今一度自身の世界観を整え、アーティストとしてさらに進化したフェーズを示す作品をリリースしてくれることを期待したい。

おすすめ曲:『MELTDOWN』

エフィー(Effie)
ラップとソングライティング、ミキシングを自ら手がけ、SoundCloud世代の感性をハイパーポップで聴かせるアーティスト
音楽を積極的に聴くリスナーにとって、エフィー(Effie)はすでに広く知られた存在だ。彼女の音楽はハイパーポップに魅了された人々を一瞬で虜にする。興味深いのは、韓国よりも海外メディアが先に彼女に注目したという事実だ。イギリスの『DAZED』、アメリカの『Future Gold Media』などがエフィーを紹介し、世界的に影響力のある音楽メディア『Pitchfork』は、彼女のEP『Pullup to Busan 4 More Hyper Summer It’s Gonna Be a Fuckin Movie』(2025)に7.6という高評価をつけた。いつの間にかデビューから6年が経ち、その間シングル16作、EP3作をリリースしている。

そのため、彼女をこのリストに含めることに違和感を覚える人もいるかもしれない。しかし、まだフルアルバムをリリースしていない点、多くの人々には依然として馴染みの薄い存在である点、そして認知度が最近になって上昇傾向にある点を考慮すれば、話は変わる。何より現在のエフィーは、キャリアを次のフェーズに移す直前のアーティストのように見える。

彼女の音楽的な出発点は、従来の音楽産業ではなく、ネットコミュニティだった。とりわけ、SoundCloudを中心としたオンライン音楽文化が重要な影響を与えた。当時のオンラインシーンでは、ジャンルの規則に縛られない音楽が次々と生まれ、多くのアーティストが自宅で制作し、楽曲はソーシャルサイトを通じて素早く拡散された。エフィーもまた、その環境の中でキャリアをスタートさせた。したがって、彼女の作品は、「SoundCloud世代」が共有していた感情やアイデンティティが詰まったサウンドと見ることもできる。

エフィーの音楽を語るうえで欠かせないキーワードが「ハイパーポップ」だ。ハイパーポップは、変則的な構造と極端にデジタル化されたサウンドが特徴だ。ボーカルにはエフェクトがかかり、曲の構造は急に転換し、一曲の中でジャンルが自在に変化する。単なるサブジャンルというよりも、インターネット世代が生み出した文化現象と捉えるほうが正確かもしれない。エフィーの音楽は、このハイパーポップの枠組みの中で、ヒップホップ、とりわけドリルの要素を取り入れ、非線形的なラップを重ねることによって完成する。

彼女の極端にデフォルメされたサウンドの奥には、憂鬱と冷笑が流れている。学生時代の複雑な経験が背景にあるのだろう。エフィーは学校での孤立やいじめを経験している。苦しかったその時間は逆説的に、彼女をいっそう音楽に没入させた。インターネットで出会った音楽は、現実では説明しにくい感情を表現できる言語となり、それが彼女だけのクリエーションへとつながっていった。

エフィーは自身のジャンルを「アンダーグラウンド・K-POP」と定義する。彼女の「アンダーグラウンド・K-POP」は、今、音楽が、世界中の小さな画面の中で同時に生まれて共有されるネットワーク文化になったことを示している。今この瞬間、音楽ファンが彼女に最も望んでいるものは、おそらくたったひとつ。初のフルアルバムだ!

おすすめ曲:『MAKGEOLLI BANGER』

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