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[NoW]コンシャス・ラップとトラップ・ミュージックの境界で − Polo G
2Pacを崇拝する新鋭ラッパーの登場
2021.07.16
ラッパー2Pacは、ヒップホップ史上最も崇拝されている存在だ。1996年何者かの銃撃により死亡してから25年という年月が流れ、ヒップホップ界のトレンドが何度も変わったにもかかわらず、その存在感が色褪せることはなかった。生前に彼が見せたアーティストとしてのカリスマ性と、社会運動家としての躊躇のない行動、そして輝かしい音楽キャリアのおかげだろう。興味深いのは、2Pacから影響を受けていないか、彼の音楽をまともに聴いたことのない世代のラッパーたちがシーンを埋め尽くしている状況でも、絶えず話題にのぼっているという点だ。周期的に現れる「第二の2Pac」宣言のためだ。
スターになった新人ラッパーたちの一部は、ある瞬間自分を2Pacに例えて、大衆とメディアの支持を訴える。同世代の他のラッパーたちとのレベルの差を誇示したり、本人の承認欲求を満たすためだ。だが、残念ながら2Pacの象徴性を利用した彼らの結末は良くはない。一度に注目を集めるにはこれ以上のものはないが、キャリアが下り坂になるのも一瞬だ。ところが、ここで稀に2Pacとの比較を敢行しても、生き残った(?)ラッパーがいる。それがまさにPolo Gだ。
彼は去る3月、まるで2Pacのようなデニムの衣装にバンダナを巻いた写真をInstagramにアップして、次のような文章をつけた。「彼らが言うには、俺が2Pacの生まれ変わりだって。絶対に弱いバース(verse)を吐かないから」(原文:They say I’m ‘Pac rebirthed. Never put out a weak verse)。人気上昇中のスターの堂々たる発言に、メディアやヒップホップ・コミュニティは改めて大騒ぎになった。ところがその後の状況は、それまでとはちがった。当然、「お前はそんなレベルじゃないだろう! 畏れ多くも2Pacと比べるなんて!」という類の批判攻撃が続いたが、Polo Gを支持する意見もまた少なくなかった。それを的確に言うなら、「2Pacとの比較は無理だと思うが、Polo Gなら大目に見られる」だ。
そのように好意的な反応が出てきたのは、Polo Gがそれまでに見せた行動のおかげだ。2Pacに向けた心からの尊敬を示してきており、人生と音楽の面で大きく影響を受けたという事実を明らかにしてきた。単に口先ばかりではない。昨年は2Pacの代表曲の一つ「Changes」をサンプリングし、リクリエイトしたシングル「Wishing For A Hero」を通して、伝説に対する愛情を表した。この曲は、Polo Gが音楽的に2Pacの直接的な影響下にいるということを明確に示す例でもある。
Polo Gは、昨今のトラップ・ミュージック、あるいはドリル・ミュージックのラッパーたちとは明らかに異なるラップを駆使する。大多数がお金、女性遍歴、暴力、犯罪などを語ることに傾倒していた時、彼は現在のアメリカ社会とブラック・コミュニティで起きている不当な事件を取り上げ、憤り、内面に潜む暗い感情を吐露することに集中する。2Pacがコンシャス・ラップとギャングスタ・ラップの境界に立っていたように、Polo Gは、コンシャス・ラップとトラップ・ミュージックの境界でキャリアを積み続けている。
最近発表したニューアルバム『Hall of Fame』には、そのようなPolo Gの強みが余すところなく込められている。人種差別の下、公権力が行う無慈悲な暴力に対して激昂したムードで批判し、犯罪に晒された環境の中で死んでいく隣人たちを見て感じた虚しさと怖さを、感情豊かな歌詞に込めた。楽曲制作のスピードが速いという点も2Pacと似ている。Polo Gは、まだ新人に分類されるが、2年の間にフルアルバムをなんと3枚も立て続けに発表した。いろいろな面でPolo Gの存在感は日に日に高まってきている。彼が2Pacとの比較という毒の入った聖杯を飲んでも、しっかり生き残ることができた理由だ。
スターになった新人ラッパーたちの一部は、ある瞬間自分を2Pacに例えて、大衆とメディアの支持を訴える。同世代の他のラッパーたちとのレベルの差を誇示したり、本人の承認欲求を満たすためだ。だが、残念ながら2Pacの象徴性を利用した彼らの結末は良くはない。一度に注目を集めるにはこれ以上のものはないが、キャリアが下り坂になるのも一瞬だ。ところが、ここで稀に2Pacとの比較を敢行しても、生き残った(?)ラッパーがいる。それがまさにPolo Gだ。
彼は去る3月、まるで2Pacのようなデニムの衣装にバンダナを巻いた写真をInstagramにアップして、次のような文章をつけた。「彼らが言うには、俺が2Pacの生まれ変わりだって。絶対に弱いバース(verse)を吐かないから」(原文:They say I’m ‘Pac rebirthed. Never put out a weak verse)。人気上昇中のスターの堂々たる発言に、メディアやヒップホップ・コミュニティは改めて大騒ぎになった。ところがその後の状況は、それまでとはちがった。当然、「お前はそんなレベルじゃないだろう! 畏れ多くも2Pacと比べるなんて!」という類の批判攻撃が続いたが、Polo Gを支持する意見もまた少なくなかった。それを的確に言うなら、「2Pacとの比較は無理だと思うが、Polo Gなら大目に見られる」だ。
そのように好意的な反応が出てきたのは、Polo Gがそれまでに見せた行動のおかげだ。2Pacに向けた心からの尊敬を示してきており、人生と音楽の面で大きく影響を受けたという事実を明らかにしてきた。単に口先ばかりではない。昨年は2Pacの代表曲の一つ「Changes」をサンプリングし、リクリエイトしたシングル「Wishing For A Hero」を通して、伝説に対する愛情を表した。この曲は、Polo Gが音楽的に2Pacの直接的な影響下にいるということを明確に示す例でもある。
Polo Gは、昨今のトラップ・ミュージック、あるいはドリル・ミュージックのラッパーたちとは明らかに異なるラップを駆使する。大多数がお金、女性遍歴、暴力、犯罪などを語ることに傾倒していた時、彼は現在のアメリカ社会とブラック・コミュニティで起きている不当な事件を取り上げ、憤り、内面に潜む暗い感情を吐露することに集中する。2Pacがコンシャス・ラップとギャングスタ・ラップの境界に立っていたように、Polo Gは、コンシャス・ラップとトラップ・ミュージックの境界でキャリアを積み続けている。
最近発表したニューアルバム『Hall of Fame』には、そのようなPolo Gの強みが余すところなく込められている。人種差別の下、公権力が行う無慈悲な暴力に対して激昂したムードで批判し、犯罪に晒された環境の中で死んでいく隣人たちを見て感じた虚しさと怖さを、感情豊かな歌詞に込めた。楽曲制作のスピードが速いという点も2Pacと似ている。Polo Gは、まだ新人に分類されるが、2年の間にフルアルバムをなんと3枚も立て続けに発表した。いろいろな面でPolo Gの存在感は日に日に高まってきている。彼が2Pacとの比較という毒の入った聖杯を飲んでも、しっかり生き残ることができた理由だ。
トリビア
バンダナ
Polo GがInstagramにアップしたデニムの衣装とバンダナのファッションは、2Pacを代表するイメージだった。特に前で結んだバンダナは、多くの後輩ラッパーたちがまねをしており、ファッション界でも絶えず話題になった。
バンダナ
Polo GがInstagramにアップしたデニムの衣装とバンダナのファッションは、2Pacを代表するイメージだった。特に前で結んだバンダナは、多くの後輩ラッパーたちがまねをしており、ファッション界でも絶えず話題になった。
文. カン・イルグォン(ポピュラー音楽評論家)
デザイン. チョン・ユリム
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無断転載及び再配布禁止
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