Credit
イ・ヒウォン、ペ・ドンミ(『シネ21』記者)、キム・ヒョジン(ポピュラー音楽コラムニスト)
デザインMHTL
写真Netflix Korea X

『彼氏彼女いない歴=年齢、卒業します』(Netflix)
イ・ヒウォン:あらゆることに「初めて」がある。最初のうちは不器用で失敗もあり、たいして格好もつかないけれど、だからこそ大切で、特別だ。『彼氏彼女いない歴=年齢、卒業します』の出演者たちは、学生時代の記憶や異性についての苦い記憶、高すぎる理想など、それぞれの理由によって、まだ恋愛をしたことがない。誰かに好意を抱き、お互いを知っていく過程に不慣れな彼らは、自分たちで約束をして自由に言葉を交わす従来の恋愛リアリティー出演者たちとは違い、徹底的に番組のルールの中で動く。「どうして言われた通りにしかできないんだ!」というソ・イングクの嘆きからも分かるように、男女3人ずつで出かけたローラースケートデートで、うまく滑れない異性を放って悠々と滑り、相手と目を合わせることさえ覚束ない。それゆえ『彼氏彼女いない歴=年齢、卒業します』には、他の恋愛リアリティー番組に感じられるようなドキドキや刺激的な瞬間は少ないかもしれない。その代わり、出演者たちは日が経つにつれ、お互いのことを理解しようとし、好きな相手に近づくために努力するようになる。相手についての情報が記された「5分書店」に入って意中の相手について知り、実践に生かす。「自分の名前を優しく呼んでほしい」という内容を読んで、宿舎で名前を呼ぶ練習をするほど、その思いは真摯だ。「少し歩みは遅いけれど、それぞれのやり方で努力」していると表現したカー・ザ・ガーデン(Car the garden)の言葉どおりだ。

まるで実の姉や兄のように愛のある眼差しで出演者らを見守るパネラーたちのリアクションもまた、この番組にリアリティーを加えている。イ・ウンジとカー・ザ・ガーデンが出演者たちに本心からの痛快なアドバイスを投げかける一方、カン・ハンナとソ・イングクは、彼らの心に寄り添う暖かい言葉をタイミングよくかける。そして「恋愛リアリティーってこんなに自分を振り返らせるものでしたっけ?」というカー・ザ・ガーデンの言葉のように、出演者たちは「初めての恋愛」に向かって努力する過程で、結果的に自分自身についてより深く理解していく。序盤はやや冷たい性格に見えたミノンは、「私って頑固すぎるのかな?」と問うジスに対して、「違うと思ったら違うんだよ。ただ誰かと恋したいという気持ちだけで、ジスの持っている形をわざわざ四角に削ぎ落としてまで恋してほしくない」と答え、相手の心に寄り添う。ミノンの言葉のように、自らに固有の形を守りながら、より成熟した人間として成長するにはどうすればよいのだろうか。『彼氏彼女いない歴=年齢、卒業します』が私たち皆に投げかける問いだ。

『全知的読者視点』
ペ・ドンミ(『シネ21』記者):映画『全知的読者視点』は、総PV(ページビュー)数が2億回にも達する同名のウェブノベルを原作とした作品だ。原作のウェブノベルは単行本やウェブトゥーンとしても展開され、ゲーム版も制作中という成功したIP(知的財産)だ。その想像力を映画化する過程でVFX(視覚効果)の完成度が落ちる点が惜しまれる一方、俳優たちの演技は見事に安定しているという強みもある。最近、全世界的な流行を見せているNetflix映画『K-POPガールズ! デーモン・ハンターズ』で声の演技を披露した俳優アン・ヒョソプは、抜けているようで強い意志を見せる表情で物語をしっかりリードし、ウェブノベル『滅亡した世界で生き残る3つの方法』の主人公としてキム・ドクチャと出会うユ・ジュンヒョク役の俳優イ・ミンホもまた、出番は少ないが確かな印象を残す。キム・ドクチャの職場の同僚ユ・サンアを演じた俳優チェ・スビン、心に傷を抱えた軍人イ・ヒョンソン役の俳優シン・スンホも安定した演技力を見せ、痛快なアクションを披露するユ・ヒウォン役の俳優ナナは、様々なキャラクターが登場する中でも印象的な場面を生んでいる。最後に、BLACKPINKのジスは、今回は二度目の映画演技への挑戦となったが、前作『チョン博士の退魔研究所(日本語タイトル:憑依)』がセリフのない特別出演だったとすれば、本作『全知的読者視点』では台詞とアクションの両方をこなしているという点で、俳優として彼女の真価を見ることができるだろう。

「FAMOUS」 - ALLDAY PROJECT 
キム・ヒョジン(ポピュラー音楽コラムニスト):文字通り「衝撃的」だった。「FAMOUS」のミュージックビデオを初めて見たときの感想だ。グループアーティストで最も重要なのは調和だと考えている。デビュー前にすでに名が知られたメンバーはグループの宣伝には役立つだろうが、手軽な選択とは言えない。そのメンバーがグループ全体と調和する必要があるからだ。このグループに2人もいる「すでにメディアで知られたメンバー」が、果たしてグループに溶け込めるだろうかと気になった。さらに、「能力」ではなく「家柄」として世間に知られたメンバーもいた。これらのメンバーたちが一つのグループになり、韓国の大衆に馴染みのない男女混合グループを結成すると、いったいどんなシナジーが生まれるだろうか? そもそもシナジーなど生まれるのだろうか? その疑問は、ミュージックビデオを再生してからわずか20秒で完全に払拭された。

「FAMOUS」はギターリフと重厚感のあるベースで聴く者の意識を惑わし、「WICKED」は比較的ミニマルなビートで次の展開を期待させる。男女混合グループという性別のアイデンティティー、すでにK-POPシーンで成功したプロデューサーが手掛けた(ラップ担当がなんと4人!)ヒップホップグループ。このようなフレーズだけでALLDAY PROJECT(オールデイ・プロジェクト)を定義するのは難しい。5人のメンバーはそれぞれの物語を持ち、ビートの上を自由に駆け回る。サビでは「We」を叫んで、一つのグループであることを強調する。既存のラベルでは定義できないクリエイティブ集団の誕生。私たちは、新しい時代の夜明けを目にしている。

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