現在広く知られているように、「ビルボード200」のアルバムセールス・ランキングは、アルバムの消費量の測定をもとにしている。フィジカルアルバム1枚、ダウンロード10曲、有料ストリーミング1,250回、広告基盤の無料ストリーミング3,750回が同等とみなされる。これは、各消費量により発生するレコード会社の売上を基準に設定されたものだ。この統計は、毎週チャートを作る時にのみ使われるのではなく、長期にわたってさまざまな分析の対象となる。

ここ数年間、アルバム消費量において一貫した変化が一つあるとしたら、いわゆるカタログ音楽の割合が増加していることだ。通常、発売以降18か月が経過した音楽をカタログに分類する。18か月が新譜と旧譜を分ける基準だと言ってもよい。2021年上半期、カタログ音楽の消費割合は66.4%で、市場全体の2/3近くを占める。2018年上半期、この数字は60.8%だった。

もちろんストリーミングのおかげで、新譜と旧譜ともに消費量は増加中である。2021年上半期のアメリカのアルバム消費量全体は4億3千万枚で、昨年の同じ期間より14%増加した。増加率を見てみると、旧譜は前年比18%、新譜は6%上昇した。実際18か月というルールのため、音楽市場において新譜の割合が減少するのは自然なことに思われる。大部分の人々は新しい音楽により集中するものだが、単純に数字だけ見ても、市場成長率において旧譜が新譜を圧倒している。

ヒット曲を中心に改めて統計を見てみると、興味深い面が見えてくる。アメリカの市場で、音楽ストリーミングの回数は、毎年増加している。2015年上半期575億回だった数字は、今年の上半期4,828億回に達する。ところが「TOP10」ヒット曲のストリーミング成績は、2019年を境にむしろ減っている。2019年上半期の「TOP10」ヒット曲は、3.8億回をピークに減少し、今年上半期には3.1億回だ。ストリーミング市場全体で、「TOP10」ヒット曲の割合はもう少し劇的だ。かなり早い時期、2016年上半期の1.62%以降急激に減少し、今年の上半期にはわずか0.64%に過ぎない。

原因が何なのかについて意見はさまざまだ。ストリーミングがすべての世代の人々に大衆化され、市場全体を代弁し始めたからかもしれない。つまり、過去のレコード時代にカタログ音楽は、それ以上売上を発生させる余地がなかったが、時代は変わった。ビヨンセのデビューアルバムが気になって、家に親が持っているレコードがあれば、あなたはそれを聴くだろうし、それ以上の売上はない。親自身がそのレコードを再び聴いたとしても、それ以上の売上はない。ストリーミング時代に、これらの行為はすべて売上につながる。だとしたら、カタログ音楽の市場における割合の増加は、ある瞬間停滞に転じるだろう。

しかし市場の反応はそれより素速く、ストレートだ。最近資産市場において古いカタログ音楽の著作権は、最も有望な取引対象として浮上している。ストリーミングのおかげで音楽著作権の価値を正確に測定することができるようになり、アーティストは一度に現金を得ることができ、投資者は既存の資産とあまり相関関係がない、新たな収益源を得ることができる。新譜市場はどうだろうか。ファンベースを中心に音源販売を極大化する戦略は、デジタル時代にむしろ、より重要になっている。ファンベース依存がチャートを歪曲しているのか、実際に現実の売上戦略を反映しているのか、一度考えてみてほしい。

トリビア


著作権取引市場の成長

昨年末ボブ・ディランは、自身が書いたすべての歌の権利をユニバーサル・ミュージック・パブリッシング・グループに、少なくとも3億ドルで売った。約60年間にわたり発表した600曲余りについての権利を販売したもので、同一作曲家のカタログ取引では最大規模だ。今年の初めニール・ヤングは、自身のカタログの権利の半分をイギリスの音楽著作権投資及び管理会社ヒプノシス・ソング・ファンドに1.5億ドルで売った。同じような事例は最近止めどなく続いている。ヒプノシス・ソング・ファンドは、既に数多くの有名作曲家のカタログを確保しており、イギリス株式市場に上場し、時価総額は2兆ウォンに及ぶ。本文で言及した経済的理由を除いても、ベテランたちがカタログの権利を販売する理由はまた別にある。彼らは、有名アーティストの死亡後に著作権を巡って繰り広げられる争いを目撃しており、そのような問題を防止することを望んでいる。


文. ソ・ソンドク(ポピュラー音楽評論家)
デザイン. チョン・ユリム